銀山温泉はドラマ「おしん」で脚光を浴びて以来、山形県では屈指の知名度を誇る温泉地となり現在に至っています。V字の狭い谷底を流れる銀山川の両岸に沿って、大正から昭和初期に建てられた和洋折衷の旅館が軒を並べ、それぞれが三層四層といった多層建築で、唐破風の玄関に格子の窓、木造のバルコニー、鏝絵(漆喰のレリーフ)で飾られた外壁、歩道沿いに建てられたガス灯など、大正ロマンを感じさせる光景は温泉マニアならずとも多くの人に知られるところとなっています。いかにこの光景が美しいかは多くの方が筆で写真で世に発していますので、ここでは多くを語りますまい。
銀山温泉の風景
遊歩道に設けられた足湯「和楽足湯」
この銀山温泉には外湯がふたつあり、そのひとつが温泉街の中心に位置する「大湯」です。無人で各自料金箱にお金を投入します。大湯とはいっても中に入るとかなりこじんまりとしており、脱衣所は3人も入れば窮屈に感じられるほどで、浴槽も3人が限度でしょう。昔からの外湯なのでロッカーなどは無く、確か浴室にはカランも無かったはずです。湯船には無色透明で熱めのお湯が、高温のため加水されているものの放流式で注がれています。
訪問時には誰もおらずお湯を独り占めできましたが、しばらく来客がなかったのか、かなり熱めだったため、純粋なお湯を楽しみたかったのですが、止むを得ず水で薄めて入ることにしました。それでも銀山ならではのお湯の特徴はしっかりと残っており、湯面に鼻を近づけると焦げたタマゴの匂いが鼻孔を巡り、湯口のお湯を掬って飲んでみると塩味においしい出汁の味、そしてタマゴの味がミックスされたような味が感じられました。
江戸時代の寛保年間には既に湯治場として賑わっていたという歴史あるお湯を、安い料金でしっかり堪能できる、まさにsimple is best の外湯です。
シンプルな浴室内
熱い源泉が注がれる湯口
含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
61.4℃ pH6.8 蒸発残留2246mg/kg
山形県尾花沢市銀山新畑 地図
銀山温泉ホームページ
8:00~20:00
200円
私の好み:★★