温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

半出来温泉 登喜和荘

2009年04月18日 | 群馬県


群馬県吾妻地方を東西に走る国道144号に沿って建つ一軒宿です。JR吾妻線の袋倉駅からも余裕の徒歩圏内にあるのですが、そのルートがなかなか面白い。まず駅を出て線路を潜ると視界の先に小さな看板が見えてくるので、これの示す通りに進むと突然畦のような杣道になります。畑と雑木林に挟まれながらその杣道をてくてく歩き、坂を下りきると次に待ち構えるのは細い吊り橋で、ゆらゆら揺られながら吾妻川を渡ると、すぐそこに登喜和荘があるという次第です。


この吊り橋を渡ります


旅館というより民宿とでも言うべき風情で、温泉に入るというよりお湯を借りに行くといった言葉が似合いそうな感じです。お風呂は男女別の内湯と混浴の露天があり、内湯では壁から突き出た鉄パイプから木製の浴槽へお湯が静かに絶え間なく注がれ掛け流されています。内湯の浴槽はこのひとつだけで至ってシンプルな造りです。無色透明のお湯からは金気の匂いがおぼろげに漂い、湯口に置かれたコップで飲んでみると塩味と金気味、そして微かな炭酸味が感じられました。界隈の吾妻川沿いの温泉に見られる特徴がとてもよく出ている良質のお湯だと思われます。

一方、露天へは内湯から一旦出て裸のままお庭を10メートル程歩かねばならず、上述の吊り橋や辺りの畑からは丸見えなので、女性の方にはちょっと辛いかもしれません。しかし吾妻川を見下ろすロケーションが実に爽快。こちらも木製の浴槽で、内湯よりはぬるめのお湯が張られており、長湯するにはもってこいです。この浴槽と並んで幾分熱め(とはいえ普通のお風呂よりはぬるい)のお湯が注がれている樽風呂もありますが、この樽はかつて味噌を仕込むために農家で使われていたものなんだそうです(樽風呂はかなり草臥れていたので私は入りませんでした)。
長閑な山の中で渓流を見下ろしながらぬるめのお湯に浸かっていると、時間の経過を完全に忘れてしまいます。草津や万座といった名所に隠れて目立たぬ存在ですが、それゆえに穴場といえましょう。







ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
42.5℃ pH7.0 成分総計4.96g/kg

JR吾妻線・袋倉駅 徒歩8分

群馬県吾妻郡嬬恋村今井97-1 地図
0279-97-3373
ホームページ

8:00~20:00
400円

私の好み:★★★
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剱持温泉 昭吉の湯

2009年04月17日 | 静岡県


初めて訪れた時には「伊豆にもこんな秘湯があったんだ」と思わず感激してしまった温泉です。場所はかの有名な観音温泉の手前にあります。途中までは観音温泉と同じルートの狭い道で、看板が立っているところで左折し更に狭く急な道をひたすらクネクネ登っていくと辿りつきます。

管理人さんがいらっしゃる家の呼び鈴を鳴らして中から出てくる方に料金を払い、奥にある露天風呂へ向かいます。露天風呂は太く立派な柱と梁が目立つ屋根に覆われていますが、高い屋根のために開放感は確保されています。なにしろこのお風呂自体がかなりの高台にあるため、非常に見晴らしが良い。南伊豆の山並みを一望できて爽快です。

お湯の方も無色透明無味無臭ながら独特のヌルヌル感があって、とても気持ちよい浴感です。無論源泉掛け流し。山奥という立地ゆえお客さんの足もさほど多くなく、今まで何度か訪問していますが、いずれもお湯を独り占めできました。東京からそんなに離れていない場所にもかかわらず、遥か彼方まで続く山並みを見渡たしながら、森の静けさに包まれて極上のヌル湯に浸かることができる、まさに天国にいるかのような温泉です。ちなみに昭吉とはこの温泉を掘り当てたおじさんのお名前だそうです。




アルカリ性単純泉
48.0℃ pH9.48

静岡県下田市横川1066-36 地図
0558-28-0457

10:00~20:00 無休
700円

私の好み:★★★
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(旅グルメ) 新庄 そば処 いせき

2009年04月16日 | 山形県


温泉を巡る旅に欠かせないのが、自分の舌と腹を満足させること。お風呂に浸かってほっこりさっぱりした後は、どうしても美味しいものが恋しくなります。当ブログは自分で訪れた日帰り温泉の紹介を主旨としていますが、その旅程で足を留めて舌鼓を打った美食の記録もここに残しておこうと思います。

まずはじめは山形県新庄のそば屋「いせき」。
山形県の最上地方は蕎麦どころで美味しい日本蕎麦を食べさせてくれる名店が多いのですが、その中でも今回紹介する「いせき」は私が新庄を訪れるたびにお世話になっているお店です。場所は最上公園(新庄城址)近く、新庄市民文化会館の前に位置しています。

