経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (19)

2020-07-18 07:51:13 | なし
◇ アメリカ・ブラジル・インドの状況が悪化 = 日本時間17日午前0時の集計。アメリカ・ブラジル・インドの死亡者増加数が拡大した。アメリカの感染者数は350万人、死亡者数は13万7419人に達した。この1週間で、死亡者は5109人も増えている。ブラジルの感染者数は197万人、死亡者は7万5000人で、その増加数は7402人。インドの感染者数は97万人、死亡者は2万5000人で増加数は3786人だった。死亡者の増加数は、いずれも前週を上回っている。

死亡者数でみると、イギリスが4万人台。イタリアとフランスが3万人台。スペインが2万人台だが、これらのヨーロッパ諸国では死亡者の数がほとんど増えていない。たとえばイギリスは611人の増加、スペインは33人の増加にとどまっている。このようにヨーロッパ諸国では鎮静しているのに、アメリカの状態が悪化しているのは、やはり経済再生を急ぎ過ぎたためなのだろうか。

中国の死亡者数は4634人で、過去5週間にわたって1人も増えていない。このため経済活動の再開も順調に進んでおり、4-6月期のGDP成長率はプラスに転じている。また韓国も死亡者数は291人と少なく、前週比でも4人増加しただけだった。一方、日本の死亡者数は998人で、前週比では3人の増加にとどまった。

しかし規制の解除を急ぎ過ぎたせいか、このところ東京都を中心に感染者数が急増している。東京都では1日に300人近く、全国では500人を超える増加を記録した。そんななかで政府はGO TO トラベルのキャンペーンを22日から強行する。東京都からの往来は除外したが、この結果が吉と出るか凶と出るか。GO TO トラブルにならないか、少々心配だ。

       ≪17日の日経平均 = 下げ -73.94円≫

       【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】    

抜け出した中国 ⇒ プラス成長に

2020-07-17 08:07:52 | 中国
◇ 4-6月期のGDPは3.2%増加 = 中国統計局は16日、4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、前年同期比でみた実質GDP成長率はプラス3.2%。1-3月期のマイナス6.8%から、一気にプラス成長に回復した。前期比でみても、1-3月期のマイナス10.0%からプラス11.5%へ大きく改善している。工業生産と固定資産投資が伸びて、大方の予想を上回るV字型の回復となった。

同時に発表された主要な経済指標をみると、鉱工業生産は1-6月で前年比マイナス1.3%。1-3月期のマイナス7.1%から大幅に改善した。6月だけでは4.8%の増加となっている。自動車や半導体関連の生産が伸びた。また固定資産投資は1-6月で前年比マイナス3.1%、1-3月のマイナス16.1%から大きく改善している。1-6月のインフラ投資は前年比マイナス2.7%、不動産投資はプラス1.9%だった。

一方、小売り売上高は1-6月で前年比マイナス11.4%。1-3月のマイナス19%よりは改善しているが、生産や投資に比べると回復の足取りは重い。また輸出は1-6月で前年比マイナス6.2%。都市部の6月の失業率は5.7%で、前月より0.2ポイントの改善にとどまった。こうした結果からみると、政府がテコ入れした生産や投資の回復は順調だが、消費と輸出、それに雇用の回復は遅れがちなことが判る。

問題含みの景気回復であることに間違いないが、それでもコロナ不況からの脱出では一番乗り。とにかく感染者の増加をいち早く食い止めたことが勝因となった。ただ今後もV字型の回復を続けることは、かなり難しそうだ。コロナへの不安が完全に払しょくされたとは言えず、個人消費は停滞気味。また世界中でコロナが猛威を振るっているから、輸出も伸びにくい。中国政府が次にどんな手を打つのか、注目される。

       ≪16日の日経平均 = 下げ -175.14円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

アメリカは勝てるのか : 対コロナ戦

2020-07-16 08:04:39 | なし
◇ 人口の多い州が移動規制・店舗閉鎖 = アメリカでは、経済再生に向けて回り出した歯車が逆転し始めた。ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、今週初めまでに9つの州が3月時点の厳しい規制に逆戻りした。この9州は人口が多く、GDPでは全米の37%に当たるという。たとえばカリフォルニア、ミシガン、フロリダ州などで、バーやレストラン、映画館や遊園地が閉鎖された。追随する州も多そうだと、同紙は伝えている。

トランプ大統領は11月の大統領選挙を控えて経済再生を重視、各州の知事に早期の規制緩和を呼びかけてきた。これに応じたのは、共和党系の知事。早めに規制を解除したためコロナ感染者が急増、今回の再規制を余儀なくされた。一方、民主党系の知事は大統領の呼びかけに応じなかったため、たとえばニューヨーク州のように感染者の多発を免れている。だが、そのニューヨーク州も他州からの流入者に規制をかけ始めた。

