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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

中国の一大忘却事業「天安門事件」

6月4日は中国の民主化を望む人々にとっては特別な日である。中国共産党政権は「金盾(グレート・ファイアウォール)」によって、強烈なネット検閲機能を強いて言論封鎖を行っており、1989年の6月4日に「天安門事件」が起きたことを完全に隠蔽している。

まず、天安門事件とは何か。これは中国の民主化を求めていた学生たちデモ隊たちを、中国共産党の指示を受けた軍隊が無差別に発砲し、戦車で轢き潰し、大虐殺した事件である。

中国政府の発表によると犠牲者は319人ということなのだが、英国で新たに公開された外交文書では「中国軍が殺害した人数は少なくとも1万人」となっている。

中国共産党政権は、自らの都合の悪い数字はGDP成長率だろうが、事故による死者数だろうが、何でも好きに改竄する体質があるので、犠牲者319人という数字を信じる人などどこにもいない。

そうやって都合の悪い出来事は矮小化し、さらに隠蔽し、「何も起きていないこと」にしてしまうのが中国共産党のやっていることだ。

「民主化」を叩き潰す中国共産党

中国共産党は独裁政権なので、蛇蝎のごとく「民主化」を嫌っており、民主化の動きを起こす人間たちを容赦なく殺害していく。

2019年から2020年に起きた「香港民主化デモ」についても、中国共産党は容赦ない暴力で完全に叩きつぶし、民主化運動の先頭に立った若者たちを片っ端から刑務所に放り込んで占拠し、民主化を破壊した。

中国共産党は民主化の動きを絶対に許さない。中国人が民主化運動をするというのは中国共産党に対する敵対行為であると見なされ、時には命を狙われることになる。

中国共産党に反旗を翻した男「郭文貴(かく・ぶんき)」

中国共産党のこうした「民主化弾圧」の中では、人々の民主化を求める声はどんどん萎縮していく。そして抵抗できないまま中国共産党の強大な権力の中に飲み込まれていく。

しかし、こうした絶対的不利な中でもやはり「中国を民主化すべきだ」「中国共産党政権を打倒すべきだ」という声は消えることがない。その中で今、公然と中国共産党に反旗を翻している男がいる。

郭文貴(かく・ぶんき)である。

中国国内の不動産事業、ホテル運営、投資によって3000億円以上もの資産を築いた大富豪で、今はアメリカに亡命してニューヨークに居を構えている。

中国国内で活動していた時、郭文貴はビジネスを成功させるために中国共産党の幹部、公安、諜報組織(国家安全部)とも深く関わっていた。その過程で彼らの汚職、乱倫、癒着、策謀などを知る立場になっていたのだが、自らのバックにいた人物の失脚と共にアメリカに亡命することになった。

このスキャンダルは習近平の側近中の側近のものも含まれており、習近平体制を揺るがしかねないものでもあった。