
こばたさんとお読みするのかと思ったら、きばたとお読みする。東大出の先生で、ご専門は、イギリス帝国史、国際関係史、国際関係論。
わたしの関心はこのところ、世界史へと向かっている。古代史や中世史については、これまで、そこそこの本を読んできたが、近現代史には弱いので、二〇世紀に焦点をあてているこの本を手に取った。
しかし10日ほど前に読みおえているため、いささか、印象が薄れてしまった(^^;)
この本の紹介文をWebから引用する。
《激動の時代とよばれる20世紀。それは差別と被差別、支配と被支配の構造が世界を覆い、暴力と戦争にみちた帝国主義の時代であった。アフリカの分割、植民地の拡大、二度の世界大戦、冷戦の激化、独立抵抗運動の広がり。帝国世界の形成から解体まで、「長い20世紀」という視角から、現代につながる歴史の大きな流れを描く。》
ちなみに、Amazonには10件のレビューが置かれ、評価の平均は4.5。なかなかよい数値ではあるまいか。
さて、本書は大きく5章に分かれている。
1.支配-被支配関係の広がり (帝国主義の時代)
2.帝国世界動揺の開始 (第一次世界大戦とその後)
3.帝国世界再編をめぐる攻防 (世界恐慌から第二次世界大戦へ)
4.帝国世界の解体 (第二次世界大戦後の時代)
終章 「長い二〇世紀」を後に
新書の性格上、紙幅に制約がある(索引をふくめ、294ページ)が、内容てんこ盛りなので、時系列的な混乱を防ぐため、随所に年表が挿んである。
Amazonのレビューでは、
《文体の流れるような無駄のない運びとリズミカルともいうべき流れは見事である。歴史書にありがちな知識の引けらかしとてんこ盛りで結局何が言いたいのか分らなくなる仕儀は免れる。大変わかりやすい文体の流れには、敬服すべきものがある。こういう著者に弟子入りしたかったと思う。おそるべき碩学であり先達である。》(文体の読みやすさ)
・・・といったところが好評価にむすびついているようである。
わたしも前半はおもしろく読んだが、後半に入るころから、教科書的な網羅主義が鼻についてきた(^^;)
たしかに「お勉強」にはなるし、著者のヒューマニズムの視点には、基本的に異論はない。
いや、反対のしようがない・・・というべきかもしれない。
しかし、そこが、何かもの足らない。優等生の模範解答を読まされている気味なさがある。
知識を仕入れるのはうってつけだろう。よくもまあ、この紙幅に、これだけの事件(そのほとんどが戦争、武力衝突)、キーワードを詰め込んだものだ。その都度、死者・犠牲者の数を列挙している。
一口でいえば、二〇世紀とは、地球規模において、戦争と革命、イデオロギーの時代であったということだ。
ところが、読みおえてみると、極めて印象の薄い読後感。
本書はあくまでとっかかりなので、詳しくお知りになりたい方はつぎの本をどうぞといわれている気分。おしまいに、驚くべき量の参考文献が掲載されている。そのうち、半分強は英語圏の研究書である。
著者はおそらく、典型的な“書斎の人”なのであろう。ご自身が、これらの参考文献をきめ細かく読んで、本書を書き上げた・・・という意味において。
ただ、「定点観測」という手法を編み出しているところは評価できる。
「帝国世界下のアイルランド・南アフリカ・沖縄」という一章をはじめ、章ごとにアイルランド・南アフリカ・沖縄における二〇世紀の歴史を“定点観測”し、やや詳しく紹介しているのである。本書の独自性があるとするなら、こういう箇所となる。
南アフリカについてはこれまで関心がなかった。知見を拡げることができ、感謝せざるを得ない。
だが、著者自身気が付いておられるように、そもそも、二〇世紀の歴史を新書一冊にまとめようという企てが無謀なのである。
「二〇世紀の歴史をざっとおさらいしておこう」
そういう読者にはよろこばれるだろう。わたしがもの足りなさを感じるのも、その点にある。
