二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

川崎長太郎「忍び草」と「鳳仙花」をめぐって

2024年12月10日 | 小説(国内)
■「忍び草」中央公論社 昭和47年刊(単行本)
■「鳳仙花」講談社文芸文庫 1998年刊(文庫本)

 昭和47年=1972年
 1998年=平成10年

「忍び草」 301ページ
1.うろこの記録     新潮 昭和41年
2.ある女流作家の一生  新潮 昭和38年
3.海のほとり      早稲田文学 昭和45年
4.路傍         群像 昭和47年
5.忍び草        群像 昭和44年
6.漂流         海  昭和47年
7.彼          新潮 昭和37年
8.七十歳        海  昭和47年




「鳳仙花」 227ページ(解説・年譜などは別)
1.故郷の消息      
2.余熱
3.蝋燭
4.父島
5.鳳仙花
6.忍び草
7.乾いた河
8.冬
 ※初出の一覧表はなし。
  河出書房自選全集(河出書房新社刊 1980年刊)を定本とする、と、講談社学芸文庫の断り書きが巻末にある。

「忍び草」のみ同一だけど、ほかはすべて別。作風が似たり寄ったりのため、読者として時折間違える。
川崎さんご本人も、よく間違えたのではないか?
いや、こういうタイプの私小説家は、自分の作を、めったに読み返すことはなかっただろう。

単行本の方には当然解説はついていないが、「俗界のメルヘン」で名をはせたらしい川村二郎さんの解説があり、講談社学芸文庫ではなかなかおもしろい♬
「忍び草」以外にも、2~3作バッティングする短篇があるかと予想していたが、意外な結果となった。
「忍び草」はわたしにいわせれば、秀作レベルの作品となる。

川崎長太郎は、
講談社学芸文庫
小学館P&D叢書

・・・で手に入るようである。わたしも7~8冊は手許にある。
川崎長太郎というと、漫画家つげ義春を連想する人が多いだろう。どちらも“低空飛行”の人。
1977年 菊池寛賞
1981年 芸術選奨文部大臣賞

    
    (小田原市浜町3丁目付近 川崎長太郎「小屋跡碑 ウィキペディアより」

83歳まで生きたが、晩年にこれらの賞をうけて“えらい人”となった。
だからわたしのような私小説のファンが、いまごろちょろちょろするわけである。忘れさられそうで、案外息が長い^ωヽ*

ただし、永井荷風や川端康成、中島敦のような代表作といえる小説(出版社のドル箱)がないため、だんだん忘れさられてしまうだろう。

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