「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)5月1日(土曜日)弐
通巻第6891号
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「テンセントから出資を仰いで何が問題なのか」と楽天CEO
国家安全保障感覚がこれほど抜け落ちた感覚が日本の実業界
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テンセントの子会社が楽天に出資する。
楽天の目論見は5Gの追加電波の割り当てを取得するために、自己資本率を高めるという条件をクリアする必要がある。楽天は電波企業の安定を固定化させるために自己資本比率を改善しなければならない。
したがって楽天は日本郵政やテンセント子会社などから、2400億円を出資して貰い、さらには外貨建ての永久劣後債を起債する。ドル建てで1900億円、ユーロ建てで1300億円。全額を資本として扱い、電波取得に必要な条件を満たす。
問題はテンセントだった。
前々から「テンセン・トリスク」は議論されてきた。
「ウィーチャット(微信)」におよそ十億人の中国人がアカウントを開設しており、当然、当局の監視の下にあり、データが蓄積され、国民の自由は発言が封じ込められる手助けともなっている。
米国はテンセントとアリババなどへの投資禁止を検討したが、バイデン政権になってアリババとテンセントが軍直結企業ではないとして制裁適用対象から外している。
依然として監視の対象ではあるが、トランプ前政権のTIKTOKの使用禁止措置くらいで、またTIKTOKのオラクルへの身売りも白紙となった。
「テンセントから出資を仰いで何が問題なのか」と。国家安全保障感覚がこれほど抜け落ちた感覚が日本の実業界である。
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