店内は綺麗で明るいがゆえに開放感があり、BGMにジャズが流れていて地味にお洒落。天然木の大きな卓が据えられた席に座って板天そば(板そばと天ぷらのセット、1300円)を注文。3時の閉店間際に訪れたためか客は私一人。ジャズの向こう側からは厨房の音が伝わってきます。蕎麦を茹でるお湯からあがる湯気が厨房に満たされることによって、天ぷらを揚げる音、蕎麦を湯切りする音が反響して聞こえ、否が応にもこれから味わう蕎麦に対する期待が高まってきます。

さて目の前に提供された板そば。文字通りざるではなく浅い箱板の上に蕎麦が盛られているもので、蕎麦の放つ輝きと透明感からは視覚によっても味が伝わってくるようです。日本蕎麦を味わうに欠かせない要素である程よい歯ごたえ、つるっとした喉越し、そして噛んだ後に喉の奥から鼻へ抜ける薫り、いずれも佳。昆布と鰹の合わせ出汁と思われるつけ汁もそばに合っておりこれまた佳。さくさくの天ぷらは目にも鮮やかで無論味わっても美味。
明るく且つ落ち着いた雰囲気で美味しい蕎麦を手繰ることができる、新庄では貴重な名店だと思います。






JR山形新幹線・奥羽本線他・新庄駅 徒歩15分
山形県新庄市大手町2-28 地図
0233-22-2681
ホームページ

11:00~15:00
休業:第1・3・5日曜日及び他の週の火曜日

いせき (そば / 新庄)★★★★ 4.0

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勝浦温泉 はまゆ

2009年04月15日 | 和歌山県


関西には有馬という歴史のある立派な温泉郷がありますが、それ以外に目立った温泉地は少なく、北関東や伊豆を擁する関東に比較するといまひとつボリュームに欠けるところがありますが、視線を南の紀州・和歌山県に移すと白浜をはじめとして良質な温泉郷が点在していることに気づきます。

紀伊半島の南部に位置する勝浦はマグロの水揚げで有名ですが、そんな勝浦の漁港の奥、八幡神社が鎮座する静謐の入り江に、昭和から時間が止まったかのような古き良き温泉銭湯「はまゆ」があります。造りは至ってシンプルで、木戸を引き開けるとそこには番台があり、脱衣所に貼られた古めかしい広告を眺めていると、温泉地の共同浴場というよりは場末の銭湯という言葉が相応しいように思われます。浴室に入るとプンと硫黄の匂いが鼻をつきます。タイル貼りの浴槽には無色透明のお湯が掛け流されており、カランから出るお湯も源泉です。硫黄の匂いに呼応するかのように薄いたまご味、そして薄い塩味とかすかな苦みが感じられました。硫黄のお湯が好きな方には十分満足のいく実力を有したお湯です。

これといった特徴のない、典型的な昭和の銭湯といった佇まいですが、余計なものがないからこそお湯の良さを実感できるかと思います。昭和にタイムスリップしながら海辺の銭湯で一汗流がし、湯上りの火照った体に潮風が当たれば、湧きあがる旅情もひとしおです。




勝浦の朝の名物 マグロの競りの光景


含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
43.6℃ pH8.2 104L/min 成分総計1469mg/kg 

JR紀勢本線・紀伊勝浦駅 徒歩15分(1.4km)
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大勝970 地図
0735-52-1201

13:00~22:00 毎月7日・22日休
320円

私の好み:★★
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定山渓温泉 白樺の湯

2009年04月14日 | 北海道
※2012年1月現在、休業中のようです。


札幌の奥座敷である定山渓には数多くの温泉施設や旅館が林立していますが、そうした中でも地味ながらちゃんとしたお湯を手ごろな価格で堪能できる日帰り温泉施設が「白樺の湯」です。

札幌という都市が間近にある立地条件が災いして、定山渓には掛け流しのお湯が提供してされている施設はあまり多くないのですが、この「白樺の湯」は源泉100%の新鮮なお湯を売りにしており、定山渓にあっては貴重な存在です。ペンションのような建物の中に入ると休憩兼軽食スペースが右手に、浴室が左手に配置されており、屋内の浴室にはヒバの縁でタイル貼りの大浴槽・薬湯・水風呂が、屋外には露天風呂とサウナがそれぞれ設けられています。

露天風呂と屋内の大浴槽にはここの売りである100%源泉が注がれていました。お湯は無色透明・無臭で、薄っすらまろやかな塩味が感じられます。食塩泉だけありお風呂から上がった後も湯冷めしません。施設側の説明によれば「レジオネラ菌の温床になるジャグジーや、水しぶきを発生する打たせ湯、気泡装置なども設置せず、塩素滅菌もしておりません」とのことで、これは温泉を愛する人間にとって非常に嬉しい姿勢です。
私の訪問時には吹雪の荒れる豪雪で露天風呂の開放感を楽しむことなどできなかったのですが、晴れていれば木陰のもと豊平川を見下ろしながらさぞかし心地よく入浴できることでしょう。






ナトリウム-塩化物泉
54.2℃ pH6.7 湧出量不明(自然湧出) 成分総計3.160g/kg


札幌市南区定山渓温泉西1丁目 地図
011-598-5600
ホームページ

10:00~21:00 月曜定休(祝日の場合は翌日)
平日17:00まで→700円 平日17:00以降→500円 土休日(終日)→700円

私の好み:★★
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