温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯倉温泉共同浴場 2015年秋再訪

2016年03月21日 | 福島県
今回と次回の記事では、福島県奥会津の金山町に湧く2つの温泉共同浴場に関して取り上げます。

 
奥会津に点在する名湯のひとつ「湯倉温泉共同浴場」は、2011年夏に発生した福島新潟豪雨に伴う水害の影響を受け、2014年12月に完全リニューアルされました。新しく生まれ変わったその姿に関しては、すでに多くの温泉ファンによってネット上でレポートされており、本記事をご覧になっている方の中にはリニューアル後の現地へ複数足を運ばれている方もいらっしゃるかと思いますが、この期に及んで遅ればせながら、私も更新後の様子を取り上げさせていただきます。なお以前取り上げた際の記事はこちらです。

湯屋は以前とほぼ同じ位置に完全改築されましたが、川に向かって落ちている片傾斜の屋根は以前の湯屋の姿を思い起こさせてくれます。ベースとなる土地は、以前は段々になっていたものの、現在はフラットに整地し直され、その分土地が有効活用できるようになったため、湯屋の床面積は広くなりました。右(下)画像はリニューアルに伴って発行されるようになった回数券(半券)です。金山町の公式キャラ「かぼまる」が中央にプリントされている立派なデザインの券面ですね。


 
湯屋の裏手にあるポンプ小屋は以前のままですが、小屋内に設置されているポンプはピッカピカの新品に交換されていました。


 
 
共同浴場は以前と同じく無人施設のままですが、玄関を入って驚いたのが、無人施設とは思えないほど充実した待合室の設備類の数々。川面を望むお座敷にはテレビが設けられているばかりか、トイレがきちんと整備されており、扇風機やエアコンまで用意されいました。冬の寒い日も夏の暑い日も、湯上がりにゆっくり寛げそうですね。
外来利用者は入浴前に括り付けの黒い料金箱へ協力金を納めます(200円以上)。


 
リニューアルに伴って大きく変わったのが、一般的なお風呂と同じく男女の浴室が分けられた点でしょう。以前この共同浴場は男女混浴でしたが、建て直しに際して行政側(保健所等)から求められた条件のひとつが男女を分けることだったそうです。
休憩のお座敷から奥へ進むと男女両浴室の入口に突き当たり、桜色のカーテンが掛かっている直進側が女湯、引き戸が設けられている左側が男湯となっていました。白い棚に籐のカゴが並べられた脱衣室は、コンパクトでやや狭隘ですが、洗面台や扇風機など何かと助かる数々の設備類が用意されており、以前に比べると使い勝手が格段に向上していました。


 
浴室も見違えるように綺麗になっていました。室内には温泉の浴槽がひとつ設けられているほか、壁は白い建材が採用されて明るさが強調されており、床は十和田石敷きなので足元が快適です。日中は川面を望む大きな窓から日の光がたっぷり降り注いでいるため、明るく清々しい入浴環境が生み出されていました。浴槽は(目測で)1.8m×2.5mの四角形で、やや緑色を帯びた橙色の温泉がかけ流されています。



男女別浴と並ぶリニューアル後の大きな変更点が、浴室に洗い場が設けられたことではないでしょうか。以前の浴場には洗い場なんてものはなく、湯船からお湯を直接汲んで掛け湯をしていましたが、更新後の現在では洗い場に3基のシャワー付きカランが設置され、ボイラーで沸かした真湯が吐出されるようになりました。
地元(本名集落)の方から伺った話によりますと、浴場リニューアルに際して、この洗い場を新設するか否かに関しては喧々諤々の議論となったんだそうです。設置や維持管理のコストが膨れあがる洗い場は不要だとする意見もあれば、温泉のお湯だと泉質の関係で石鹸が泡立ちにくく、髪もゴワゴワする上、外来者も利用しにくいから真湯のシャワーを設置すべきだという意見もあり、検討の結果、現代の浴場施設にシャワーは必須だという結論にまとまったんだそうです。


 

洗い場が新設された一方、湯船の湯加減調整はアナログのまんま。以前の浴室では、湯船の奥に源泉の熱いお湯が流れる長い樋があり、その樋から湯船へ落とす湯量を増減させることによって湯加減をコントロールしていたのですが、新浴場では樋が無いかわり、浴槽の隅っこにある湯口から湯船へ落とされるお湯の量を止めたり出したりして、湯加減を調整するようになっていました。その具体的な方法は、湯船上の壁に張り出されている「入浴されるみなさんへ」と題された張り紙で説明されていますので、ここでその一部を書き写させていただきます。

 1 冬期間は、外窓は閉じておいてください・・・結露防止のために
 2 天然温泉の温度管理について
 (1)入浴を終わられる方は、源泉を止めてください(「湯量調整板」で浴槽の湯口を止める)・・・後の人のために
 (2)お湯が熱いときは「湯もみ板」で冷ましてお入りください
 (3)水道水は入れないでください

