制裁の影響でロシア人は妄想の世界に入り始めている」佐藤優が教える「危なすぎる兆候」西側なら「フェイクニュースだ」と笑い飛ばす話を、大真面目に信じている
佐藤 優作家・元外務省主任分析ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁が始まって1カ月半。元外交官で作家の佐藤優さんは「制裁はロシアの市民生活にあまり影響を与えていないし、デフォルトが起きてもロシア人はそれに耐えることができる。だが西側諸国と切り離されたことで、ロシア人のマインドが内向きになり、一種の妄想の世界に入り始めている」と警鐘を鳴らす――。
経済制裁、ロシアの市民生活への影響は
ウクライナに軍事侵攻したロシアへの経済制裁が始まって1カ月半が経ちましたが、どのくらい効果が出ているのでしょうか。
現在、砂糖の購入制限が1人当たり月に10キログラム。1.5リットルのサラダ油が1人10本と伝わってきています。4人家族なら、それぞれ毎月40キログラムと40本。生活に困る程度にはなっていません。
ソ連時代から七十数年、制裁をかけられ通しの国なので、助け合いで乗り切る精神がロシア人には根付いています。イランや北朝鮮の政権でさえ経済制裁では倒れないのに、ロシアには豊富なエネルギー資源と高い食料生産力があります。市民生活に制裁の影響が及ぶには時間がかかりますし、決定的な状態には至らないと思われます。