フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月16日(土) 晴れ

2024-03-17 21:43:26 | Weblog

*術後4日目。

7時半、起床。

病院での最後の食事。また納豆が出た。苦手ではないものの、生卵があると嬉しい。卵かけ納豆ご飯にして食べたいからだ。

牛乳パックの形が昨日一昨日とは違う。立方体ではなく、側面が八面体になっている。これなら指で持ったときにストローから牛乳が飛び出しにくい。

退院の荷造り。

9時半頃、今回の請求書と家に帰ってから飲む鎮痛剤(飲まなくてもかまわない)が渡される。ナースステーションのとこころでお世話になりましたと挨拶をして、エレベーターに乗って一階に降りる。妻が待っていた。

入退院受付で清算をすませ、タクシーを呼んで、帰宅する。

玄関にチャイが迎えに出る。私が不在の間、チャイは玄関で音がするたびに私が帰ってきたのかもしれないと迎えに出ていたそうである。忠犬ハチ公ならぬ忠猫チャイである。玄関を上がる前にチャイを抱っこして家の前の道を散歩する。

昼食を食べに出る。走ったり飛んだり跳ねたりはNGだが、歩くことは問題ない。むしろ歩いた方がよい。

退院して最初の食事に何を食べるかは、昨日からのテーマだった。夜勤の看護師さんとそのことでおしゃべりもした。映画『幸福の黄色いハンカチ』の刑期を置いて出所した主人公(高倉健)のようにカツ丼とビール(私の場合はノンアルビール)というのも考えたが、ここは私にとってのご馳走の代名詞でもある鰻重にすることにした。「寿々喜」へ行く。

赤重を注文する。

最初に鰻重以外のものが出てくる。サラダを食べる(本当はいらない)。

赤重が運ばれてきた。病院食的世界から無事帰還したことを実感する瞬間である。

入院中はブログの更新は休んでいた(その旨予告しておいた)。しかし、アクセス数は減るどころから逆に増えていた。とりあえず退院の報告を兼ねて、入院の日のブログを書いてアップする。

午後4時に予約しておいた「ティールーム101」に行く。本当は入院する前日に行こうと思っていたのだが、お店がお休みだったのだ(マダムは九州旅行)。「退院当日で大丈夫なのですか?」とマダムに聞かれたが、正直言うと、自宅から「ティールーム101」は少し距離がある。通常は15分ほどだが、今日はゆっくり歩いて20分である。しかし、昨日観た『騎兵隊』の主人公マーロウ大佐(ジョン・ウェイン)は戦闘中に足を銃で撃たれて、その弾丸を麻酔なしで取り出して(すごく痛そう!)、すぐに馬に乗って騎兵隊の指揮を続けるのだ。彼に較べたら、手術から4日目の退院当日に街を歩くことなどなんでもない。

店内には先客が2名。中年のおしゃれな男女がおしゃれな会話を交わしていた。

本日のシフォンケーキの中からホワイトベリーのシフォンを注文し、紅茶はマダムお薦めのブリティッシュ・ブランチ(スティーブン・スミス)をチョイス。

人生には残り時間というものがある。それは誰でも同じだが、長さは人によって違う。問題は、通常、その残り時間がどれほどのものかがわからないということである。もしやりたいことがあるのであれば、先延ばししないで、早めにとりかかったほうがよい。しかし、とくにやりたいことがないのであれば、いまの日々を大切にすることである。日々の生活を構成する人や、モノや、お金、そして体を大切にすることである。「お変わりないこと」がありがたいことなのだ。マダムとそんな話をした。

1時間ほどで切り上げるつもりでいたが、結局、先客のお二人も交えて、2時間半も滞在してしまった。閉店時間を30分オーバーした。

滞在中に桜のつぼみもほころんだようである。

夕食はとろける豆腐のゴマ味噌スープ、鮭、温泉玉子、ごはん。

食事をしながら『厨房のありす』(録画)を観る。

『福のラジオ』などをタイムフリーで聴きながら、3月12日(火)、13日(水)、14日(木)のブログを書いてアップする。

シャワーを浴びる。

1時、就寝。


3月15日(金) 晴れ

2024-03-17 16:00:07 | Weblog

*術後3日目

7時、起床。昨夜は比較的よく眠れた。

朝食のメインはオムレツ。いくらか洋風なのが嬉しい。

食事をしながら『ブギウギ』とそれに続く『あさイチ』を観る。プレミアムトークのゲストは趣里だ。高校野球の中継が始まると『あさイチ』はお休みになるので、このタイミングでの出演である。『ブギウギ』が始まったときはどんな役者さんなのか知らなかったのだが、頑張ったと思う。