つまり、源泉をそのまま入れっぱなしにしちゃうと湯船がアツアツになりすぎて入れなくなっちゃうから、誰もいない時はお湯の供給を止めておく。右(中)画像に写っているのが、その「湯量調整板」です。入浴中ならこの板を外して源泉を注いでOK。湯船が熱かったら、湯もみ板を使うのは良いが加水はダメ・・・といった感じでしょうか。地元の方曰く、お湯を冷ましたい場合は、湯もみ板の他、窓を開けるのも良い方法だと教えてくれましたよ。湯船には温度計も備え付けられており(左下もしくは最下の画像)、この時の湯温は43℃でした。


 
文章だけでは「湯量調整板」の使い方がいまいち分かり難いかと思いますので、湯口の画像で改めてご説明致しましょう。湯船の隅っこに設けられた扇型の湯口には、小さな板、つまり「湯量調整板」を嵌め込むことができる溝があり、これを嵌め込めば湯船への温泉供給が止まり、外せば湯船への温泉供給が全開になるわけです。左(上)画像は板でお湯を止めている様子。右(下)画像は板を外してお湯を全量注いでいる様子です。入浴中は自由にお湯を注げますが、湯口の時点で50℃以上ありますから、浴室退出時に誰もいない場合は、かならず板で塞いでお湯を止めておいてくださいね。
湯口のお湯を口に含んでみますと、出汁味の効いた塩味、金気味、土気味、そして弱炭酸味が感じられ、金気臭が嗅ぎとれます。湯船ではキシキシと引っかかる欲感が肌に伝わり、とてもよく温まる力強いお湯ですから、あまり長湯はできないかもしれません。


 
浴室の窓に広がる眺めは山水画のようで実に麗しく、この景色を眺めながら湯浴みしていると、身も心もすっかり癒されました。以前の共同浴場では、浴場から川へ排湯される温泉の成分によって、湯屋直下の川岸斜面に大きな石灰ドームが形成されていましたが、どうやら2011年の水害発生時に(もしくはリニューアル工事の際に)姿を消してしまったようです。しかし新たに生まれ変わった浴場から、再び川へ向かってお湯が排出されており、この排湯によって石灰ドームの赤ちゃんがコンモリと姿を現し始めていました。この赤ちゃんがかつてのような立派なドームに成長するのは、果たして何年先のことでしょうか。
本名集落にお住いのご老人によれば、大昔の湯倉温泉は湯船が3段構造になっていたんだとか。最上段は熱すぎて入れないため、卵や栗などの食材を茹で、人間は下段で入浴。風呂上がりに茹で上がった食材を頬張りつつ、持参した味噌を塩味の効いた温泉で溶かして味噌汁を作り、その味がとっても美味しかったと、お爺さんは頬を緩ませながら想い出話しを語ってくださいました。今も昔も、この温泉は人々を癒し楽しませ続けているのですね。

リニューアルによって混浴ではなくなり、鄙びた風情が消えてすっかりキレイな浴場に変貌したため、鄙びを愛する温泉マニアからの受けは以前ほどではなくなったのかもしれませんが、お湯のクオリティは以前同様に素晴らしく、かつお風呂としての使い勝手は格段に向上しましたので、総じて捉えると、以前以上に多くの人々から愛される温泉へと進化したのではないでしょうか。実際に、地元の女性からは、以前の混浴では利用する気になれなかったけれども、男女が分けられた新浴場は使いやすくなった、という声も聞かれます。一方、設備を充実させることによって懸念されていた維持管理コストに関しては、案の定よろしくない状況になっているようですから、ぜひ温泉を愛するみなさんで積極的にお風呂を利用し、以って浴場の末永い持続を支えたいものです。


ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 60.5℃ pH7.3 60L/min(動力揚湯) 溶存物質5.652g/kg 成分総計5.715g/kg
Na+:1242mg(66.49mval%), Mg++:72.8mg(7.37mval%), Ca++:376.6mg(23.13mval%), Fe++:2.8mg,
Cl-:1427mg(47.81mval%), Br-:3.5mg, I-:0.2mg, SO4--:1423mg(35.19mval%), HCO3-:867.9mg(16.89mval%),
H2SiO3:131.5mg, HBO2:18.3mg, CO2:63.1mg,
(平成24年1月17日)

福島県大沼郡金山町大字本名字上ノ坪1944のイ  地図

7:00~20:00(日・木は夕方から清掃を行うため18:00まで)
協力金200円以上
備品類なし

私の好み:★★★
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旧台中市役所が華麗に変身 Cafe1911・昭和沙龍

