河出書房から出ているMOOKに「開高健 永久保存版」がある。そこに「今よみがえる巨人の全貌」というキャッチコピーが添えられている。
開高さん自身の著書に「ピカソはほんまに天才か」があるが、それにひっかけていえば「開高健はほんまに巨人か」といっても許されるだろう。
かねてから気になっていた開高健さん。サントリーの宣伝部から身を起こし、CMコピーの制作者から一流の小説家になった。同じくサントリーの宣伝部出身者に山口瞳がいる。
このお二人の“よき読者”になりたかったが、結局はろくすっぽ読まないあいだにこの世の人ではなくなってしまった。
調べてみると、開高さんは享年58歳。その事実を知って衝撃をうけたのは、この2~3年のことである。開高さん、そんなお年で(゚Д゚;)
(「開高健の文学論」中公文庫 「衣食足りて文学は忘れわれた⁉ 文学論」を改題)
3日あまり前から、この文学論を読みはじめたら、これが何ともかんともおもしろい!
しばらくろくな作品に巡り合えなくて、読書ではいささか腐っていた。長い年月のあいだに、かつてもこんなことがあったのは、一度や二度ではない。
今回それをすくい出してくれた「開高健の文学論」に感謝♬
開高さんの視野の広さは、生前から定評があった・・・と思う。
100編の短い文章が集めてあり「文学論」とはいっても、肩肘はった堅苦しい評論ではなく、普段着のエッセイといえるもの。
しかし、ところどころ、文章の刃がぎらり、ぎらりと居合抜きのごとく光る。これが相当迫力がある。夜遅く読んでいると、眠気が吹き飛んでしまう。
(開高健「人とこの世界」中央公論社)
「人とこの世界」は、開高流の人物評伝で、買ったままいまだ読んではいないけれど、愉しみにスタンバイさせてある。
そこで択ばれているのは、つぎの人物たち。
1.行動する怠惰 広津和郎
2.自由人の条件 きだみのる
3.マクロの世界へ 大岡昇平
4.誰を方舟に残すか 武田泰淳
5.不穏な漂泊者 金子光晴
6.カゲロウから牙国家へ 今西錦司
7.手と足の貴種流離 深沢七郎
8.流亡と籠城 島尾敏雄
9.惨禍と優雅 古沢岩美
10.“思い屈した” 井伏鱒二
11. 絶対的自由と手と 石川淳
12. 地図のない旅人 田村隆一
このうち、きだみのる、今西錦司、古沢岩美にはほぼ関心がないけれど、ほかの人たちには、大いに関心あり・・・である。開高健さんのいわば方位磁石と、わたしのそれが、一致していることになる。
風貌は別にして、開高健はほんまに巨人であったような気がする。そのわりには“読めて”いないため、多少あせりを感じている。文庫本として刊行されたものは、「耳の物語」をのぞいておおよそは手許にあつめた。
「あとは読むだけ」なのだが、それが、なかなかすすまない(*´ω`)
芥川賞をとったころの短篇を何篇かと、代表作「輝ける闇」を、過去に読んでいる。若かったため、どこまで理解できたか少々心もとないが・・・。
サルトルの「嘔吐」のファンだと、開高さんはことあるごとに書いておられた。白井浩司さんの訳文を眺めて、紙から文字が立ち上がってきたと、いかにも小説家(書くだけでなく、読む方も)らしく、心底愉しそうに褒めちぎっている。
カミュの「異邦人」のファンは多いが、「嘔吐」を絶賛する人はめずらしいので、このエピソードは憶えていた。
(新潮文庫の数冊によって、開高さんの文学を知ったという人は多いはず)
(岩波文庫に収められた短篇選は大岡玲さんの編集)
(安岡章太郎も昔からファンなので、迷っていた岩波文庫の短編集を最近買った)
それにしても、本を読む速度が、あきれるほど遅くなった。
すぐ元に戻るだろうと高を括っていたが、これはどうも老化現象のようである。弱ったものだが、どうもわたしが思っていたより、この“老化”が早くすすんでいるのだ。
どなたかすぐれた特効薬があったら、ぜひお教え下さいませ♬
開高さん自身の著書に「ピカソはほんまに天才か」があるが、それにひっかけていえば「開高健はほんまに巨人か」といっても許されるだろう。
かねてから気になっていた開高健さん。サントリーの宣伝部から身を起こし、CMコピーの制作者から一流の小説家になった。同じくサントリーの宣伝部出身者に山口瞳がいる。
このお二人の“よき読者”になりたかったが、結局はろくすっぽ読まないあいだにこの世の人ではなくなってしまった。
調べてみると、開高さんは享年58歳。その事実を知って衝撃をうけたのは、この2~3年のことである。開高さん、そんなお年で(゚Д゚;)
(「開高健の文学論」中公文庫 「衣食足りて文学は忘れわれた⁉ 文学論」を改題)
3日あまり前から、この文学論を読みはじめたら、これが何ともかんともおもしろい!