池波正太郎『散歩のとき何か食べたくなって』を読む。新潮文庫版が出たのが1978年で、そのときに買って読んだのだと思う。24歳のときだった。以来、池波正太郎は私の人生の師の一人になった。

昼食のメインは赤魚のかぶら蒸しだが、味噌田楽がよかった。

NHKのBSでジョン・フォード監督の『騎兵隊』(1959年)を観る。こんなときでないとなかなか観ようと思わない映画だ。南北戦争の時代、北軍の騎兵隊の一団が、南軍の補給路を断つべくニュートン駅と周辺の線路を破壊するという任務を負って、南軍の支配地に入っていく。可能な限り南軍との衝突は避けねばならない。騎兵隊の指揮官はマーロウ大佐(ジョン・ウェイン)。一行に加わることとなった軍医のケンドール少佐(ウィリアム・ホールデン)との折り合いはよろしくない。後からわかることだが、マーロウは昔、医者の誤診で妻を亡くしているのだ。進軍の途中で南部の農園の女主人ハンナ(コンスタンス・タワーズ)は幹部らをもてないすが、彼らが書斎でこれからの進路を話し合っているを彼女は盗み聞きする。ケンドール少佐がそれに気づき、ハンナと下女の二人は捕虜となり騎兵隊と一緒に行動を共にすることになる(一番面倒がないのは口封じに二人を殺すことだろうが、西部劇ではそういうことはしないのだ)。以後、隙あらば脱出を図ろうとするハンナに手を焼きながら、一行はニュートン駅を制圧する。任務を果たした一行は南軍の大隊が駆けつける前に敵地を脱出しなければならない。しかし、すでに南軍は脱出路である橋のたもとで北軍を待ち構えていた。前と後ろからの敵に万事休したかに見えたマーロウたちだが・・・・。ジョン・ウェインとウィリアム・ホールデンの男同士の物語の間で、当時、25歳のコンスタンス・タワーズの美しさが輝いていた。調べたら彼女は、現在、90歳でご存命なだけではなく、いまなおTVドラマに出演している現役の役者さんであると知って驚いた。

2時間の見終えて、夕食まで昼寝と読書。

そして売店で買ったスイーツと珈琲。

夕食のメインは青椒肉絲。

『散歩のとき何か食べたくなって』読了。

10時から『不適切にもほどがある』をリアルタイムで観る。キョンキョン(小泉今日子)が本人役で出演したのにはびっくり。

11時半、就寝。


3月14日(木) 晴れ

2024-03-17 00:41:20 | Weblog

*術後2日目

7時頃、起床。昨日よりはよく眠れた(途中で2回ほど目がさめただけ)。

朝食のメインは納豆。納豆は久しぶりで食べた(朝食はパンなので)。お粥から普通のごはんになった。食事をしながら『ブギウギ』を観る。

牛乳の紙パックはうっかり面の部分をもったらピュッと牛乳が噴き出てパジャマが濡れてしまった。角の部分を持つべきだった。でも、私みたいな患者はたくさんいるのではないか。

執刀医が様子を見に来て、土曜日の退院が決まる。

昼食のメインはピーマンの肉詰め。

NHKのBSでコッポラ監督の『ペギー・スーの結婚』(1986年)を観る。テレビで映画を観るのは久しぶりである。タイトルは記憶にあるが、観ていなかった映画だ。高校時代からの彼と結婚し、いまは別居中の中年女性が卒業25年目の高校の同窓会に娘同伴で出席するが、会場で気を失ってしまう。気が付くと彼女は25年前に戻っている。未来が分かっている彼女は彼と別れて、別の人生を歩もうとするが・・・。ある意味で、前年に作られたゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(もちろんこちらは観ていた)の中年女性版のような映画だった。中年女性を演じるのはキャスリーン・ターナー。彼女は(私と同年の生まれなのだが)、当時、32歳。40代前半の主人公を老けメイクで演じ、高校時代に戻った主人公を若作りで演じていた。夫=彼氏役を演じたのはニコラス・ケイジ、高校時代の同級生の一人を演じていたのはジム・キャリー、娘役を演じていたのはヘレン・ハントとその後スターとなっていく若手たちだった。

昼寝の後、キンドルで星新一『ノックの音が』を読む。

身軽になったので、リハビリのつもりで院内を歩く。それほど大きな病院ではないので、歩く範囲は限られている。歩けることをありがたく感じる。それはつまり歩ける私を羨ましく見ている患者さんたちがいるということでもあろう。そう考えると、歩き回るのもほどほどにしておこうと思う。

夕食のメインは鰆の西京焼き。

『ノックの音が』読了。

11時、就寝。