2016年03月19日 | 台湾
※今回記事に温泉は登場しません。あしからず。

温泉ネタが続いている途中ですが、今回は温泉と全く関係のない台湾観光の話題にひとつお付き合いください。

今年の3月1日、台湾の国営通信社である中央通訊社の日本語版「中央社フォーカス台湾」が、「日本統治時代の台中市役所、カフェに変身 地域活性化に期待」と題するニュースを報じました(その記事はこちら)。台中といえば日本統治時代に建てられた病院建築物をスイーツ店舗として活用させ大人気を集めている「宮原眼科」が有名ですが、これと同じように日本人が設計した戦前の建築が、時代を超越しカフェという憩いの場として再び脚光を浴びるようになったというニュースに、一人の日本人として心がくすぐられましたので、どんなカフェが誕生したのか自分の目で確かめるべく、先週台湾へ出かけた際に、ちょっと立ち寄ってみることにしました。



台鉄台中駅から10分ほど西へ歩いた民権路と市府路の交差点に建つ威風堂々とした洋館が旧台中市役所です。正面の太い柱と天井のドーム、そして凹凸が強調された外観が印象的なバロック様式のこの洋館は、東京駅を設計したことで知られる辰野金吾の設計により1911年(明治44年)に完成したんだとか。日本の敗戦までは文字通り台中市役所として使われてきたのですが、戦後に中華民国が接収すると、軍や国民党、そして台中市など、いろんな組織の下部セクションが入ったり出たりを繰り返します。
時代が下って1999年になると台湾中部を襲った大地震に見舞われて損傷を受けますが、2002年になると台中市の歴史建築に指定され、2004年に改修工事を実施。その後「市政紀念館」と称する公共スペースとなって一旦は落ち着くのですが、地域の沈滞に頭を抱えていた台中市はこの古い建物に注目。2014年に活用方法が協議されて、行政による改修工事後に店舗運営を民間委託する方式が決定。2016年、つまり今年、英国紅茶のチェーン店を展開している「古典玫瑰園」(Rose House Group)の手によって、カフェとして新たなスタートを切ることになりました。


 
東京駅の駅舎にも似た瀟洒で繊細な意匠の外観に思わずうっとり。白亜の窓まわりと2階部分のレンガとのコントラストも美しいですね。なお今回の改修に際して要した金額は約1000万元(約3400万円)。しっかり金をかけただけあって、修復後の仕上がりも良好です。


 
ちなみに、同じ交差点に面するこちらの大きな建物は現在の台中市政府。戦前は台中州庁でした。この建物は旧台湾総督府(現在の総統府)など多くの台湾官庁建築を手がけた森山松之助の設計であり、市役所より2年遅い1913年(大正2年)の竣工です。なお森山松之助は、上諏訪温泉の「片倉館」を設計した人物もであります(当ブログは温泉をメインとしていますので、文章を無理矢理温泉に関連させてみました)。


●Cafe 1911
 
さて、話を台中市役所に戻しましょう。正面玄関から中に入ると、かつての玄関ホールはカフェの受付カウンターになっており、レトロな制服を纏ったスタッフが、接客対応に追われていました。受付の上には「臺中市役所 明治四十四年」と記されたプレートが掲げられていますが、上述したようにこの旧市役所庁舎が竣工した1911年は明治44年であり、Cafeの名前もその西暦に由来しているわけです。ついでに言えば、この年は辛亥革命によって中華民国が成立した民国元年でもありますね。



1階のメイン部分はカフェ兼レストランとなっており、私が訪れた時にはほぼ満席状態となっていました。今回は強引に時間を割いて立ち寄ったため、残念ながら私はこのカフェで飲食しておりません。


 
1階客席ホールの奥には高い天井の廊下が伸びており、たくさんの提灯が下がっていました。日本統治時代の建物を活用した施設であり、且つ名称にも日本由来の語句が用いられているため、店内の内装などにも日本らしいものをついつい期待してしまいますが、メインターゲットになる客層はあくまで台湾の方ですから、和風のようで和風でなく、今の台湾人に受けるような明るさと造形が前面に出された現代風のデザインになっていました。ですから、和風のつもりでこの館内を捉えると色使いなどに違和感を覚えるかもしれませんが、それは当然のことなんだろうと思います。過去と現代、そして台湾と日本という異文化が混在した新しい世界観を楽しむべき空間なのでしょうね。
さてその廊下を進んでゆくと、右手に小さな物販コーナーが設けられていました。運営企業が英国紅茶をメインに扱っているため、この物販コーナーで並べられている商品は、紅茶の茶葉やその関連商品(マグやタンブラーなど)が多かったように見えました。


●昭和沙龍
 
廊下をさらに進んで行くと、突き当たりに「昭和沙龍」と染め抜かれた水色の暖簾が掛かっていました。沙龍とは中国語で「サロン(salon)」の当て字ですから、つまり「昭和サロン」というわけですね。戦後、日本以外のアジア各地域において「昭和」という年号はネガティブな文脈で捉えられることが多く、台湾においても国民党の手によって「昭和」の名称が残る物は徹底的に消されていきましたが、戦後70年も経つと社会の風潮にも変化がもたらされるのか、台湾の行政や企業が運営する店舗が自ら「昭和」を名乗るとは、実に意外な想いがしました。もっとも、「十年ひと昔」という言葉に即して考えれば、昭和20年からもう7つも「昔」を重ねているのであり、この建物は日本が台湾を手放す昭和20年まで台中市役所として使われてきたのですから、戦前の時代感をメインコンセプトにしているこのカフェが昭和の2文字を名乗っても不思議ではないのかもしれません。

