私の好物のひとつにカニがありスキーで選ぶ宿でも夕食にカニが出るか否かは重要な要件になっていました。
コロナで外出自粛が求められカニを食べる習慣も途絶え数年が過ぎ、昨年カニ食べ放題と温泉の旅をして復活とひとつの区切りとしたのですが、それが物足りない感じがしてその後回転寿司のカニフェアに出掛けたり、美味しいカニをたらふくという欲求は増すばかりでした。結局カニ食べ放題の宿のカニのクオリティに問題がありわざわざ出掛け高い宿泊費を出しても満足度が低いと費用対効果を考え角上魚類にカニだけ買いに行けばいいことではないかと一応の解決点を見いだしました。
そして年末年始はカニや煮物やらお雑煮やら好物に囲まれ満足な新年を迎えたのでした。
それからまた寒さの近ずく季節を迎えカニへの欲求はまた沸々と沸き上がり満足と完結がないことを知るのでした。
先月海辺の温泉で新鮮な海鮮料理と雄大な景色と温泉で癒されたのにカニがない不満がカニの旅をまた想起させたのです。
まずカニの宿で検索し出てきたのが茨城の大観荘です。しかし、ここはカニずくしで食べ放題ではなくあらゆるカニを食べている私はあえてごちゃごちゃ料理などしなくて良くてやはりカニ食べ放題だろうと頭が向くのです。
ただカニ食べ放題で出てくる宿は大体泊まっておりどんな感じかもわかっていて満足度が高いカニ食べ放題は北海道や東北や山陰、福井辺りなのです。そこまで行って食べるなら角上のカニを買えばその倍のカニが食べられるのは経験済みで毎回同じようなことをしている自分をあきれるばかりなのです。
ところで昨年もカニ食べ放題の旅の時も検索にナスパニューオータニの名前が出てきて、大江戸温泉のカニ食べ放題が二泊しても満足できなくてナスパでやり直そうかという言う記述が昨年のブログにも出てくるのです。
昨年それを取り止めた理由にスキーシーズン前の何度も泊まった宿に泊まる価値があるかと考えたことと大江戸温泉物語と同じナスパもベニズワイガニの食べ放題なのでまた満足はしないだろうと思って角上でカニを買った経緯に繋がるのです。
それにナスパの温泉は加水、循環、消毒とスーパー銭湯の大浴場並の湯でわざわざ入りに行かなくてもという泉質です。
ところがそんなありきたりの温泉と近くの宿でもあえて行ってみようかという気になったのです。
それは近くに有名観光地となった清津峡がありインスタ映えするなどと世界から人を呼べる地となり山の中に住み長瀞という有数の柱状節理観察地も近くにあり同じ山のなかでグリコの看板みたいに有名すぎて行かなくていい地だけど見ないまま死んでもいいのかという強迫的観念から脱出するためにも見ておこうかとそして近くに足をのばせばずっと見てみたいと思った火焔型土器もみられるとわらわらと旅の骨格ができあがったのです。
それにナスパはあまり知られてはいませんが源泉掛け流しの温泉もあるのです。
順番としてはまず長岡まて足を延ばし長岡市内観光をする。
そしてあわよくば寺泊魚のアメ横の浜焼を堪能し海を見てのんびりして宿に向かうといった予定でした。市内観光では長岡花火館、酒蔵、団子屋、美術館や歴史博物館などがあり昼食はへぎそばをと考えていました。
朝6時に起きて前回と違い自分で珈琲をポットに詰め7時一寸前に出ました。これなら朝の渋滞にもひっかからず高速に乗れるはずです。
結果順調に関越に乗れ3時間ほどで長岡インターに着きました。
真っ先に見たいのは火焔型土器ですがまだ開く10時にはなっておらず反対の長岡道の駅に向かいます。
道の駅に着くと車はポツポツで人もあまりいません。ここも施設開場は10時で10分ほど待ちました。結局お土産品や花火館のシアター上映が11時でそれを見て過ごし縄文館に向かいます。すでにお昼の時間でお腹もすいていたので昼食でもよかったのですがあまりに観光客的過ごし方をしてすでにへぎそばなど食べたくもなかったし、ネットでおすすめの吉野川酒蔵や団子屋も行く気が失せたのです。
ただ、火炎土器だけは見たくて向かうと12時ごろついたのですが施設は静まり返っており、駐車場には休憩時間を過ごす大型車やタイヤ交換だかをしてるようなおおよそ縄文館と関係なさそうな人たちしかいなかったのです。
前回の美術館同様休館日かと危ぶみましたが、さすがに今回は事前に調べておりそれはないはずと入り口に向かうと自動ドアは開き入場できたのです。
念願の火炎土器との対面はあっけなく果たされ思ったよりもずいぶん小さいものでした。教科書の写真では大きな有田焼の壺位のものを想像していましたがバケツより小振りでヤカンくらいの大きさしかないのです。
展示品の解説により主に女性が製作していたとか煮炊きに使用していた痕跡がありお焦げから穀物や動物の肉と推測され年代も判明したとのことでした。
そしてこの発掘が明治期で個人によるものだったというのが興味深い点です。
5000年もの間人々に気がつかれもせずその土地は誰にも利用もされなかったのでしょうか。
そんなことを考えながら外の敷地内に復元された縦穴式の住居を見て回り、かつて学校で教わった縄文時代の文化とか生活が幼稚で劣ったものといった考えがいかに間違いだったかを考えるのでした。
これだけ新潟県内に広く発見されている独特の意匠とその意味を考え実際に煮炊きをされていた痕跡とかから科学的検証で多くの推測が可能となり青森なとで見つかっている大規模集落は今の都市部に普通にあったのではないかと思われます。
