温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

上牧温泉 大峰館

2013年09月23日 | 群馬県
 
ネット上で評判の良い上牧温泉「大峰館」を訪ね、日帰り入浴で利用してまいりました。結論から申し上げますと、上牧であんな良い湯に出会えるとは想像だにしませんでした。
こちらでは自家源泉が使われており、玄関前にはその源泉を口にできる飲泉所が設けられています。


 
女将さんは日中は館内のお掃除や来客準備で大童のようでして、訪問時(午後3時頃)は帳場で声をかけても一向に返事が無く、勝手に館内へ入って奥の方で声を掛けてようやく私の存在に気づいてくれました。折しもこの日には月夜野でホタル祭りが催されており、矢瀬親水公園や上毛高原駅の西側などでは多くの観光客がホタル観賞を楽しんでおりましたが(私はこの日の晩に上毛高原駅西側のホタル観賞コースを散策しました)、帳場の案内によれば、お宿の駐車場でもホタルが楽しめるんだとか。



女将さん曰く、お風呂へ行くには「右に曲がって階段降りて、を繰り返してくださいね」とのことで、その指示の通り、館内の通路を進んでは右折してステップを下りる、を数度繰り返してお風呂へと向かいました。その途中で目に入ってくる館内は実に洗練された上品な内装でまとめられており、女性客のみならず男性客でも気に入ること間違いなし。


 
浴場手前には懐かしい柱時計が掛かっており、またその知覚には湯上がりに喉を潤せるよう、冷やした温泉水は用意されていました。試しに飲んでみますと、喉をすぅーっと流下して速やかに体へ吸収されるのが体感でき、芒硝感を有する中硬水の味が口腔に残りました。なんと、この温泉は飲泉許可を得ているのです。立派です。


 
脱衣室もとっても綺麗で広さも充分。使用に当たってのストレスは一切ありません。


 
窓ガラスから外光が降り注ぐ浴室も清潔感が漲っています。室内の床や後述する浴槽には緑色凝灰岩が敷かれており、多孔質の優しいフィーリングゆえに足の裏も快適です。洗い場にはシャワー付き混合水栓が5基並んでいます。


 
緑色凝灰岩が敷き詰められた浴槽は8人サイズで、縁には木が用いられ、その縁からはお湯がしっかりとオーバーフローしており、人が湯船に入るとザバーっと勢い良く溢れ出ていきます。浴槽中央の底には金属の蓋がありますが、特に吸引などは行われておらず、完全掛け流しの湯使いです(湯口にもその旨が記された札が立てられています)。湯口で吐出されるお湯は44~5℃ですが、湯船では42~3℃という実に入り心地の良い湯加減がキープされていました。


 
浴室内で私の目を惹いたのが、この上がり湯です。白い析出がこびりついている水栓から白く泡立ったお湯が落とされており、木の槽内でもお湯が気泡で白く濁っているのです。お湯はもちろん温泉でして、浴槽のお湯には気泡があまり見られなかったことから、この気泡は温泉由来ではなく、配管内や送湯の段階で発生したものと思われますが、それにしてもこの気泡はきめ細かくシルキーな感触があるので、一見(というか一触)の価値ありです。



露天風呂は日本庭園の中に設けられたような佇まいの岩風呂で、屋根が伸びて全体を覆っています。用いられている岩の形がいびつなので浴槽の形をイメージしにくいのですが、おおよそ3~4人サイズといったところで、カエルの石の湯口から源泉が注がれ、浴室側にあけられた浴槽側面の穴より排湯されており、こちらも完全掛け流しです。


 
カエルの湯口の周りやその周囲の岩には白い析出がビッシリと付着しています。白い析出ならば北毛地域のグリーンタフ型温泉では当たり前のように見られますが、この温泉で注目すべきはカエルの下の流路に付着している硫黄由来と思しきゼリー状の幾筋ものユラユラでして、界隈の温泉でこの手の現象が見られるのは珍しいかと思われます。

お湯は無色澄明で、澄み切ったお湯の中では白色や薄い茶色の浮遊物がチラホラ舞っています。硫黄由来の現象が目に見えていることからもわかるように、お湯を口にするとタマゴ的な匂いと味がはっきりと感じられ、これと並行して芒硝味と微塩味、そしてふんわりとした石膏の匂いと甘い石膏味が確認できました。トロミの豊かなお湯に体を沈めると、肌にはキシキシ感とスベスベ感が絡み合いながら伝わり、良好な鮮度感と懐深い浴感が全身を優しく包み込んでくれました。そして湯中では自分の肌が青白く見え、湯面で立つさざなみはキラキラと虹色に輝いていました。
しっとり抱擁してくれる上品な浴感、芳しいタマゴ感、そしてしっかりとしたパワーを発揮してくれる芒硝感と石膏感、これらのファクターがチームワークを形成して素晴らしい浴感を生み出しており、湯船から出ようと思っても浴感の良さ故に出られず、湯上がり時も後ろ髪を強く引かれる思いでした。お湯のクオリティ、清潔且つ明るい浴室、どれをとっても非の打ち所がありません。あまりに感動してしまったので、帰宅後に親戚や職場の方に紹介してしまいました。おすすめです。