なおこの「昭和沙龍」はドリンクや甘味などのメニューを中心としたカフェなのですが、「Cafe1911」「昭和沙龍」ともに共通の厨房から料理を提供しているので、どちらの店舗からでも各メニューの注文が可能のようです。


  
カウンター背後の棚には茶葉の缶がたくさん並び、それらに取り囲まれる形で、真ん中に屋号が掲示されていました。正面玄関ホールに提げられていた「臺中市役所」の文字と同じフォントが使われているようです。


 
(両画像ともクリックで拡大)
ちなみに上2画像がメニューです。注文の際には、このメニュー用紙に自分でチェックを記入し、スタッフに手渡します。上述のように運営母体が紅茶専門であるため、ドリンク類は紅茶をはじめ、緑茶や烏龍茶などお茶がメインのようです。一方、フードメニューに関してはネーミングや内容がとっても個性的でユニーク。たとえば「唐揚鶏定食」「京都慢烤鯖魚定食」といった定食や、「炙焼鮭魚親子丼」などといった丼もの(日式丼飯)など、明らかに日本を意識したようなメニューが並んでいました。なお値段設定は定食・丼ものともに250元(約900円)からと、台湾にしてはちょっとお高め。

この記事を書くにあたって「台中市役所 Cafe」というワードでググってみたところ、実際に食事を注文した方々のブログがリストアップされたのですが、それらでレポートされている文章や画像によれば、定食類は大戸屋で出されるような、いかにも日本の定食らしい内容となっており、名前だけでなく、中身も日本らしさをイメージしているようでした。

 参考:こちらのブログの中程やこちらのブログなど(いずれも中文)で、定食や丼の画像が掲載されています。

盛り付け方や配膳の位置など、細部まで見るとツッコみたくなる部分も結構ありますから、台湾人が考えた創作和食と捉えるべきものでしょうけど、ご飯をお茶碗に、お味噌汁をお椀に、そしておかずを中心にして小鉢を周りに並べて…という定食一式が写された画像を見る限りではなかなかの出来栄えですから、ぜひとも現物を食べて実際の味を体感してみたいものです(現地まで行っておきながら食事を楽しまなかったことが悔やまれます…)。


 
店内利用の際には、一風変わった食器で提供されるらしく、私の訪問時に別のお客さんが注文したタピオカミルクティーは、いかにもレトロなガラス瓶っぽいグラスで提供されていました。先ほども述べましたように、今回私は時間がなく、この15分後には台中駅から出る列車に乗りたかったため、テイクアウト(外帯)で「市役所紅茶」と称するミルクティー(50元)を注文したところ、出された紙コップには運営企業である「古典玫瑰園」の名前がプリントされていました。なかなか美味でしたよ。


●2階と3階はアートスペース
 
 
ミルクティーを注文するに先立ち、私は館内を駆け足で一通り見学させていただきました。ここまで紹介してきましたように、1階は飲食スペースとなっているのですが、2階と3階はアートスペースとして無料開放されており、誰でも気軽に見学できます。
上の4画像は2階に展示されている作品の数々。いずれも台湾の現代アート作家の作品です。


 
もう1フロア上がった3階が最上階であり、天井を見上げると、梁がむき出しになったドーム天井の内側が覗けました。



3階の窓からは台中市政府(旧台中州庁)が望めました。一つの交差点に面して明治から大正にかけての建築がいまだに健在で、魅力的なランドスケープを生み出しているののですから、台湾という地は実に面白い。

台湾に詳しい方なら既にご存知かと思いますが、台湾各地では日本統治時代の古い建物をリノベーションして現代風に活用した施設や店舗が近年多く見られます。台北の「華山1914」や台南の「林百貨」はその好例であり、台中においては、パイナップルケーキの日出グループによる「宮原眼科」や「第四信用合作社」が成功していますが、この「台中市役所」はそれらの二匹目の泥鰌を狙った感が否めません。外観内装とも大変お洒落に仕上がっており、飲食メニューにもオリジナリティーを見出せますが、総じて二番煎じな印象を受けてしまいました。そのためか、私の入館時にはほぼ満席だった客席も、退館時には半分ほどが空いており、注目の新規開業店舗にありがちな熱気が今ひとつ伝わってきませんでした。もっとも、平日の昼下がりという時間帯も原因のひとつかもしれませんが、オープン間もないというのに、新しいもの好きの台湾人が行列を作っていないのですから、この先の運営がちょっと心配になります。ひょっとしたら現地の方々の間で「もうこの手の物件は食傷気味だよ」という気運が漂い始めているのかもしれません。でも、どんな形にせよ、こうして日本統治時代の建物が再び愛されることは、非常に喜ばしくありがたいことですから、今後のブラッシュアップに期待したいものです。


