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金沢の郊外にマニアック受けするB級な温泉があると知り、湯涌温泉方面で湯めぐりをした2012年10月下旬某日、その帰りに立ち寄ってみることにしました。場所はほぼ特定できていたので、プリントアウトした地図を片手に現地へ近づいてゆくと、ネット上の情報から得ていた通り、目の前に「通行禁止」の看板が立ちはだかる農道が現れました。この「通行禁止」バリケードの両側路面に轍が残っていることからもわかるように、軽はもちろん普通車でも通り抜けることができますので、そこを通って農道を更に奥へと進みます。
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しばらくは河原に広がる耕地の真ん中を走りますが、やがて耕地は尽きて藪ばかりの荒地となり、道路も非舗装となりました。非舗装だけならともかく、路面はドロドロで深い水溜まりも点在しており、両側からは藪がせり出ていてかなりの悪路です。私の車は普通のFF車ですから「もし駆動輪が泥や水溜まりにハマったらどうしよう」とビクビクしながらハンドルを握っていたのですが、そんな臆病な私をせせら笑うように、車体からは藪が擦れる嫌な音が響いてきます。後で車体をチェックしたら、しっかりと傷がついていました。
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悪路を突き進むこと数百メートルで、施設名が手書きされたテントが右手に見えてきましたが、字が消え掛かっているそのテントは雑草のツルで隠れちゃっています。
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途中で右折して目的地に到着です。この施設前にあった急な段が一番スタックしやすく、実際に車の底を軽く擦っちゃいました。施設の周囲には生活臭漂う物から粗大物まであらゆるゴミが散乱しており、施設自体も生い茂る雑草に埋もれています。はっきり言っちゃえば、完全に廃墟のゴミ屋敷です。建物にはちゃんと「犀末温泉」と書かれていますが、本当にこんなところで大丈夫なのか? この日、犀川の河原には気持ち良い青空が広がっていましたが、そんな天気とは裏腹に私の心には暗雲が立ちこめはじめました。
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建物の前には車内にキーがささったままの白いバンが一台止まっていたので、こんな状態でもどなたかいらっしゃるのだろうと思いながら戸を開けるみると、電灯がひとつ灯っていましたがいくら声を掛けても誰も出てこず、室内には足の踏み場もない程いろんなものが散乱して雑然としており、溜まった多くのゴミ類からは異様な匂いが放出されていました。下手に奥へ踏み込んで事件性があるような光景を目にするのは御免蒙りたいのですし、このままでは埒があかないので、ひとまず外へ出ることに。
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でもせっかくここまで来たのですから、お風呂だけは自分の目で見ておきたいという欲求が沸き起こってきたので、不本意ながら無許可のまま裏手の崖上に建つ浴室棟へと行ってみることにしました。そこへ向かう通路は完全に深い雑草に覆われており、藪こぎをしないと前へ進めません。浴場へは相当長い間、人が立ち入っていないことがわかります。
ようやくたどり着いた浴場棟ですが、戸を開けてみると妙にガランとした空間が広がっていました。既にイヤな予感はほぼ確信に変わっていましたが、念の為に奥へ足を踏み入れてみると…
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脱衣室は案の定、虚しい光景が…。
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浴室引き戸のガラスに貼られていた「掛け流し温泉」の文字が虚しい。
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浴室は完全に廃墟と化しており、浴槽は空っぽ、至る所に落ち葉が吹き込み、ゴミや虫の死骸があちこちに転がっていました。
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窓の外には露天風呂があるはずですが、雑草が茂って視界を遮り、何にも見えません。この藪の深さや高さが、温泉の廃業からどのくらいの時間が経過しているかを物語っているようでした。
まだローン返済中の愛車を傷つけながら訪問した犀末温泉ですが、残念ながらこのような惨憺たる有様となっており、入浴なんてできるような状態ではありませんでした。その後改めてよく調べたら、少なくとも昨年(2011年)の時点で既に廃業していたようですね。事前にしっかり調べずに出かけると今回のように骨折り損を被ってしまうわけです。温泉めぐりをしていると、しばしばこのような残念な結果に終わることも少なくないのですが、こちらのようなマニアック受けする温泉に関しては休廃業の情報が少ないため、遅ればせながらその事実をお伝えすると共に、愚かな私の失敗を笑っていただきたく、今回紹介させていただきました。