アメリカのコロナ感染者数は、14日の時点で336万5000人に達した。8日に300万人を超えたから、この6日間で36万人以上も増えている。死亡者の数も13万5600人という恐るべき多さに。WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は「あまりに多くの国が、誤った方向に進んでいる」と警告を発したが、これは明かにアメリカも念頭に置いた発言だろう。アメリカは、コロナ戦争に勝てるのか。心配になってくる。

じっさい、アメリカが第1波を上回る第2波に襲われる可能性は、きわめて高いと言えそうだ。そうなると2ケタのマイナス成長が長引くことになる。アメリカにとっては大きな痛手で、トランプ氏の再選も難しくなるだろう。そして日本を含む世界経済への打撃も、さらに大きくなる。すでにコロナを制圧したかにみえる中国との対比でも、アメリカは見劣りすることになってしまう。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +358.49円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

矛盾と疑問だらけの コロナ対策 (下)

2020-07-15 07:57:05 | なし
◇ 専門家会議の解散が混乱の始まり = 政府は6月24日、突如としてコロナ対策を検討する専門家会議の廃止を発表した。医師12人で構成するこの専門家会議は2月に設置され、まずダイヤモンド・プリンセス号に対する措置を検討。3月に入って国内に感染者が広がると「人との接触を8割減らす」「3密の回避」など、数々の提言を公表した。だが政府は2つの点で専門家会議の活動を問題視し、廃止したのだろうと推定される。

1つは専門家会議が次々と提言を発表し、政府が完全に裏方に回ってしまったこと。もう1つは医師ばかりで構成されたためコロナ対策が重視され、経済活動の再開論が出にくかったことだ。そこで、この会議を廃止。代わりにコロナ感染症対策分科会を設置して、医師のほかに企業に所属する研究者や弁護士なども参加させた。だが、この分科会は専門家会議が廃止された理由を知っているから、ぷっつりと口を閉ざしている。

ところが世の中には、数多くの専門家が存在する。分科会のメンバーが表に出なくなったため、テレビや新聞はこうした野にいる専門家の意見を聞くようになった。そうした人たちは、感染者が増加に転じた現状を踏まえて、警戒論を強く主張しがちだ。その一方で分科会は何も言わないから、国土交通省は予算が認められたGO TO トラベルを予定通り実行しようとする。そして多くの国民は、矛盾を感じて混乱しているのが現状だ。

ウイズ・コロナは、感染症対策と経済再生のバランスが大事。だが、いまの政府にはそのバランスを考える責任者がいない。国土交通省や経済産業省と厚生労働省が、話し合う様子もみられない。その欠陥を埋めるべき人は、総理大臣なのか官房長官なのか。この無責任体制こそが、コロナ対策の最大の障害になっている。

       ≪14日の日経平均 = 下げ -197.73円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

矛盾と疑問だらけの コロナ対策 (上)

2020-07-14 07:53:33 | なし
◇ 「遠出は自粛」なのに大々的な補助金とは = このニュースを見て「変だな」と思わなかった人は、いないのではないか。国土交通省が発表した「GO TO トラベル」キャンペーンの繰り上げ実施である。個人が旅行する場合、国が宿泊や日帰り旅行代金の半額を補助する。もともとは8月から始める予定だったが、7月下旬の4連休に間に合わせるため、7月22日に繰り上げて実施するという内容だった。

東京都では連日200人を超える感染者が現われ、全国では400人を超えた。数のうえだけからみると、緊急事態宣言が発令された直前の状態によく似ている。国民の間にも緊張が走り、西村経済再生相や小池都知事も「夜の街には気を付けて。不要不急の遠出は避けよう」と呼びかけている。そんななかでのGO TO キャンペーン。どう考えても矛盾していると思う方がマトモだろう。

観光地の旅館・ホテルや小売り業などは、緊急事態宣言による外出自粛で甚大な被害を被った。それを救済するために、観光需要を増やそうとする試みは間違ってはいない。だがコロナ感染者が急増し始めているときに旅行者を増やせば、観光地にコロナを伝播する危険性が高い。そうなったら観光地はもっと深刻な状態に陥る。そして1兆6794億円の税金が、ドブに捨てられる。

また埼玉県では、夜の街の危ない営業に強く自粛を求める方針だ。ところが東京都は、こうした店にコロナ対策のための補助金を出すという。これでは、また例のパチンコ店騒動が繰り返されるだけだろう。整合性が全くない。さらに安倍首相をはじめ政府の責任者や自治体の首長は「緊張感を持って」と言いながら「病院のベッドが空いているから、緊急事態は宣言しない」のだと言い放つ。いまのコロナ対策には、こうした矛盾や疑問点が多すぎる。なぜだろうか。

        ≪13日の日経平均 = 上げ +493.93円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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