評価にこだわるなら、3と4の中間あたり・・・かな♪
評価:☆☆☆★
わたしの関心はこのところ、世界史へと向かっている。古代史や中世史については、これまで、そこそこの本を読んできたが、近現代史には弱いので、二〇世紀に焦点をあてているこの本を手に取った。
しかし10日ほど前に読みおえているため、いささか、印象が薄れてしまった(^^;)
この本の紹介文をWebから引用する。
《激動の時代とよばれる20世紀。それは差別と被差別、支配と被支配の構造が世界を覆い、暴力と戦争にみちた帝国主義の時代であった。アフリカの分割、植民地の拡大、二度の世界大戦、冷戦の激化、独立抵抗運動の広がり。帝国世界の形成から解体まで、「長い20世紀」という視角から、現代につながる歴史の大きな流れを描く。》
ちなみに、Amazonには10件のレビューが置かれ、評価の平均は4.5。なかなかよい数値ではあるまいか。
さて、本書は大きく5章に分かれている。
1.支配-被支配関係の広がり (帝国主義の時代)
2.帝国世界動揺の開始 (第一次世界大戦とその後)
3.帝国世界再編をめぐる攻防 (世界恐慌から第二次世界大戦へ)
4.帝国世界の解体 (第二次世界大戦後の時代)
終章 「長い二〇世紀」を後に
新書の性格上、紙幅に制約がある(索引をふくめ、294ページ)が、内容てんこ盛りなので、時系列的な混乱を防ぐため、随所に年表が挿んである。
Amazonのレビューでは、
《文体の流れるような無駄のない運びとリズミカルともいうべき流れは見事である。歴史書にありがちな知識の引けらかしとてんこ盛りで結局何が言いたいのか分らなくなる仕儀は免れる。大変わかりやすい文体の流れには、敬服すべきものがある。こういう著者に弟子入りしたかったと思う。おそるべき碩学であり先達である。》(文体の読みやすさ)
・・・といったところが好評価にむすびついているようである。
わたしも前半はおもしろく読んだが、後半に入るころから、教科書的な網羅主義が鼻についてきた(^^;)
たしかに「お勉強」にはなるし、著者のヒューマニズムの視点には、基本的に異論はない。
いや、反対のしようがない・・・というべきかもしれない。
しかし、そこが、何かもの足らない。優等生の模範解答を読まされている気味なさがある。
知識を仕入れるのはうってつけだろう。よくもまあ、この紙幅に、これだけの事件(そのほとんどが戦争、武力衝突)、キーワードを詰め込んだものだ。その都度、死者・犠牲者の数を列挙している。
一口でいえば、二〇世紀とは、地球規模において、戦争と革命、イデオロギーの時代であったということだ。
ところが、読みおえてみると、極めて印象の薄い読後感。
本書はあくまでとっかかりなので、詳しくお知りになりたい方はつぎの本をどうぞといわれている気分。おしまいに、驚くべき量の参考文献が掲載されている。そのうち、半分強は英語圏の研究書である。
著者はおそらく、典型的な“書斎の人”なのであろう。ご自身が、これらの参考文献をきめ細かく読んで、本書を書き上げた・・・という意味において。
ただ、「定点観測」という手法を編み出しているところは評価できる。
「帝国世界下のアイルランド・南アフリカ・沖縄」という一章をはじめ、章ごとにアイルランド・南アフリカ・沖縄における二〇世紀の歴史を“定点観測”し、やや詳しく紹介しているのである。本書の独自性があるとするなら、こういう箇所となる。
南アフリカについてはこれまで関心がなかった。知見を拡げることができ、感謝せざるを得ない。
だが、著者自身気が付いておられるように、そもそも、二〇世紀の歴史を新書一冊にまとめようという企てが無謀なのである。
「二〇世紀の歴史をざっとおさらいしておこう」
そういう読者にはよろこばれるだろう。わたしがもの足りなさを感じるのも、その点にある。
評価にこだわるなら、3と4の中間あたり・・・かな♪
評価:☆☆☆★