そして学校で教わったよりより高度な組織的な技術家集団とか工業や輸送業も組織的な職能組織があったものと思います。
まだまだ考古学には科学的な考察やら想像力が必要だと感じるのでした。
馬高縄文館の見学を終え12時少し過ぎた辺りでもう残りの観光的なところは回りたくなくなり、まして観光客向けのへぎそばの店も行く気が失せここまで来たらかつて夏になると通った寺泊の海と海鮮が食べたくナビで検索すると40分ほどで着くとありました。
海に行って浜焼を食べてあとは宿に行って温泉にはいれば十分とばかりに出発しました。
道路は空いていて時間通りに着き、魚のアメ横前の駐車場は大型バスも止まりかなりの人出です。
何十年ぶりかの日本海は鉛色かグレーで濁っていました。
海沿いの家は古い瓦と茶色の木の家で昔のままのようです。
しかし、目の前にすぐまた陸地が見えあれは佐渡島なんだろうかと眺めますが昔この島の印象はなく果たして佐渡島なのか確かめる術もなく魚のアメ横へ向かいます。
新しい旅館などができていて11月なのに人は多くここでも外国人団体や旅行者は多いようです。
ここの角上はなかも昔のままのようでたたずまいも変わっていません。
ここで海鮮丼やノドグロなどを食べ念願を晴らしたように思います。
海辺で海産物が新鮮で安いという刷り込みのまま別に現地でそのような表示はないわけで人々は勝手に信じ混みここに集まってくるのです。そんななにも知らない観光客に芸能人のサインなどを並べなんの認証にもならないのに人々は競って浜焼を買い求めたり海産物を山のように買っていきます。
私はここが先の犬吠埼と同様思い出の地であり特別な思い入れもあり訪れましたがそんな過去を振り返ったり観光地巡りよりなすべきことやまだ見ぬ地へ行くのが重要と思って指針としていましたが自分だけ行ったことない有名観光地だとか名物もやはり残りの人生を考えると残したままでいいのかというのも重くのし掛かってきます。
そんなことを思いつつ宿に向かいました。
チェックインは4時と伝えてありました。
寺泊を出発したのは1時半ごろでナビは宿まで2時間位といっています。新潟側の関越は平坦で真っ直ぐで空いてますからおおむねそんな時間に着くでしょう。
関越は最近の高速にありがちな工事で所々一車線になったり対面通行になったりしました。それでも前回の千葉行きに比べれば遥かに運転は楽でしょう。
湯沢で関越を降り、真っ直ぐに宿に行ってもつまらないので湯沢の市内と駅の売店を冷やかしに行きました。ここはそれこそ何度も来ていますから見るまでもないのですがこういう買い物は楽しいものです。
宿に着くと玄関前の駐車場に止められスキーシーズンでは考えられない感じでVIP扱いのような嬉しい措置です。
フロントで貸し切り風呂の空いてる時間を聞くと全部空いてるというので5時半からにしました。まずは大浴場の内湯、サウナ、露天風呂を制覇して貸し切り風呂です。高級感に溢れ清潔で人も少なく最高なのですが施設が最高でも同宿者に子連れやうるさい中国人団体などがいると台無しです。そんなこともなく何度も泊まっていたものの貸し切り風呂に入ろうと思ったのは今回がはじめてでそれは貸し切り風呂は源泉掛け流しだと聞いたからです。いつもならスキーで疲れていてお風呂の泉質などどうでもよかったのですが今回はカニと温泉の旅なので泉質も重要です。
なんとその貸し切り風呂は泊まった部屋と同じフロアーにあり、時間になると鍵を下のフロントまで取りに行かねばならないのでした。
いざ入ってみるとなんと54度の源泉が文字通りドバドバと流れている風呂で足を入れるや熱くて煮えてしまうようなお湯なのです。ドバドバと水を足してやっと入れるようになり入りましたが確かに大浴場と違う香りに満ちていましたがこれだけ水を足したら源泉の効能も薄まっちまたろうと思ってなんとも納得行かないような3100円もする貸切風呂の費用対効果をあれこれ思ってしまうのでした。それでもシーズン前の平日だから貸し切り風呂をいれても2万円を越えないのです。これは他のカニ食べ放題と比べて遥かに安いのでした。
それだけではなくナスパニューオータニの高級感とクオリティーは随所にあり同宿者に子連れや中国人団体さえいなければ極楽なのです。カニも大江戸温泉より遥かに良くそれだけでなく他の料理の質や給仕スタッフの質やサービスが冬だけ開けるリゾートホテルとは違い遥かに満足行くものなのです。ビッフェながら料理は手抜きなく全てが美味しいし供されかたもきれいなのです。あとは一緒になる人の問題だけです。
フロントに到着してから大浴場のようすから泊まり客はかなり少ないものと感じていましたが夕食会場に行ってみるとフロア一杯の人でビックリします。見慣れたタビックスのバッチを付けた人達もいます。外国人らしき方達もいましたがお馴染みの中国人団体はなしです。全体的に高齢者ばかりのようでしたがなかには子連れの若い方もいました。印象に残ったのは特製けんちん汁の味でした。野菜素材の味のよさから癖のない味付けながら旨味がじゅわっと染み出ていて美味しいのでした。ニンジンのポタージュスープもニンジンだけでなくなんでだしをとったのだろうと聞きたくなるような見事な味付けでした。変な臭みを感じるような料理もなくどれも当たり前にうまいと言うまた泊まりたいと思わせるものでした。