大峯の湯
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 44.3℃ pH7.9 蒸発残留物1.54g/kg 成分総計1.50g/kg
Na+:277mg, Ca++:186mg,
Cl-:309mg, SO4--:609mg,
H2SiO3:48.7mg, HBO2:19.0mg,

上越線・上牧駅より徒歩10分強(850m)
群馬県利根郡みなかみ町石倉229  地図
0278-72-3329
ホームページ

11:00~20:00(受付19:00まで)
800円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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猿ヶ京温泉 某所集会施設の浴場

2013年09月22日 | 群馬県

ある日の夕刻、猿ヶ京温泉の某所にある集会施設へ向かいました。こちらは温泉ファンの間ではちょっと知られた存在ですが、この集会施設には温泉の浴場があって、外来者も来る者拒まずで利用できますので、その恩恵に与るべく伺ったわけです。とはいえ原則的には地元の方のお風呂ですから、念のため詳しい場所の説明は控えさせていただきます。


 
受付窓口のカウンターに置かれている料金箱に100円玉を3枚投入して、お風呂がある階下へ。なお受付には基本的に無人状態のようですが、料金を支払えばそのまま入館しちゃってOKのようです。


 
階段を下りて廊下を進み、右手に広がる広いお座敷を通り過ぎていきます。



こちらが浴室入口で手前が男湯です。決して倉庫や機械室の扉ではありません。津々浦々、公民館などの福祉施設に付帯する浴場って、あくまで館内設備の one of them 的な位置づけであり、ちっとも目立っていないのが(逆説的ですが)特徴的であります。


 
この手のお風呂にしては脱衣室が広く、中小規模の旅館と大差ないかもしれません。しかもきちんと整理整頓されています。扇風機も取り付けられているので、湯上りに涼むこともできます。


 
ビニルテープを切って貼り付けたような、青と赤の文字の注意書きが目を惹きます。


 
この日は私が最初の客だったらしく、小さな丸いモスグリーンの濃淡のタイルが敷き詰められた浴室の床は乾いており、桶などもきちんと並べられ、換気扇もしっかり回って湯気籠りが無い快適な環境が保たれていましたので、管理なさっている方に感謝しながら利用させていただきました。
洗い場は浴室の左右に分かれて計4つのカランが配置されており、そのうち3つのカランが並ぶ右側は1つがシャワー付き、一方で1つしかない左側もシャワー付きです(画像には写っていません)。カランから吐出されるお湯には源泉が引かれているようでして、はじめのうちはなかなかお湯が出てきませんでしたが、やがて熱い硫酸塩泉らしいお湯が吐出されてきました。



浴槽は装飾のない実用本位なコンクリ造の3人サイズ。底や側壁と槽の接合部分には幾筋ものクラックが走っており、大きなお世話ですが、早めに補修したほうがいい状態かも。そんな浴槽を満たしているお湯は浴槽縁から絶え間なく静かに溢れ出ています。


 
浴槽のお湯は専用の水栓より注がれており、そこには白い析出のトゲトゲがビッシリ&コンモリと付着しています。注がれるお湯は直接触れないほど熱いのですが、絶妙な投入量と程々の加水により、湯船では実に入りやすい42~3℃が維持されていました。使用されている源泉は町有1号泉でして、お湯は無色透明ですが、澄み切ってはおらずにボンヤリと霞んでいるように見えます。とはいえお湯が鈍っているわけではなく、むしろ新鮮そのもので、鮮度感良好な気持ち良いお湯です。なお湯の花などは見当たりません。匂い・味ともに薄い石膏感と芒硝感がバランス良く主張しあっており、硫酸塩泉らしいトロミやキシキシ浴感がしっかりと感じられました。


町有1号泉
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 61.0℃ pH7.2 400L/min(動力揚湯) 溶存物質1.52g/kg 成分総計1.54g/kg
Na+:234mg(46.42mval%), Ca++:222mg(50.68mval%),
Cl-:247mg(32.95mval%), SO4--:619mg(61.01mval%),
H2SiO3:74.9mg, HBO2:27.3mg,

