私のファーストネームは「けんいち」なのですが、同じ読み方をする北海道の見市川(けんいちがわ)には親近感を抱いており、そんな感覚に導かれて2012年11月某日、野湯ファンには有名な見市川の野湯を探索してみることにしました。
国道から岐かれるこの砂利道からスタート。道に入ってすぐに車が入れる区間は終了。右手の高台には「見市温泉旅館」の貯湯タンクが鎮座しております。
貯湯タンクとは反対側へ進み、川へ向かって歩き出します。比較的歩きやすい道で、幅員から考えると4駆の軽自動車なら走れそうな気もしますが、途中には大きな陥没が開いており、その上を大きな鉄板で塞がない限り車両通行は不可能な現状でした。
中間地点の右手に見えるのは温泉旅館用のポンプ小屋。近くには、見市川は水産資源保護法で指定されている保護水面であるから河川での生物捕獲はNGである、という旨を告知する看板が立っているのですが、そこには川面に釣糸を垂らすかっぱの傍らで不敵な笑みを浮かべながら釣竿を片手に立っているクマのイラストが描かれており、このクマの表情が妙に不気味なんですね。
ポンプ小屋の下には乾燥した赤茶色の析出物丘が形成されていました。ネット上の情報によると、かつてはポンプ小屋からお湯が漏れ出ており、これが析出物丘を創りだしたらしいのですが、現在は漏出が止められているため、すっかりカラカラに干からびていました。
河原へ下りてきました。下りきってすぐにいくつかの温泉湧出ポイントや湯溜まりが発見できますが、逸る気持ちを抑えて、冷静に周囲を見回してみることに。
落ち葉に覆われているため画像ではわかりにくいんですが、河原へ下りきったすぐ左手には立派な析出物丘が出来ており、その表面をお湯が流れているため、落ち葉と泥でドロドログチャグチャな状態でした。そのてっぺんにはパイプが突き出ており、湯気を上げながらお湯が噴出しています。どうやら「見市温泉旅館」へ引かれている源泉のひとつのようです。
さてさて、どこか入浴できそうな場所はないかしら。
この日の気温は9.1℃だったので、野湯とはいえ、あまりぬるいお湯には浸かりたくありません。まずは上流の方から探索してみると、早速湯溜まりを発見。
湧出地点では51.8℃と高温なのですが…
湯溜まりまで流れると一気に下がって34.4℃というぬる湯になってしまいます。ほんの僅かな距離なのですが、湯量の少なさと湯溜まりの浅さが温度を急激に低下させてしまうのでしょう。決して入れない温度ではありませんが、浅すぎてお尻すら浸かれないため、残念ながらここはパスしました。
ちなみに更に上流にはコンクリで固められた曝気用のパイプが立ち上がっていました。この先にも何かありそうですが、面倒くさかったのでここで引き返すことに。
河原へ下りきったところへ戻って来ました。ここでもしっかり温泉が湧出し、流路を真っ赤に染めています。湧出ポイントに温度計を突っ込んだら45.7℃と表示されました。
そこから数メートル下った大きな岩の下にちょっとした湯溜まりがあるので、そこでも試しに計測したら、なんと43.6℃という入浴にはもってこいな温度ではありませんか!
その数値を見たら居ても立ってもいられなくなり、即座に全裸になって、湯だまりに寝そべって入ってみました。中年太りのオッサンが写る見難い画像でゴメンナサイ。湯溜まりの状態(深さなど)をお伝えしたく、画ヅラが悪いのを承知で載せてみました。このように仰向けになると半身が浸かる程度の嵩しかないのですが、実に良い湯加減だったので、この姿勢のまま数分間じっとし続けちゃいました。意外とこの程度の入浴でも体はそれなりに温まるものなんですね。
お湯の流路は鮮やかな朱色に染まっていますが、決してお湯が濁っているわけではなく、寧ろ無色透明で澄み切ったものであり、赤く見えるのは流路に沈殿付着した成分の澱です。従いまして、湯溜まりのお湯も入浴前には無色透明なのですが、私が足を踏み入れた途端に朱色の沈殿が撹拌され、お湯は一気に赤茶色に混濁して、私の体にもその沈殿がまとわりつきました。
どんな濁り湯でも大抵の場合は湧出直後は無色透明であり、その後圧力の変化や空気との接触によって濁りが発生するわけですが、このお湯はその現象を教科書的に示してくれているようです。ここのお湯が無色透明であるということは、それだけお湯が新鮮だということですね。
岩を挟んだ隣には、ぬるいけど程よく深い湯溜まりもあり、いかにも鈍った土類系の成分を多く含む泉質らしい黄土色に澱んだぬる湯がプールされています。
全身浴したかったのでここでも入浴してみましたが、深さは充分であったものの、案の定、お湯の鮮度感はよろしくなく、底の方はヌメヌメした不快なもので覆われていました。なお温度の計測は失念しちゃいましたが、体感で33~35℃くらいだったように記憶しています。このまま上がって服を着るのは腑に落ちないので、上述の適温半身浴の湯溜まりに戻り、手のひらで掬って掛け湯して温まってから着替えることにしました。
場所柄、大雨などによって河原の状態が変わる度に、湯溜まりの位置や状況もその都度変化するものと思われますから、次回訪問時は、適温で程よい深さの湯溜まりがあれば良いなあ、という希望を抱いています。
野湯につき温泉分析表なし