台中市西區民權路97號  地図
古典玫瑰園公式サイト
営業時間10:00~21:00(2階以上の芸術コーナーは17時まで)、第3月曜定休




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平湯温泉 平湯民俗館

2016年03月18日 | 岐阜県
前回記事で取り上げた平湯温泉「穂高荘倶楽部」で一晩を明かした翌朝は、標高3026mの乗鞍岳に登って、頂上からの大パノラマと高山植物の花々に大満足。下山した後は、登山でかいた汗を流すべく、平湯温泉に戻って名湯「神の湯」へ向かったのですが、あいにく長期休業中だったため…



第二候補の「平湯民俗館」へと向かいました。「穂高荘倶楽部」の斜め前にあり、神社に隣接しているので、その神社の鳥居がわかりやすい目印になっています。「民俗館」という名称の施設ですが、こちらにも温泉の露天風呂があるんですね。


 
民俗館と称するだけあって、当地の伝統的な民俗文化を伝承することが本業であり、最奧には立派な茅葺き屋根の入母屋造である民俗資料館があるほか、その手前には同じく茅葺き入母屋造で高山市の指定文化財である「旧豊坂家住宅」(移築)が展示されており、駐車場側には足湯も設けられていました。



民俗資料館の1階では軽食類の販売が行われている他、屋内には囲炉裏の部屋があったり、また伝統的な衣類や古民具類などが展示がされていますので、それら展示類により飛騨の厳しい自然を生き抜く先人たちの生活の工夫を学ぶことができます。縁側から昔噺の世界観に満ちた室内を覗くと、いまにも常田富士男や市原悦子の声が聞こえてきそうな感じです。


 
さて私がこちらを訪れたのは民俗学を学ぶためではなく、温泉に入るためです。入浴利用者は資料館へ声をかける必要はなく、母屋の右側にある湯屋へ直接向かえばOKなのですが、湯屋自体は無人ですので、利用前には必ず男湯前に立っている料金ポストへ湯銭を納めましょう。


 
総木造の脱衣室は、まるで農機具小屋を思わせるようなシンプルな佇まいで、棚とカゴ、そしてロッカーが用意されている程度です。


 
お風呂も露天風呂のみという潔い構成ですが、周囲の美しい緑に囲まれた大きな岩風呂は、和の温泉情緒たっぷりで、なかなか良い雰囲気です。奧へ長いつくりのお風呂は、手前側半分に屋根がかけられていますから、多少の雨や雪なら凌げるでしょう。あくまで観光客がふらっと立ち寄って湯浴みすることを前提に造られているのか、あるいは極力シンプルな造りにしたかったのか、お風呂にカランや洗い場などはありません。このため3個ほどある備え付けの桶で、湯船からお湯を直接汲んで掛け湯することになります。


 
最奧の岩から突き出ている竹筒より温泉がドバドバ大量に注がれており、脱衣室側の湯尻からしっかりと溢れ出ているほか、オーバーフロー管からも排湯されていました。20人は同時に入れそうなほどのキャパを有する大きな浴槽に対して、十分な量のお湯が供給されているようです。
お湯と接する岩風呂の表面には橙色に染まっており、しかも細かなトゲトゲにもびっしりと覆われています。湯船のお湯はやや緑色を帯びていますが、この日は空から強い日差しが降り注いでおり、その影響を受けてか、濃く明るい橙色に強く濁っているように見えました。平湯温泉らしい土類っぽい匂いや味とともに、少々の甘みや焦げたような感覚もあり、また湯口においては微かな硫黄臭も嗅ぎとれました。脱衣室に掲示されている温泉分析表の数値は加水後の検体を計測したものとなっており、加水により溶存物質が1g/kgを下回っちゃうため、単純温泉になってしまうのですが、加水前はナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物温泉であるはずです。加水されているものの、私の訪問時は少々熱めの湯加減となっており、私の後にやってきた若者たちは熱いお風呂に慣れていないのか、「うわっ、あちーよ」と唸りながら眉間に皺を寄せていました。
湯中では土類泉らしいギシギシと引っかかる浴感が得られるほか、肩までじっくり浸かっていると、皮膚の細かな皺一本一本に温泉成分の微粒子が入り込んでコーティングされてゆくかのような、しっとりとしたホールド感が全身を覆い、何とも言えない安堵感に満たされます。見た目には強く濁っていますが、そんな見た目に反し、シャキッとして、それでいてイヤミの少ない、マイルドな塩化土類泉と表現したくなる優しいお湯です。