群馬県利根郡みなかみ町猿ヶ京温泉某所

17:00~22:00
300円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (2)
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川古温泉 浜屋旅館

2013年09月21日 | 群馬県
 
真夏の暑い日にはぬるめの露天風呂に入ったらさぞかし爽快だろうと考え、上州・猿ヶ京の東の山中、細い一本道のどん詰まりに佇む一軒宿「川古温泉 浜屋旅館」で日帰り入浴してまいりました。山奥の秘湯らしからぬ立派な建物にちょっと驚きますが、山と川に挟まれた限られた土地を有効に活かすべく、玄関の間口こそ狭いものの、奥および垂直方向にスペースを確保しているんですね。


 
渓谷に面して開放的で明るいフロントおよびロビーは、立地環境をうまく活かした造りでして、大きなガラス窓により、館内に居ながらにして、美しい清流のせせらぎや山の緑が目の前に迫ってくるかのようです。



エレベータで1フロア下へ降り、廊下を進んだ先にある浴室へと向かいます。浴室は手前から女湯・男湯・混浴の3つに分かれており、それぞれに脱衣室と内湯が用意されているのですが、今回は男湯の方を利用させていただくことに。



脱衣室はコンクリ打ちっぱなしでモダンな感じ。洗面台にはドライヤーも備え付けられています。なお室内にロッカーは無いので、貴重品の保管には1階帳場前の100円有料ロッカーを使うことになります。


 
男湯内湯の様子。コンクリ打ちっぱなしの壁に白木の木材を並べて立てかけることにより、落ち着いたクールさと木材が放つぬくもりを共存させる、モダン和風らしい空間となっています。またガラス窓からは渓谷から降り注ぐ柔らかな外光が入り、湯船を優しく照らしていました。洗い場にはシャワー付き混合水栓が2つ設けられています。



2つのシャワーの間には上がり湯用の鉢が置かれており、くり抜かれた中央の底からは温泉が噴き上がっていました。湯量が豊富だからこそできる小業ですね。


 
分厚い木の縁で囲われた浴槽は2~3人サイズ。槽内のステップには緑色凝灰岩が用いられ、底には玉砂利が敷かれており、無色澄明なお湯の清らかさが玉砂利の美しさによってより際立っていました。お湯は底より供給されており、湯面上の湯口は使用されていませんでしたが、投入量自体はかなり多く、縁から惜しげも無く贅沢に溢れ出ていました。湯船の温度は40℃くらいで実にコンフォータブル。小さな浴室ですが、そこで用いられている材質の良さがよく伝わってくる、とても贅沢で落ち着けるお風呂です。



一方、こちらは混浴浴室の脱衣室。男湯よりもやや広めとなっており、長期滞在の湯治客のためか、洗濯機が設置されています。


 
混浴内湯の様子。基本的な造りは男湯内湯とほぼ同様であり、こちらでもふんだんにお湯が掛け流されていますが、室内空間や湯船の大きさは若干広めに確保されています。でもシャワーはひとつだけ。



ちゃんと洗い場には上がり湯がありました。


 
内湯から屋外に出て軒先を進んだ先に大きな露天風呂があるのですが、その手前には飲水および飲泉所が設けられており、2つ並んでいるつくばいのうち、右側の白い析出がビッシリとこびりついている方が温泉の飲泉所です。一方、左側は川古の湧水なんだそうでして、この湧水を飲んでみますと、全身がシャキッと冴え渡るほど清冽な美味しさが喉を潤してくれました。温泉の味については後述します。



各内湯と露天風呂を連絡する軒下は休憩スペースを兼ねており、腰掛けに座って紫煙を燻らせながら、渓流の風にあたってゆっくりと涼んでいる湯浴み客の姿も見られました。


 
石灯籠が設けられた日本庭園の中で漫然とお湯を湛える大きな池のような露天風呂は、周囲を大きな岩で囲まれた岩風呂であり、山の緑と渓流のせせらぎに彩られた、とても爽やかな環境です。山の緑のみならず、お風呂の周りにはツツジなどの灌木も植えられているので、季節のよっては花や紅葉も一緒に楽しめるでしょうね。また露天の約半分は東屋で覆われているので、多少の悪天候時でも問題なく湯浴みできるでしょう。


 
この露天風呂は混浴でして、女湯内湯には混浴に慣れないお客さん向けに湯浴み着が用意されているそうですが、お風呂の中央には半島のように岩が突き出ており、これを目隠しにして男女をうまく区分することもできそうです。


