経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2021-12-20 08:04:48 | 株価
◇ 興奮から醒めたニューヨーク市場 = ダウ平均は先週606ドルの値下がり。前週1400ドル近く上げたことの反動安で、異常性はない。市場自体も前週は「利上げは織り込み済み」と興奮気味に買い上げたが、そんな興奮からは醒めたようだ。すると、やっぱり債務を抱え込んだ企業や個人の負担増加や新興国からの資金引き揚げなど、心配すべき利上げの副作用も見えてくる。それにコロナの再拡大も無視できなくなってきた。

日経平均は先週108円の値上がり。ニューヨークの興奮につられて上昇したが、週末には反落した。相変わらず日本経済の先行きが不透明なことから、株価は2万9000円を超えられない。加えて欧米が金融緩和政策の縮小を開始したなかで、日銀はどうするのか。口では「緩和政策を続ける」と言いながら、秘かに縮小しているのではないか。そんな疑念も流れ始めた。

年末に向かって、株価の値動きは荒くなるかもしれない。利上げの副作用に対する警戒感が強まって、売り物がかさむ。すると下値を狙った買い物が入る。こんな展開が多くなるのではないか。ただ利上げが現実化したことで、投資家の心理にも変化を生じているように思われる。それが、どんな形で株価に表われるか。

今週は24日に、11月の消費者物価、企業サービス価格、住宅着工戸数。アメリカでは22日に、7-9月期のGDP確定値、11月の中古住宅販売。23日に、11月の新築住宅販売が発表される。

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (92)

2021-12-18 07:43:10 | なし
◇ アメリカでは死亡者が80万人を突破 = 世界の感染者は累計2億7223万人、この1週間で437万人増加した。死亡者は533万0130人、増加数は5万0480人。感染者は前週よりやや増加、死亡者はやや減少した。全体として状況に大きな変化はない。こうしたなかで目立ったのはアメリカ。感染者が累計5000万人、死亡者が80万人を超えた。オミクロン変異株も、31州で確認されている。

アメリカの死亡者は累計80万2511人、この1週間で9083人増加した。次いでブラジルの死亡者は61万人台、インドは47万人台、メキシコは29万人台、ロシアは28万人台。さらにイギリスとインドネシアが14万人台、イタリアとイランが13万人台、フランスが12万人台となっている。このうちイギリスでは感染者が急増したが、死亡者はそれほど増えていない。

感染者数に占める死亡者数の割合を計算してみると、アメリカは1.59%だった。イギリスは1.32%、ブラジルは2.78%、インドネシアは3.37%。韓国は0.83%、日本は1.06%となっている。この差は、ワクチンの接種率を反映したもののようだ。新しいオミクロン変異株による死亡者は、まだイギリスで1例が確認されただけ。オミクロンの感染が拡大すると、死亡率は低下する可能性があるのではないか。

日本の感染者は累計172万9059人、この1週間で984人増加した。この増加数は前週より126人多い。死亡者数は1万8377人で、週間8人の増加だった。3週連続で8人の増加が続いている。コロナ感染の奇跡的な鎮静が持続しているわけだが、海外からの帰国者に由来するオミクロン感染者は50人に。年末年始にかけて水際対策が奏功するかどうか、正念場に差しかかってきた。

        ≪17日の日経平均 = 下げ -520.64円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

利上げで株高 の 不思議 / アメリカ

2021-12-17 07:51:52 | 金融
◇ これでインフレを抑えられるのか = FRBは15日のFOMC(公開市場委員会)で、金融緩和政策の縮小を大幅に加速することを決めた。国債などを買い入れる量的緩和を来年3月に終了、そのあと来年中に3回の政策金利引き上げを予定する。さらにFOMCに参加した18人の委員の大半は「23年に3回、24年に2回の追加利上げ」を見込んでいるという。いよいよ金融引き締め時代が到来することになる。

ところが驚いたことに、ニューヨーク市場の株価は大きく上昇。ダウ平均は400ドル近くも値を上げた。つれて16日の日経平均も600円を超す大幅高となっている。金利が上がれば資金が債券市場に移動し、株価は下落するというのが常識。さらに長期にわたって株高の源泉となったFRBの資金放出がストップしてしまうというのに、上昇した株価。いったい、どうしてなのだろう。

