経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

コロナ改善 + 物価高 = 0 : 日銀短観

2021-12-14 08:20:45 | 景気
◇ 価格転嫁できない中小企業 = 日銀は13日、12月の企業経済短期観測調査を発表した。それによると、最も注目される大企業・製造業の業況判断指数はプラス18で、前回9月調査の結果と変わらなかった。コロナの改善が物価高で相殺された形となっている。一方、大企業・非製造業の業況判断指数はプラス9で、前回より7ポイント上昇した。これは緊急事態宣言などの規制が解除されたためである。

業況判断指数は、業況が「よくなった」と回答した企業の割合から「悪くなった」と回答した企業の割合を差し引いた数値。業種別にみると、製造業では石油・石炭製品が前回より13ポイントの改善、業務用機械が7ポイントの改善。自動車は1ポイントの悪化、電機は1ポイントの改善だった。また非製造業では対個人サービスが36ポイントの改善、宿泊・飲食サービスが24ポイントの改善となっている。

ただ3か月後の先行き見通しは、総じてよくない。大企業・製造業はプラス13で、今回より5ポイント悪化する。大企業・非製造業も1ポイント悪化する見通しだ。また中小企業では、製造業は今回と変わらずだったが、非製造業は2ポイントの悪化が見込まれている。これは物価の上昇が続きそうなことと、オミクロン変異株の出現が影響しているようだ。

特に中小企業の場合は、価格転嫁が難しそうだ。中小企業の価格判断をみると、仕入れ価格の判断指数は前回と今回、さらに3か月後の見通しが、製造業は50→60→61。非製造業は29→39→41と急上昇している。ところが自社製品の価格判断は、製造業は9→16→22。非製造業は1→6→10と、上がり方がきわめて鈍い。それだけ中小企業の経営は苦しくなるものと思われる。

        ≪13日の日経平均 = 上げ +202.72円≫ 

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2021-12-13 07:33:03 | 株価
◇ なんでも呑み込むニューヨーク市場 = ダウ平均は先週1391ドルの値上がり。週間の上げ幅としては、昨年11月上旬以来の大きさとなった。終り値は3万6000ドルに接近、またまた史上最高値の更新を狙う構え。コロナが急速に拡大しているにもかかわらず、オミクロン変異株は重症化率が低いというニュースで上げた。FRBが緩和政策の縮小を前倒しするという予測も、すでに織り込み済みという理由で無視した。

日経平均は先週408円の値上がり。初めはニューヨーク市場の活況に引きずられたが、あとはダレた。終り値は2万9000円に届かない。コロナが奇跡的な落ち着きをみせているにもかかわらず、東京市場は元気がない。超大型の補正予算や分配重視の税制改正にも、株価を押し上げる力はなかった。

ダウ平均は1か月前に記録した史上最高値まで、あと600ドル足らず。どんな悪材料でも呑み込んで、さらなる高みを目指す勢いだ。ニューヨークが上げれば、それだけ東京の割安感が強まり日経平均も上昇するだろう。だが、やはり他力本願なので限界はある。加えて米中の緊張激化が、地政学的に東京の弱みになってきたような感じがしないでもない。

今週は13日に、12月の日銀短観、10月の機械受注。15日に、10月の第3次産業活動指数。16日に、11月の貿易統計。アメリカでは14日に、11月の生産者物価。15日に、11月の小売り売上高、12月のNAHB住宅市場指数。16日に、11月の工業生産、住宅着工戸数。また中国が15日に、11月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。なお15日に、パウエルFRB議長が金融政策について会見する。

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (91)

2021-12-11 08:07:13 | なし
◇ マスクと手洗いが決め手なのかも = 世界の感染者は累計2億6785万人、この1週間で432万人増加した。死亡者は527万9650人で、週間5万4853人の増加。感染者の増加数は前週より25万7000人、死亡者は5209人拡大した。全体的に悪化したが、特にアメリカの状況が大幅に悪化している。その原因がオミクロン株によるものか、北半球が冬場を迎えたためかは判然としない。

アメリカの死亡者数は、この1週間で1万1122人増加した。前週より4413人拡大している。次いで死亡者の累計はブラジルが61万人台、インドが47万人台、メキシコが29万人台、ロシアが28万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台となっている。アメリカのほか、インド・メキシコ・イタリア・フランスで、死亡者の増加数が拡大した。