「あぼうの湯」と山水の混合泉
単純温泉 47.5℃(湯口における温度) pH6.8 溶存物質0.910g/kg 成分総計1.084g/kg
Na+:129.8mg(57.85mval%), Mg++:13.8mg(11.63mval%), Ca++:47.8mg(24.44mval%), Fe++:3.4mg,
Cl-:132.2mg(37.05mval%), HCO3-:378.7mg(61.67mval%),
H2SiO3:166.8mg, CO2:173.4mg,
(平成25年3月13日)

平湯バスターミナルから徒歩3~4分
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯  地図

6:00~21:00(冬期8:00~19:00) 不定休
寸志(300円が目安)
ロッカー(100円有料)あり、他備品類なし

私の好み:★★+0.5
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平湯温泉 穂高荘倶楽部

2016年03月16日 | 岐阜県

昨年(2015年)初夏に乗鞍岳へ登山したのですが、その前夜に平湯温泉の「穂高荘倶楽部」で一晩を過ごしました。こちらは貸切風呂や露天風呂などを兼ね備えた大規模日帰り入浴施設であり、同系列の旅館「穂高荘 山がの湯」とお風呂を共有しているのですが、この日帰り入浴施設である「穂高荘倶楽部」でも夜を越すことが可能です。と言いますのも、入浴料に仮眠室の料金をプラスすれば、1900円(※)という格安価格で朝まで滞在することができるのです。早い話が、都市部のサウナ・スーパー銭湯・漫画喫茶みたいなシステムを、北アルプスの麓の観光地でも利用できちゃうわけです。しかも大きな温泉のお風呂に入り放題なのですから、ありがたいじゃありませんか。この時の乗鞍岳登山では日の出前に出発したかったので、大枚叩いて旅館に泊まるのがバカバカしかった私は、廉価に夜を越せるこちらの施設を利用することにしました。
(※)私が利用した時には、夕方以降の入浴料750円と仮眠室料金650円の合計1400円で朝まで滞在できたのですが、現在公式サイトでは1900円の料金しか案内されていません。料金体系が変わっちゃったのかな? あるいは夕方以降の料金って公にアナウンスされていないのかな?




フロントのカウンターに置かれている小さな券売機で料金を支払い、フロントのスタッフさんに券を手渡しますと、ロッカーキーと共にタオルや館内着など一式を手渡してくれます。更衣室のロッカーに荷物を収め、館内着に着替えてから館内を移動します。上画像はフロント前の休憩ホールを吹き抜けの上層階から撮った様子です。スパ銭やサウナみたいなリクライニングチェアがたくさん並んでいることがわかります。


 
地下には食堂もあるので、ここで夕食を摂ることも可能。私は牛丼とビールを注文しました。


 
こちらは仮眠室の様子。仮眠室には男女別や男女共用などいくつかのタイプがあり、この日はあいにく遮蔽性が高い造りの部屋が満室だったため、雑魚寝の部屋を利用することになったのですが、幸いなことに雑魚寝部屋は私以外に誰もおらず、広い部屋を独り占めすることができました。室内には寝袋用のマット、まくら、そして毛布が用意されています。館内はどこもかしこも、とっても綺麗。快適に一晩過ごせました。ただ、枕が高くて固かったのが唯一の難点かな…。


●内湯
 
ハイクラスなホテルと同等の広さと快適さを備えている脱衣室。アメニティ類も揃っており、使い勝手も良好です。


 
木材のぬくもりとタイルや石板といった実用的な建材をうまく混在させた浴室は、落ち着いた雰囲気を保ちながらも大変広々しており、しかもメンテナンスもよく行き届いていて、日帰り入浴施設の標準的なレベルを凌駕しています。後述する大きな温泉浴槽のほか、世のお父さん方が大好きなサウナや水風呂もありますよ。


 
洗い場ゾーンには計13基のシャワー付きカランが設置されており、各ブースの幅が広く確保されているのみならず、一箇所ずつパーテーションでセパレートされていますので、隣のお客さんとの干渉を気にせず利用できます。またアメニティもボディーソープのほか、スパ銭にありがちなリンスインシャンプーではなく、シャンプーとコンディショナーがちゃんと別個に用意されていました。


 
 
開放的な窓の下に、タイル張りながら太い木材で縁取られた大きな温泉の浴槽が2つ並んでL字を描いています。奥側(露天風呂出入口側)の浴槽はおおよそ15人サイズで、加水が多いのかちょっとぬるめ。一方、脱衣室出入口側の浴槽は25人近く入れそうな大容量であり、私の体感で42℃前後の万人受けする湯加減に調整されていました。なお後者の浴槽の底には泡風呂装置が埋め込まれていましたが、稼働はしていませんでした。両浴槽とも木組みの湯口からお湯が注がれており、循環の無い放流式の湯使いとなっています。


