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前回取り上げた野湯「展望台の湯」から戻った後、きちんとしたお風呂に入って衛生的になりたく、その近くにある「知内温泉旅館」で日帰り入浴してまいりました。秘湯を守る会に属する一軒宿のこちらは北海道で最も古い温泉らしく、源頼家の家来一団が金山を見つけるべく、宝治元年に労働者数百名を引率しながら津軽海峡を渡って知内へやってきた際に、その鉱夫たちが打身や切傷に効能のある温泉の湧出を発見したんだそうです。宝治年間ですと既に頼家はあの世に逝っちゃってますので話の整合性には首を傾げたくなりますが、元号の方を基準にして計算してみますと765年前に開湯されたことになりますね。といっても、この歴史はあくまで大和民族(和人)の目線で語ったものであり、入浴利用の有無はともかく、アイヌの方々ははるか以前から道内各地で温泉の恵みを享受していたはずですから、本当の歴史は更に遡るのでしょう。
館内に入るとご主人が快く日帰り入浴を受付けてくださいました。玄関左手の帳場にて料金を支払います。こちらには旧浴室・新浴室・露天という3つのお風呂がありますが、まずは帳場左側の旧浴室へ向かうことにしました。
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旧浴室へ向かう途中の廊下やそれに面する客室は、改装されていてとっても綺麗です。
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鍵が開いていた客室があったので、ちょっと覗かせてもらいました。広いお部屋は和洋折衷といった造りで、ベッドとお座敷が用意されており、畳の上の布団が苦手な方も、旅館といえば和室に限るというこだわりを持つお客さんも、幅広く受け入れることができるハードが用意されていました。当地は北海道新幹線の開業を控えていますから、いろんなニーズに答えられる体制が求められているわけですね。
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通路の突き当たりには旧来の建物が未改修のまま利用されており、左手は休憩スペース、右手は旧浴室の入口となっています。
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僻地の鄙びた旅館らしい風情を強く漂わせる古色蒼然とした脱衣室。
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浴室に入って驚いたのが、床をびっしりと覆い尽くす千枚田状態の石灰華です。山を越えたお隣の上ノ国町にある湯ノ岱温泉を思い出してしまいますが、この辺りはこうした石灰華を生成しやすい温泉が多い地域なのかもしれませんね。
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洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基取り付けられており、コックを捻ると沸かし湯が出てきます。男女両浴室を仕切る塀は石積みのような造りでやや低めですが、かといって向こう側のお風呂が見えちゃうわけではありませんから、殿方は下手な期待を抱かないように…。この仕切り塀の上には木を模した飾りが立っており、無機質なコンクリの浴室にアクセントを加えていました。
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浴室の右隅には打たせ湯状の湯口があって、大きな浴槽へ絶え間なく源泉を落としているのですが、この湯口周りに付着した析出がなかなか立派でして、石積みの壁にベージュの石灰析出がコンモリと大きく盛り上がっており、温泉ファンでなくともその姿には目を奪われること必至です。
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床や湯口周りのみならず、上画像のように浴槽の底も爬虫類の鱗みたいに石灰がボコボコとこびりついて、底一面に細かな起伏を作り出していました。
お湯はほぼ無色透明ですが僅かにベージュ色を帯びているように見えます。打たせ湯のそばに置かれているコップで飲んでみますと、薄い塩味と石灰味が感じられ、粉っぽく且つ重い感じの味わいです。重炭酸土類泉的なキシキシとした浴感も伴っているものの、基本的には食塩泉や重曹泉らしいツルスベ浴感が勝っており、湯上りはとてもよく温まります。脱衣室には3つの源泉の分析表が掲示されており、どの源泉をいかに使用しているのかはよくわかりませんが、ネット上の情報によれば、男湯と女湯では使用源泉が異なっているんだそうです(どうやら女湯では1号井の源泉が使われているらしい)。
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浴室の外には湯倉神社という小さなお社があり、窓を開けると鳥居の傍に立っている紅葉が鮮明な真紅に染まっていました。
続いて新浴室と露天風呂を取り上げますが、文章が長くなってしまうので、それらについては次回(後編)にまわします。
湯ノ里1号井(乙)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 65.0℃ (自然湧出)
湯ノ里2号井(丙)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 60.4℃ pH6.6 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質3.148g/kg 成分総計3.426g/kg
Na+:735.5mg(69.69mval%), Mg++:55.9mg(10.02mval%), Ca++:122.4mg(13.31mval%),
Cl-:900.3mg(57.56mval%), HCO3-:1078mg(40.06mval%),
H2SiO3:57.3mg, HBO2:27.1mg, CO2:278.3mg,
湯ノ里3号井(丁)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 54.1℃ pH7.0 61L/min(自然湧出)
所在地や営業時間・料金などに関しては次回(後編)記事にて掲載します。
次回に続く