「本当に呆れた」黒人体操少女への露骨な“人種差別”に母親が怒りの声明! 名前すら書かない不誠実メールに愕然「嘘でしょ!?」
露骨な黒人差別には五輪女王バイルズも怒りの声明を発表した。(C)Getty Images
9月下旬、1本の動画が大きな反響を呼んだ。 米大手放送局『CNN』によると、アイルランドで開催された体操大会の表彰式で、黒人の少女だけがメダルを渡されなかった動画がSNSを通じて拡散。世界中で大きな波紋を広げている。 【動画】体操大会の表彰式で、”黒人の女子選手だけ”メダルを渡されず
事の発端となった動画は、昨年3月にアイルランドの体操競技大会で撮影されたものだ。横一列に並んで順番にメダルを受け取る女子選手たちの中で、黒人のひとりだけが露骨に飛ばされた。自分だけメダルをもらえず、周りをキョロキョロしながら少女は困惑。悲痛な表情を見せていた。 しかも、すぐ近くには表彰式を撮影する男性カメラマンが目の前でその光景を見ていたにも関わらず、彼はメダルをかける女性プレゼンターに何も言葉をかけず、ただただシャッターを切り続けていた。
この動画には、各方面から非難が噴出。2016年リオ五輪の体操競技で女子団体・個人総合で金メダルを獲得した米国のシモーン・バイルズが自身のX(旧ツイッター)に「胸が痛む」と書き込み、同じ黒人アスリートとして怒りの声明を発表したほどだ。 さらにアイルランドの日刊紙『The Irish Independent』によると、家族は娘が黒人であるために式典で無視されたと考えているようで、「私たちは体操競技の大会で唯一の黒人家族であることが多く、今回のことで私たちは非常に傷ついた」と語り、選手一家の胸中を報じ、「家族は意図的な差別に苦しんでいる」と鋭く指摘。当時黙認していた同国体操協会の姿勢を批判した。
事態を重く見た同協会は「あの日に起こったことはあってはならないことであり、深く遺憾に思う」との声明を発表。選手と家族に直接謝罪したいと申し出たが拒否されたため、書面で謝罪した。 そして先日、少女の母親が英公共放送局『BBC Radio』の番組に出演。苦しい胸の内をインタビューで明かしている。 黒人少女の母親はまず、「私たちは娘をサポートし続けているが、この問題は娘の自信を打ち砕くことになってしまった。娘は参加者の中で唯一の黒人で、ああいうことが起きた。とても恐ろしいことです」と理解し難い行為だと振り返っている。
その後、アイルランド体操協会関係者から、家族のもとに1通のメールが届いたというが、母親らは内容に愕然。「手紙には『関係者各位』と書いてありました。私たちは、すぐに『噓でしょ?』と思いました。さらに手紙を読み進めると、娘の名前すら書いておらず、本当に呆れました」と不誠実な内容に憤怒。娘には、その手紙を見せていないという。
この母親の悲痛な声は英放送局『BBC News』や米テレビ・ラジオ放送局『CBS News』など、海外の大手放送局が取り上げており、問題の根深さを報道。各ジャーナリストが「(体操協会は)即刻、謝罪すべきだ」「ありえない対応」など、批判が止まない。 家族はアイルランド体操協会に対し、「謝罪をしっかりと伝えてほしい」と切実に要請しているという。問題解決には、まだまだ時間がかかりそうだ。 構成●THE DIGEST編集部