北海道二海郡八雲町熊石大谷町
(今回は地図による位置特定は控えさせていただきます)
私の好み:★★
国道から岐かれるこの砂利道からスタート。道に入ってすぐに車が入れる区間は終了。右手の高台には「見市温泉旅館」の貯湯タンクが鎮座しております。
貯湯タンクとは反対側へ進み、川へ向かって歩き出します。比較的歩きやすい道で、幅員から考えると4駆の軽自動車なら走れそうな気もしますが、途中には大きな陥没が開いており、その上を大きな鉄板で塞がない限り車両通行は不可能な現状でした。
中間地点の右手に見えるのは温泉旅館用のポンプ小屋。近くには、見市川は水産資源保護法で指定されている保護水面であるから河川での生物捕獲はNGである、という旨を告知する看板が立っているのですが、そこには川面に釣糸を垂らすかっぱの傍らで不敵な笑みを浮かべながら釣竿を片手に立っているクマのイラストが描かれており、このクマの表情が妙に不気味なんですね。
ポンプ小屋の下には乾燥した赤茶色の析出物丘が形成されていました。ネット上の情報によると、かつてはポンプ小屋からお湯が漏れ出ており、これが析出物丘を創りだしたらしいのですが、現在は漏出が止められているため、すっかりカラカラに干からびていました。
河原へ下りてきました。下りきってすぐにいくつかの温泉湧出ポイントや湯溜まりが発見できますが、逸る気持ちを抑えて、冷静に周囲を見回してみることに。
落ち葉に覆われているため画像ではわかりにくいんですが、河原へ下りきったすぐ左手には立派な析出物丘が出来ており、その表面をお湯が流れているため、落ち葉と泥でドロドログチャグチャな状態でした。そのてっぺんにはパイプが突き出ており、湯気を上げながらお湯が噴出しています。どうやら「見市温泉旅館」へ引かれている源泉のひとつのようです。
さてさて、どこか入浴できそうな場所はないかしら。
この日の気温は9.1℃だったので、野湯とはいえ、あまりぬるいお湯には浸かりたくありません。まずは上流の方から探索してみると、早速湯溜まりを発見。
湧出地点では51.8℃と高温なのですが…
湯溜まりまで流れると一気に下がって34.4℃というぬる湯になってしまいます。ほんの僅かな距離なのですが、湯量の少なさと湯溜まりの浅さが温度を急激に低下させてしまうのでしょう。決して入れない温度ではありませんが、浅すぎてお尻すら浸かれないため、残念ながらここはパスしました。
ちなみに更に上流にはコンクリで固められた曝気用のパイプが立ち上がっていました。この先にも何かありそうですが、面倒くさかったのでここで引き返すことに。
河原へ下りきったところへ戻って来ました。ここでもしっかり温泉が湧出し、流路を真っ赤に染めています。湧出ポイントに温度計を突っ込んだら45.7℃と表示されました。
そこから数メートル下った大きな岩の下にちょっとした湯溜まりがあるので、そこでも試しに計測したら、なんと43.6℃という入浴にはもってこいな温度ではありませんか!
その数値を見たら居ても立ってもいられなくなり、即座に全裸になって、湯だまりに寝そべって入ってみました。中年太りのオッサンが写る見難い画像でゴメンナサイ。湯溜まりの状態(深さなど)をお伝えしたく、画ヅラが悪いのを承知で載せてみました。このように仰向けになると半身が浸かる程度の嵩しかないのですが、実に良い湯加減だったので、この姿勢のまま数分間じっとし続けちゃいました。意外とこの程度の入浴でも体はそれなりに温まるものなんですね。
お湯の流路は鮮やかな朱色に染まっていますが、決してお湯が濁っているわけではなく、寧ろ無色透明で澄み切ったものであり、赤く見えるのは流路に沈殿付着した成分の澱です。従いまして、湯溜まりのお湯も入浴前には無色透明なのですが、私が足を踏み入れた途端に朱色の沈殿が撹拌され、お湯は一気に赤茶色に混濁して、私の体にもその沈殿がまとわりつきました。
どんな濁り湯でも大抵の場合は湧出直後は無色透明であり、その後圧力の変化や空気との接触によって濁りが発生するわけですが、このお湯はその現象を教科書的に示してくれているようです。ここのお湯が無色透明であるということは、それだけお湯が新鮮だということですね。
岩を挟んだ隣には、ぬるいけど程よく深い湯溜まりもあり、いかにも鈍った土類系の成分を多く含む泉質らしい黄土色に澱んだぬる湯がプールされています。
全身浴したかったのでここでも入浴してみましたが、深さは充分であったものの、案の定、お湯の鮮度感はよろしくなく、底の方はヌメヌメした不快なもので覆われていました。なお温度の計測は失念しちゃいましたが、体感で33~35℃くらいだったように記憶しています。このまま上がって服を着るのは腑に落ちないので、上述の適温半身浴の湯溜まりに戻り、手のひらで掬って掛け湯して温まってから着替えることにしました。
場所柄、大雨などによって河原の状態が変わる度に、湯溜まりの位置や状況もその都度変化するものと思われますから、次回訪問時は、適温で程よい深さの湯溜まりがあれば良いなあ、という希望を抱いています。
野湯につき温泉分析表なし
北海道二海郡八雲町熊石大谷町
(今回は地図による位置特定は控えさせていただきます)
私の好み:★★