しばらくろくな作品に巡り合えなくて、読書ではいささか腐っていた。長い年月のあいだに、かつてもこんなことがあったのは、一度や二度ではない。
今回それをすくい出してくれた「開高健の文学論」に感謝♬
開高さんの視野の広さは、生前から定評があった・・・と思う。
100編の短い文章が集めてあり「文学論」とはいっても、肩肘はった堅苦しい評論ではなく、普段着のエッセイといえるもの。
しかし、ところどころ、文章の刃がぎらり、ぎらりと居合抜きのごとく光る。これが相当迫力がある。夜遅く読んでいると、眠気が吹き飛んでしまう。
(開高健「人とこの世界」中央公論社)
「人とこの世界」は、開高流の人物評伝で、買ったままいまだ読んではいないけれど、愉しみにスタンバイさせてある。
そこで択ばれているのは、つぎの人物たち。
1.行動する怠惰 広津和郎
2.自由人の条件 きだみのる
3.マクロの世界へ 大岡昇平
4.誰を方舟に残すか 武田泰淳
5.不穏な漂泊者 金子光晴
6.カゲロウから牙国家へ 今西錦司
7.手と足の貴種流離 深沢七郎
8.流亡と籠城 島尾敏雄
9.惨禍と優雅 古沢岩美
10.“思い屈した” 井伏鱒二
11. 絶対的自由と手と 石川淳
12. 地図のない旅人 田村隆一
このうち、きだみのる、今西錦司、古沢岩美にはほぼ関心がないけれど、ほかの人たちには、大いに関心あり・・・である。開高健さんのいわば方位磁石と、わたしのそれが、一致していることになる。
風貌は別にして、開高健はほんまに巨人であったような気がする。そのわりには“読めて”いないため、多少あせりを感じている。文庫本として刊行されたものは、「耳の物語」をのぞいておおよそは手許にあつめた。
「あとは読むだけ」なのだが、それが、なかなかすすまない(*´ω`)
芥川賞をとったころの短篇を何篇かと、代表作「輝ける闇」を、過去に読んでいる。若かったため、どこまで理解できたか少々心もとないが・・・。
サルトルの「嘔吐」のファンだと、開高さんはことあるごとに書いておられた。白井浩司さんの訳文を眺めて、紙から文字が立ち上がってきたと、いかにも小説家(書くだけでなく、読む方も)らしく、心底愉しそうに褒めちぎっている。
カミュの「異邦人」のファンは多いが、「嘔吐」を絶賛する人はめずらしいので、このエピソードは憶えていた。
(新潮文庫の数冊によって、開高さんの文学を知ったという人は多いはず)
(岩波文庫に収められた短篇選は大岡玲さんの編集)
(安岡章太郎も昔からファンなので、迷っていた岩波文庫の短編集を最近買った)
それにしても、本を読む速度が、あきれるほど遅くなった。
すぐ元に戻るだろうと高を括っていたが、これはどうも老化現象のようである。弱ったものだが、どうもわたしが思っていたより、この“老化”が早くすすんでいるのだ。
どなたかすぐれた特効薬があったら、ぜひお教え下さいませ♬