*術後4日目。
7時半、起床。
病院での最後の食事。また納豆が出た。苦手ではないものの、生卵があると嬉しい。卵かけ納豆ご飯にして食べたいからだ。
牛乳パックの形が昨日一昨日とは違う。立方体ではなく、側面が八面体になっている。これなら指で持ったときにストローから牛乳が飛び出しにくい。
退院の荷造り。
9時半頃、今回の請求書と家に帰ってから飲む鎮痛剤(飲まなくてもかまわない)が渡される。ナースステーションのとこころでお世話になりましたと挨拶をして、エレベーターに乗って一階に降りる。妻が待っていた。
入退院受付で清算をすませ、タクシーを呼んで、帰宅する。
玄関にチャイが迎えに出る。私が不在の間、チャイは玄関で音がするたびに私が帰ってきたのかもしれないと迎えに出ていたそうである。忠犬ハチ公ならぬ忠猫チャイである。玄関を上がる前にチャイを抱っこして家の前の道を散歩する。
昼食を食べに出る。走ったり飛んだり跳ねたりはNGだが、歩くことは問題ない。むしろ歩いた方がよい。
退院して最初の食事に何を食べるかは、昨日からのテーマだった。夜勤の看護師さんとそのことでおしゃべりもした。映画『幸福の黄色いハンカチ』の刑期を置いて出所した主人公(高倉健)のようにカツ丼とビール(私の場合はノンアルビール)というのも考えたが、ここは私にとってのご馳走の代名詞でもある鰻重にすることにした。「寿々喜」へ行く。
赤重を注文する。
最初に鰻重以外のものが出てくる。サラダを食べる(本当はいらない)。
赤重が運ばれてきた。病院食的世界から無事帰還したことを実感する瞬間である。
入院中はブログの更新は休んでいた(その旨予告しておいた)。しかし、アクセス数は減るどころから逆に増えていた。とりあえず退院の報告を兼ねて、入院の日のブログを書いてアップする。
午後4時に予約しておいた「ティールーム101」に行く。本当は入院する前日に行こうと思っていたのだが、お店がお休みだったのだ(マダムは九州旅行)。「退院当日で大丈夫なのですか?」とマダムに聞かれたが、正直言うと、自宅から「ティールーム101」は少し距離がある。通常は15分ほどだが、今日はゆっくり歩いて20分である。しかし、昨日観た『騎兵隊』の主人公マーロウ大佐(ジョン・ウェイン)は戦闘中に足を銃で撃たれて、その弾丸を麻酔なしで取り出して(すごく痛そう!)、すぐに馬に乗って騎兵隊の指揮を続けるのだ。彼に較べたら、手術から4日目の退院当日に街を歩くことなどなんでもない。
店内には先客が2名。中年のおしゃれな男女がおしゃれな会話を交わしていた。
本日のシフォンケーキの中からホワイトベリーのシフォンを注文し、紅茶はマダムお薦めのブリティッシュ・ブランチ(スティーブン・スミス)をチョイス。
人生には残り時間というものがある。それは誰でも同じだが、長さは人によって違う。問題は、通常、その残り時間がどれほどのものかがわからないということである。もしやりたいことがあるのであれば、先延ばししないで、早めにとりかかったほうがよい。しかし、とくにやりたいことがないのであれば、いまの日々を大切にすることである。日々の生活を構成する人や、モノや、お金、そして体を大切にすることである。「お変わりないこと」がありがたいことなのだ。マダムとそんな話をした。
1時間ほどで切り上げるつもりでいたが、結局、先客のお二人も交えて、2時間半も滞在してしまった。閉店時間を30分オーバーした。
滞在中に桜のつぼみもほころんだようである。
夕食はとろける豆腐のゴマ味噌スープ、鮭、温泉玉子、ごはん。
食事をしながら『厨房のありす』(録画)を観る。
『福のラジオ』などをタイムフリーで聴きながら、3月12日(火)、13日(水)、14日(木)のブログを書いてアップする。
シャワーを浴びる。
1時、就寝。