温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

曲水温泉 曲水苑

2012年12月17日 | 石川県・福井県

金沢市街から湯涌温泉へ向かう途中、県道から水田の広がる谷を下って反対側の丘へ上がった先の集落にある一軒宿「曲水苑」は、その佇まいから民家かと勘違いしてしまいそうですが、実は秘湯を守る会の会員宿なんだそうでして、山奥のアクセスしにくい秘湯とは別の意味の、周囲の民家に紛れて存在感を潜めてる隠れキャラ的な意味合いで、確かに秘湯と言えそうなお宿であります。今回はこちらで日帰り入浴させていただきました。



私が訪れたのは日曜の昼下がりでしたが、毎週日曜にはメロンパンの移動販売車がやってくるらしく、この日もフランス国旗のようなトリコロールのテントを張ってメロンパンやアイスを売っていました。お風呂から上がったら一つ買っていこうかと一瞥すると、テントで店番をしていた一人のお兄さんがやってきて、私が日帰り入浴の客だとわかると入浴料金を徴収していきました。この屋台はお宿の方が商っていらっしゃるのかしら。



母屋に隣接している低い屋根の、暖簾が掛かった木造の小屋が浴場です。館内には小さな帳場もあり、通常はこちらで料金を支払うようです。


 
ガラスの向こうに内湯が見える脱衣室にはロッカーとカゴが備え付けられており、客の好みに応じて両方使うことができます。さすがに旅館らしく、手入れがよく行き届いており気持ちよく利用できました。


 
内湯はかなりこじんまりしており、室内には木造の浴槽がひとつ、そしてシャワー付き混合水栓が3基据えられています。シャワーは吐出の水圧がちょっと弱めでした。


 
短い樋の湯口から源泉が落とされていますが、湯温がやや低いため、浴槽内には加温用の循環吸引&吐出口が開けられていました。循環といっても加温するだけでして、濾過や消毒を目的としたものではありません。



露天風呂は集落の下方に広がる水田やその山の緑を一望できる大変見晴らしの良いロケーションです。


 
狭い内湯を補完するためか、こちらにも洗い場が設けられていました。内湯と違って、こちらのシャワーはお湯が勢い良く出てきました。また周囲を囲う塀には編み笠が掛けられており、雨や雪の日にはこれをかぶって湯浴みするわけですね。


 
常時加温の内湯と異なり、露天は冬を除き原則的に加温なしの完全掛け流しのようです。
お風呂の脇には笠掛けされたポンプが据え付けられており、それにつながる塩ビのパイプからお湯が泡を上げながら浴槽の底で吐き出されていました。てっきりこのポンプは揚水ポンプで源泉を汲み上げているのかとおもいきや、吐出口の傍にも塩ビパイプがあって、その口を手で塞いでみたら吐出も止まってしまったため、ポンプは揚水用ではなく循環ポンプであることが判明。冬季は39℃くらいまで加温するそうですが、この循環装置によって冬季にかぎらず温度調整が行われているのかもしれませんね。循環といっても温度調整するだけですから、お湯の質感が損なわれるようなことはほとんどありません。

お湯は無色透明で湯中では焦げ茶色の膜を細切れにしたような湯の華が浮遊しており、、口に含むと塩辛さとニガリの味がはっきり感じられ、お湯を手で掬って鼻に近づけてみると磯のような香りと非鉄系の金気臭がほんのり湯面から放たれていました。ツルスベの中に引っかかりが混ざる浴感で、ぬるめですが食塩パワーによって力強い温浴効果が発揮されるので、湯上りはとても良く温まり、何時まで経っても汗が引きませんでした。
湯涌温泉から比較的近いにも関わらず、それとはかなり異なる塩辛いお湯を楽しめるところが面白いですね。温泉水を煮詰めたらいわゆる山塩ができるかもしれません。温かみのある木造の内湯と景色の良い開放的な露天、それぞれでしょっぱい温泉に湯あみできる素敵なお風呂でした。


1号泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 46.7℃ pH8.3 81.3L/min(動力揚湯) 
Na+:3860mg(63.30mval%), Ca++:1903mg(35.79mval%),
Cl-:9255mg(95.70mval%), SO4--:521mg(3.98mval%),

石川県金沢市七曲町ハ132-1  地図
076-235-1717

平日10:00~22:00、土日祝9:00~22:00(日曜は朝7:00~) 火曜定休
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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