毎日のランニングの後、目が猛烈にかゆくなり花粉の季節の到来を知ります。
今年の冬はインフルエンザとコロナウイルスの同時流行が危惧されましたが、
インフルエンザの流行はなくもっぱらコロナ第三波の拡大ばかりが騒がれました。
どこにも出かけず、ただ珈琲を焼き続ける日々ですが、それでも毎日変化と
珈琲については新たな感動や出会いがあります。今月の新しい豆のひとつに
ニカラグアのスペシャルティがあますが、ニカラグアは私の好きな産地で
コンテスト豆やカップオブエクセレンスの豆を秘蔵していました。
しかし、私の好きな豆は昔のニカラグアのエルレクレオのような汎用品です。
それ等は独特の苦みがあり、それでいてどこか南国の明るい感じを醸すバックグラウンドが
あり、飲むとなんとなく明るい気分になれるのが好きで大量に入れて飲んでいました。
しかし、コンテストで有名になる農園やスペシャルティブームで汎用品の安いものは
段々入ってこなくなり、腰のないような上品な豆が増えてきてなんとなく物足りない
残念な豆が最近のニカラグアでした。
それでもコンテスト上位の豆は値段もいいものの味はいいのは間違いなく、中米の
スペシャルティは奪い合いのような高値での取引がつづいています。
私は仕事の合間に飲むような苦みのあるレギュラー品でその独特の苦みも好きでしたが、
最近のニカラグアではそれを持っているものは少ないのです。昨年入れたサンタアナなどは
骨格のしっかりした味でしたが、それを超える豆もしくは同じくらいの品というのがなかなか
なかったのです。
ニカラグアのスペシャルティではしばらくカサブランカが有名で割とどこでも売っていました。
つまりどこでも飲めるのにこれなども本来の味になっていないのも実感されました。実は
秩父の某病院の売店の一杯どりのコーヒーもこのカサブランカ農園でした。
当時当店でもこの豆を売っており試飲していただいてお客様のびっくりした顔を見る豆
でした。そして、比較的どこでも売っているから試してみるといいと勧めたりしました。
それほどお客様にニカラグアの認知がないのでどんな豆でどんな味なのか理解していただきたいと
思っていました。そして私が求めるのはそんな高級品でなく日ごろ飲める安い苦みの強い豆で
よいのです。実際には産地の傾向としては市場が求める高級豆の需要にこたえるように
品質は上がる傾向で、かつてのようなエルレクレオが入ることはないのでした。しかし、
今回入れた豆でまた認識が変わる事態となりました。
ニカラグアのスペシャルティというと最上級とかそのくらいのものでないと満足度の
高いものがないという印象もあったのですが、今回の豆はスペシャルティグレードで
あり、単一農園ものでありながら格安で味はかつてのカサブランカよりもよいと思います。
カサブランカの方が甘みが強く上品という感じもしますが、今回の農園は豆の色からして
いかにもニカラグアで最初に香る香りから最後の後味まで壮大な叙事詩であり、建物で
いえば大伽藍のような大建築物を連想させるのです。つまりこれはバッハのパルティータ第二番
シャコンヌと同じにそれを感じさせる豆なのです。
それに最後の特徴がニカラグアの特徴であるレモンの香気が感じられさわやかで清涼感に富んだ
後味です。このように次々びっくりさせられるような豆が続いているのもコロナ禍の中の奇跡
です。