●露天風呂
 
日本庭園のような誂えの露天風呂は温泉街の中に設けられていますから、周囲には目隠しの塀が立てられていますが、敷地面積が広い上、周囲の山々が借景となっているため、そのような囲いが気にならず伸び伸び湯浴みできる開放的な環境でした。庭園の奥に池のような大きい岩風呂がお湯を湛えており、その2分の3ほどは東屋で覆われていました。


 
上2枚の画像は夜の露天風呂。温泉風情を考慮したライティングにより、明るすぎない落ち着いた雰囲気の中、のんびりと湯に浸かることができました。


 
暗くて見にくい画像でごめんなさい。露天風呂には岩の上や隙間など複数箇所からお湯の投入されており、そこから注がれるお湯は直に触れるのが躊躇われるほど激熱でした。露天風呂でも放流式の湯使いです。


 
熱いお湯が投入されている一方、加水も同時並行で行われており、広い湯船の槽内では、表面(上部)と底部(下部)で温冷分離が発生していました。施設側もそのことを分かっているのか、お風呂の岩には攪拌棒が置かれており、私はこれでしっかりとかき混ぜて、早暁のボンヤリとしたあかりで姿を見せはじめた山の稜線を眺めながら、朝ぼらけの湯浴みを楽しみました。

今回は明るい時間帯に利用できなかったので、お湯の見た目に関して自信を持った表現はできないのですが、薄い橙色を帯びた笹濁りを呈しているように見え、味や匂いからは平湯温泉らしい土類感が得られました。また湯口ではタマゴ臭に似た芳ばしい香りがほんのりとかぎとれました。ただ、加水がかなり多いらしく、味や匂い、そして浴感などお湯が持つ本来の特徴が総じて弱わっているように感じられました。ちなみに館内には温泉分析書が2枚掲示されており、いずれも同じ源泉名が記されているのですが、一方は加水前(源泉)、他方は加水後(浴室の湯口)における計測値であり、加水前はナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物温泉であったものが、入浴に適した温度へ調整するため加水することにより単純温泉にまで薄まってしまうことが一目瞭然になっていました。でも、こうして加水による泉質の変化をきちんと明示する施設側の誠実な姿勢は大変立派ですね。


 
浴室前の通路にも休憩スペースがあり、そこに設置された自販機で、湯上がりにビンの飛騨牛乳を一気飲み。うん、うまい!

加水量が多いので、源泉のお湯にこだわる方にはちょっと物足りないかもしれませんが、広く快適な環境で放流式の温泉に好きなだけ入れ、しかも廉価で夜を越せるという、なんともありがたい施設でした。なお今回は貸切風呂(別料金)は利用しておりません。


富貴の湯
(源泉採取口における分析)
ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 70.1℃ pH6.7 370L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質1.049g/kg 成分総計1.204g/kg
Na+:183.5mg(62.98mval%), Mg++:14.3mg, Ca++:57.1mg(22.49mval%), Fe++:1.8mg,
Cl-:204.6mg(45.25mval%), HS-:0.3mg, HCO3-:389.8mg(50.12mval%),
H2SiO3:128.0mg, HBO2:20.1mg,CO2:154.2mg, H2S:0.9mg,
(平成20年12月18日)

(源泉と谷水が混合した浴槽湯口における分析)
単純温泉 37.9℃ pH8.2 370L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質0.839g/kg 成分総計0.846g/kg
Na+:140.6mg(61.20mval%), Mg++:11.2mg, Ca++:48.5mg(24.20mval%), Fe++:1.4mg,
Cl-:155.6mg(43.12mval%), HCO3-:313.2mg(50.39mval%),
H2SiO3:103.0mg, HBO2:15.4mg,CO2:7.3mg, H2S:0.1mg未満,
(平成20年12月18日)

平湯温泉バスターミナルから徒歩2~3分
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯  地図
0578-89-2306
ホームページ

曜日などで利用時間や定休などが異なるようです。料金や営業時間に関しては公式サイトをご覧ください。
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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濁河温泉 湯の谷荘

2016年03月14日 | 岐阜県
昨年夏に拙ブログで岐阜県塩沢温泉の「湯元山荘跡露天風呂」が閉鎖されてしまったことを取り上げましたが、しばらく放置されて泥が溜まったその野湯で入浴した後は、どうしても体を綺麗にしたくなったので、ちょっと足を伸ばして濁河温泉へ向かうことにしました。

  
御嶽山の北側山腹を東西に走る県道435号線を走行していると、フロントガラスの目の前には穏やかな御嶽山が、そして車窓の北の彼方には白山連峰がなだらかに裾を広げていました。眼前で美しくそびえる御嶽山が、その前年(2014年)に恐ろしい惨禍をもたらしたとは信じられません。


 
さて御嶽山6合目のいで湯、濁河温泉に到着です。当地では日帰り入浴を受け入れている宿が多いものの、私の到着した時間が遅く、予め目をつけていた宿のほとんどは日帰りの受付時間を過ぎてしまっていたため、今回はまだ利用可能時間内だった「湯の谷荘」を訪うことにしました。