 
露天風呂へ滝のように音を轟かせながらドバドバと湯を落としている石樋の裏には、白い析出があごひげのように付着していました。


 
上述の石樋のみならず、半島状の岩の仕切りを向こう側でも、もう一つ湯口があり、ここからもしっかりとした量のお湯が投入されていました。



露天風呂に注がれた大量のお湯は湯面を波立たせながら湯船を満たし、そして渓流に向かって用水路の如く大量に排湯されています。

毎分700リットルという湯量が自慢の川古温泉のお湯は、とても清らかな無色澄明で、お湯の中では肌が青白く見え、湯面に立つさざなみはキラキラと虹色に輝いています。内湯では石膏臭と弱タマゴ臭が嗅ぎ取れ、飲泉すると明瞭な石膏味と共に弱タマゴ味も付帯してきます。入浴すると濃い石膏泉らしいトロトロ感や引っ掛かり浴感がはっきりと全身に伝わってきます。40℃に満たないので真夏でも爽快感があり、入浴中でも体への負担が少ないので、山の緑に抱かれながらいつまでも長湯できちゃいます。
また硫酸塩泉らしいパワフルさも発揮され、ぬる湯にもかかわらず、湯上り後は体の芯で燃料を燃やしているかのような温まりが持続されますが、それでいて後腐れのない爽快感も得られるのが面白いところです。品の良いジェントリーな浴感やマイルドなフィーリングとともに、体へガツンと衝撃を与えるようなパワフルさも具有しており、多面な個性や実力を兼ね備えたこのお湯は上州のぬる湯の名湯と称しても過言では無いでしょう。

湯治目的のお客さんも滞在するほどのお宿ですから、歓楽色とは一切無縁、山深い静かな環境の中で、時間を忘れてゆっくりと過ごす温泉であります。次回は宿泊で利用してみたいものです。


浜屋の湯
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 39.9℃ pH7.9 溶存物質1.37g/kg 成分総計1.37g/kg 
Na+:129mg(29.49mval%), Ca++:262mg(68.98mval%),
Cl-:91.4mg(13.42mval%), SO4--:774mg(83.87mval%),
H2SiO3:64.8mg,

群馬県利根郡みなかみ町相俣2577  地図
0278-66-0888
ホームページ

日帰り入浴10:00~16:00
1000円
ロッカー(有料100円)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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漣温泉 のぞみの湯 2013年初夏再訪

2013年09月19日 | 群馬県

旧新治村エリアの国道17号を走っていたら、以前拙ブログで取り上げたことのある「漣温泉 のぞみの湯」の外壁が白く塗り替えられ、屋根のトタンも葺き替えられていることに気づいたので、久しぶりに再訪してみることにしました(以前の記事はこちらです)。建物自体は以前のままなのですが、老朽化が激しかった箇所を中心に改修工事が行われたようですね。


 
施設前の低い屋根が掛けられているところには源泉井らしき設備があり、そこから湯屋脇のボイラーに向かって配管が通っています。


 
脱衣室内はほぼ以前のままでして、「施設が老朽化しておりますので台風並みに強風の時には事故防止のため入浴をを控えるようお願いします」という、この湯屋ならではの注意書きも相変わらずです。


 
壁に括りつけられている料金箱に100円玉を投入すると、チャリンと乾いた音が室内に響きます。無人施設であるために1円玉で誤魔化して利用する輩もいるそうですが、このお湯の利用者にそんな人がいるかと思うと、とても残念です。


 
以前のままだった脱衣室とは打って変わって、浴室には手が加えられて小奇麗になっており、以前は裸の石膏ボードが剥き出しになっていた内壁はクリーム色の塗装が施されており(一部は早くも剥げ始めていますが…)、浴槽も以前より分厚い木の板で組まれた頑丈なものに生まれ変わっていました。湯船の容量は以前同様3人サイズです。


 
お湯には変化がなく、見た目は無色透明、ふんわりとタマゴの味と匂いが感じられ、ほんのりと芒硝感も帯びているようです。源泉温度が34~5℃であるためボイラーで41℃前後に加温していますが、加水循環消毒などは行われておらず、しっかり放流式の湯使いです。ここのお湯に入浴すると忽ち全身が夥しいほどの気泡に覆われ、この気泡付着によるフワフワ感や、アルカリによるツルツルスベスベ浴感が実に気持よく、程よい加温による絶妙な湯加減も加わって、一度入ると出るのが躊躇われてしまうほど、いつまでも浸かっていたくなる魔力を有しています。北毛地域に湧く温泉はグリーンタフ系、すなわち無色透明の硫酸塩か食塩泉が大半を占めるわけですが、この漣温泉は確かに芒硝系のお湯でありながら、ツルスベ感が強くて気泡の付着が激しいアルカリ性単純泉であり、周辺の温泉とはちょっと毛色が違うんですよね。何度でも再訪したくなる本当に素晴らしいお湯です。