日本の感染者は累計172万8075人、この1週間で858人増加した。死亡者は1万8369人、週間の増加数は8人にとどまっている。オミクロン型の感染者は12人が確認された。もちろん油断は出来ないが、いぜんとして奇跡的な改善が続いている。ワクチンの接種率が77%に達したことも大きいが、日本より接種率の高い隣の韓国では感染者が急増している。もしかすると、マスク着用と手洗いの励行が決め手となっているのかもしれない。

WHO(世界保健機構)の発表によると、オミクロン変異株の流行は57か国に広がった。アメリカやイギリス、それに韓国ではクラスターも発生している。各国では再び規制の強化に乗り出しており、ニューヨーク市では18万4000社の企業に、従業員のワクチン接種を義務づけた。イギリスではマスクの強制的な着用範囲を広げたが、案外これが正解なのかもしれない。

        ≪10日の日経平均 = 下げ -287.70円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     


少子高齢化が 着実に進行

2021-12-09 08:00:09 | 高齢者
◇ 10人に3人弱が65歳以上 = 総務省が発表した20年の国勢調査・確定値によると、日本の総人口は1億2614万6099人。前回5年前の調査に比べて94万8646人減少した。総人口のうち外国人は274万7137人だったから、日本人の人口は1億2339万8962人。前回調査より1.4%減っている。経済的に無視できないのは、65歳以上の高齢者が急増していること、生産年齢人口が急減していることの2点だろう。

まず高齢者の急増。65歳以上の人口は3602万6632人で過去最大。5年前より6.6%増加した。総人口に占める比率は28.6%、10人に3人弱が高齢者となっている。その一方、14歳以下の若年者は1503万1602人で過去最少。5年前より5.8%減少した。少子高齢化は着々と進んでいる。高齢者が増加すれば年金・医療・介護の費用が増大し、少子化の進行はそれを負担する人たちの縮小を意味する。

次に生産年齢人口の急減。生産活動に携われる15-64歳の人口は7508万7865人。5年前に比べて226万6232人も減少した。ピークだった1995年に比べると13.9%も減っている。要するに‟働ける人”が少なくなっているわけで、生産活動に及ぼす影響はきわめて大きい。また働く人が減少すれば、それだけ消費の総額も減ってしまう。

国勢調査は5年ごとに実施されている。特に西暦の末尾がゼロの年は、大規模な調査。その結果は、選挙区の「1票の格差」是正のための区割り変更や地方交付税の算定などの基本資料となるから重要だ。そして高齢者の増加と生産年齢人口の減少も、具体的な数字となって現われた。しかし岸田内閣の新経済対策をみても、この問題に対する施策は薄い。このため国民は将来に対する不安を捨て切れない。

         ≪9日の日経平均 = 下げ -135.15円≫

         ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

愚策! 賃上げ促進税制

2021-12-09 08:00:09 | 賃金
◇ 単年度の措置では効果なし = 大幅な賃上げが実現すれば、消費が増えて経済が上向く。つまり‟分配”を増やすことによって、経済は‟成長”する。--岸田首相の持論である。先日の所信表明演説でも「給与を引き上げた企業を支援するための税制を抜本的に強化する」と強調していた。その具体的な内容が固まり、22年度の税制改正大綱に明記される。だが、その効果はきわめて疑わしい。

大企業については、継続して雇用する人の給与総額を3%以上引き上げる企業が対象。まず給与増加分の15%を法人税から差し引く。さらに4%以上引き上げた場合には、25%相当分を差し引く。加えて教育訓練費を20%以上増やせば、5%を上乗せして差し引く。したがって大企業の場合は、最大で給与増額分の30%が法人税から差し引かれることになる。

中小企業については、まず1.5%以上の賃上げで給与増額分の15%を減税。さらに2.5%以上の賃上げなら、30%を減税。加えて教育訓練費を10%以上増やせば、減税分が10%増える。つまり中小企業の場合は、最大で給与増額分の40%が法人税から差し引かれることになる。ただ中小企業は、赤字で約6割の企業が法人税を払っていない。こうした企業が賃上げした場合は、ものづくり補助金などを増額して対応する。

一見すると、魅力的な政策のように思える。しかし最大の欠点は、この優遇税制が22年度だけに適用されること。企業にしてみれば、23年度になったら賃下げするというわけにはいかない。だから飛びつく企業は、ほとんどないのでは。それよりも政府は企業が賃上げできるように、景気を良くすることを考えた方がいい。やはり「分配⇒成長」ではなく、「成長⇒分配」なのではないか。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +405.02円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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