 
玄関で声を掛けて日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。玄関脇にある広間を右に見ながら、お風呂がある奥へと進んでゆきます。


 
建物は地形の傾斜に沿う形で建てられており、奥へ向かうに従って下の方へ段々になっていて、いくつかのステップを下ってゆくと、最下段の突き当たりにある浴室へとたどり着きました。二つのドアが並んでおり、男女の区別はドアに掛けられている笠に記されています。


 
脱衣室には4つのスチールロッカーが設置されていたのですが、カゴも積み重ねられていましたので、ロッカーに入れるのが面倒になった私は、先客に倣ってカゴに衣類を収め、そのカゴをそのまま床に直置きしちゃいました。浴室出入口のドア右には内湯や露天風呂の温度が掲示されており、数値を見る限りではどちらの浴槽もぬるめの湯加減となっているようでした。


 
タイル張りで実用的な造りの浴室には、窓下に浴槽がひとつ据えられているほか、壁に沿って洗い場が2箇所に分かれて配置されており、計3基のシャワー付きカランが設置されています。カランのお湯は真湯ですが、ボイラーのご機嫌が宜しくなかったのか、コックを開けてからお湯が出てくるまで若干のタイムラグがありました。なお女湯との仕切りには曇りガラスが嵌め込まれており、ちょっぴりエロティック♪


 
浴槽は(目測で)2m×3mの四角形でおおよそ4~5人サイズ。温泉成分の付着によるのか、表面は全体的にフラットで赤茶色に染まっているのですが、元々コンクリ打ちっ放しなのか、はたまた何らかの建材で加工されていたのに成分付着でその建材の表面が覆われてしまったのか、そのあたりの事情はよくわかりません。
浴槽の隅っこにはフェイクの観葉植物が置かれた湯口が設けられ、トポトポ音を響かせながらお湯が注がれており、窓下の溝からしっかりと排湯されていました。純然たる放流式の湯使いです。


 
内湯の洗い場左にある出入口から屋外へ出ると、深い緑に覆われた急峻な谷を直下に見下ろす立地に、岩造りの露天風呂が設けられていました。お宿の屋号はこの谷のことを指しているのかな? 谷に面して開けているロケーションなのですが、その急斜面には針葉樹が密生しているため、いまいち展望が利かず、また谷と反対側には駐車場があるため目隠しの塀が立てられており、谷の上という立地の割にはあまり開放感が得られません。ですからここでは展望を期待せず、森林浴をしながら湯浴みを楽しんだ方が良さそうですね。


 
露天岩風呂の上には鋼製の無骨な屋根が立てられており、雨天や雪の日でも湯浴みできるようになっているのですが、柱や梁に塗られたグリーンの塗装が妙にけばけばしく、緑豊かな自然環境の中でサイケデリックな存在感を放っていました。周囲の環境に馴染ませようとしてこの色をチョイスしたのかもしてませんが、却って不自然に浮いちゃっています。黒やこげ茶の方が良かったかもしれませんね。


 
露天の岩風呂は3~4人サイズ。内湯側にある供給口からお湯が注がれており、槽内の谷側に開けられた穴から排湯されていました。内湯同様、この露天も放流式の湯使いで間違いないでしょう。

お湯は薄いオレンジ色を帯びた微濁ですが、ほぼ透明と言っても差し支えないでしょう。湯中ではオレンジ色の粉状浮遊物が無数に待っており、浴槽の底にも沈殿しています。上画像で槽内に沈んでいるステップの石の色が違うのは、私が湯船に入ることによってお湯の沈殿が舞い上がったためです。内湯の湯口から出てくるお湯をテイスティングしてみますと、金気や石灰らしさがはっきり感じられ、炭酸の名残みたいな味も伝わってきます。湯中ではギシギシと引っかかる浴感があり、肩までしっかり浸かると、全身に毛布を掛けられているような重厚感に包まれました。なお脱衣室には内湯・露天ともに長湯できそうな湯温が書かれていましたが、実際に私が入浴したところ、内湯・露天のいずれも41~2℃はあり、入り応えと温まりを存分に得られる湯加減になっていました。


市営泉源の混合泉(市営G泉・濁河温泉・市営泉源の混合泉)
ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 51.9℃ pH6.3 759L/min(掘削自然湧出) 溶存物質2.4464g/kg 成分総計2.6735g/kg
Na+:341.3mg(46.58mval%), Mg++:86.9mg(22.43mval%), Ca++:151.8mg(23.75mval%), Fe++:4.4mg,
Cl-:139.1mg(13.58mval%), SO4--:619.3mg(44.66mval%), HCO3-:725.3mg(41.20mval%),
H2SiO3:282.9mg, CO2:226.9mg, H2S:0.2mg,
(平成18年3月)

岐阜県下呂市小坂町大字落合2376-1  地図
0576-62-3037
ホームページ

日帰り入浴時間不明
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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