私の入浴中に後からやってきた地元の爺様から話を伺ったところ、この浴場は役場を退職した方々などを中心にして運営管理が行われているそうでして、2年程前に役場からの助成を受けて改修工事が実施されたんだそうですが、近年は地元の利用者の高齢化によってどんどん減少しているんだそうです(つまり次々と三途の川の向こう側へ旅立っているわけですね)。このままいくと、近い将来に浴場の運営が困難になるほど定期利用者が減少してしまうのではないかと心配したくなりますが、そんな心配が杞憂に終わるよう、末永く浴場を維持していただきたいと願っております。


アルカリ性単純温泉 34.8℃ pH9.3 30L/min(掘削自噴) 溶存物質0.72g/kg 成分総計0.72g/kg
Na+:216mg(93.08mval%), Ca++:13.5mg(6.69mval%),
Cl-:102mg(27.12mval%), SO4--:303mg(59.44mval%), CO3--:25.2mg(7.67mval%), HS-:0.4mg,
H2SiO3:41.7mg,

群馬県利根郡みなかみ町某所
15:00~21:30
100円
備品類無し

私の好み:★★★
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湯宿温泉 金田屋旅館

2013年09月17日 | 群馬県
 
上州の湯宿温泉は私が好きな温泉地の一つでありまして、当地では以前に湯本館で一泊お世話になったことがありましたが、今回は金田屋旅館にお邪魔して日帰り入浴させていただきました。路地を跨ぐ渡り廊下の光景が印象的です。


 
帳場の前にさがっている「旅人宿」の札が宿の歴史を感じさせますね。


 
ロビーには明治初期に造られた箪笥が置かれていました。磨き直されているために明治の物とは思えないほど肌は白い輝きを放っており、また箪笥金具が描く麗美な幾何学模様にも心が奪われます。


 

内装が木曽檜張りの脱衣室を抜け、「弘須の湯」と称されている男湯の浴室へ。落ち着きと明るさを兼ね備えた清潔感の溢れる綺麗な室内からは、老舗旅館らしい矜持が伝わってきます。浴室の右側にはシャワー付き混合水栓が3つ並んでおり、左側にはヒサゴをを逆さにして半分に割ったような形状の、4~5人サイズの湯船が据えられています。浴槽の縁の全辺から静かにお湯が溢れ出ていました。


 
 
お湯は溶岩のようなゴツゴツとした岩から落とされて、賽銭箱のような木の蓋の箱に流れ込み、その箱の短い樋に載っている銅板上を流れて浴槽へと注がれています。その投入口の傍では、丸みを帯びた古そうな石のカエルが湯船を見つめていました。こちらに引かれているのは窪湯源泉でして、そのお湯は無色透明で清らかに澄み切っていますが、湯口の周りには白い析出がビッシリとこびりついており、このお湯が只者ではないことをビジュアル的に入浴客へ訴えかけているようです。お湯からは石膏や芒硝の味と匂いがはっきりと現れており、特に芒硝感がはっきりと伝わってきました。源泉温度が高いために加水されているそうですが、お陰で実に良い塩梅の湯加減となっており、しっとりと包み込んでくれる浴感や落ち着いたお風呂の雰囲気と相俟って、時間を忘れてずっと浸かっていたくなりました。


 
浴室入口付近には、赤谷川付近の湧水を冷やしたタンクが用意されており、湯上がりに一杯いただくと、キリリと冷えたその清水は実にのど越しが良く、体にスゥーッと素早く吸収されていきました。


窪湯
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 59.1℃ pH8.0 蒸発残留物1.372g/kg 成分総計1.31g/kg
Na+:227mg, Ca++:156mg,
Cl-:120mg, SO4--:693mg,
H2SiO3:60.6mg,
源泉温度が高いため加水

JR沼田駅・後閑駅・上毛高原駅から関越交通バス・猿ヶ京行で湯宿温泉下車(沼田駅から約50分。沼田駅発のバスは後閑駅と上毛高原駅を経由します)
群馬県利根郡みなかみ町湯宿温泉608  地図
0278-64-0606
ホームページ

日帰り入浴13:00~16:00
550円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品帳場預かり

私の好み:★★+0.5
コメント (4)
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