市場関係者はまず「FRBの今回の決定は、すべて織り込み済み」だから悪材料にはならない。さらに「大きな関門を抜けたという感じが強く、これが好材料になった」と分析している。つまり市場には十分すぎるほどの資金が滞留しており、少々のショックには驚かないということなのだろう。また緩和が縮小されても「来年3月までは資金の放出が続く」という指摘もあった。

たしかにFRBは緩和縮小について情報を流し続け、市場を教育してきたと言える。だから株価は下落しなかった。しかし、こうした方法で、インフレを抑制する効果が薄れないのだろうか。かつて各国の中央銀行は金融政策の変更を極秘裏に進め、利上げを突然発表することで心理的な効果をあげた。株価の維持を重要視した今回のFRB流が、はたして物価の抑制に効果を挙げられるのか。新しい注目点である。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +606.60円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

トヨタ・EV4兆円投資の 問題点

2021-12-16 08:35:16 | 自動車
◇ 政府の怠慢で日本経済は空洞化へ = トヨタ自動車は14日「30年にEV(電気自動車) の世界販売台数を350万台とする」と発表した。この目標を達成するため、バッテリーも含めて4兆円を投資する計画。最終的には計30車種のEVを製造する予定で、最初は新型bZ4Xを22年に世界で販売する。最近になく明るい話であり、「トヨタはEVに消極的だ」という関係者の見方も一挙に吹き飛ばした。

世界の自動車メーカーは、いまEV化を目指して一斉に走り出した。アメリカでは専業メーカーとして立ち上がったテスラはもちろん、GMやフォードもEVの増産を目指している。特にヨーロッパの動きは鮮烈だ。ベンツは30年、アウディは26年までに、すべての新車をEVにする。フォルクスワーゲンも、30年までに世界販売の5割をEVにする方針。これはEU当局が、きわめて熱心に脱炭素政策を推進しているためでもある。

すでにEUは「35年までにEVとFCV(水素燃料電池車)以外の販売を禁止」する政策を打ち出している。さらにEU委員会は「26年から国境炭素税を導入する」方針。これはCO₂排出規制の緩い国からの輸入品にかける税金で、当初は鉄鋼など5品目が対象だが、自動車は追加される可能性が高い。つまり日本のように火力発電の比重が高い電力を使って製造された自動車には、課税される危険がある。

またEVの製造にはバッテリーが欠かせず、リチウムやコバルトなどの希少金属が取り合いになることは必定。こういう情勢なのに日本政府は、電源構成に占める火力発電の比重を下げられず、また希少金属の獲得にも力を入れていない。これではトヨタの4兆円にのぼる投資も海外で使われ、日本経済は空洞化して行くだけだろう。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +27.08円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

パウエル議長の‟言い方”に注目

2021-12-15 07:41:50 | アメリカ
◇ 市場は「織り込み済み」と冷静だが = FRBは14-15日にFOMC(公開市場委員会)を開き、金融緩和政策の縮小を決定する。その内容は、パウエル議長が15日午後(日本時間16日早朝)の記者会見で公表する予定。すでにパウエル議長は、議会で「緩和政策の縮小は早めることが適切」と証言しており、FOMCではその線に沿った決定が下されることは確実だ。ただパウエル議長が、どんな言い方で内容を説明するのか。市場は最大の関心をもって見守っている。

これまでパウエル議長は「現在の物価高は一時的」と主張、国債などを買い入れる量的緩和政策を来年6月ごろ終了させる計画だった。しかし11月の消費者物価が6.8%も上昇したため、構想を一変。縮小を大幅に前倒しすることになった。ただパウエル議長が情勢の変化を克明に説明したため、市場は「織り込み済み」だと冷静に構えている。

パウエル議長が記者会見で述べる‟言い方”については、①緩和政策の縮小を3月には終了する②状況をみながら縮小のスピードを速める③今回は6月終了の計画を変えない--などの可能性が予想されている。仮に①だと、4月以降の利上げも考えられることになり、インパクトは大きい。③ならば市場への影響は小さいが、インフレ対策としては弱い。

いまアメリカでは、コロナの再拡大と物価高が大きな問題となっている。来年11月には中間選挙も実施されるため、バイデン大統領も物価の抑制には大きな関心を持っている。したがってパウエル議長の言い方は、いちばん強い③になる公算が大きいのではないか。その結果、来年4月以降の利上げが現実の日程にのぼってきたとき、市場がまだ「織り込み済み」と冷静でいられるかどうか。

        ≪14日の日経平均 = 下げ -207.85円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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