これは店頭で見つけて買っておいた本です。
毎年クリスマスに新刊が出るというアガサ
クリスティのようなパトリシア・コーンウェル
の人気シリーズです。
『スカーペッタ』といきなりがつんと
こう来たかという感じです。
実はこのシリーズも前回の異邦人ではかなり読むのに骨がおれ
この検死官シリーズも随分劣化したと感じていました。
それからしばらくクリスマスに気にならなくなり、似たように
新宿鮫や餓狼伝など新刊を楽しみにしていたシリーズも
段々劣化してもう今更という感じになっていってしまう仲間
入りかと思われました。
しかし、高村薫の合田刑事が死んでいなかったようにこの
スカーペッタもまだ死んではいないと今回は思いました。
ただ、この世の中にかなりの影響を与えた小説も今更新しい
ネタも科学的捜査も披露しづらくなって来ていて、それに
ついては、テレビの科学捜査のドラマをくさしたりして
本家であるところをアピールしています。
人間関係では、本来の読者が一番望むスタイルにただ戻して
かつてのパワーを取り戻そうとしています。
つまりは、今までの展開をリセットして元のキャラに戻す
ことでやればできるという感じにしたのです。
これはもうサザエさん化したようなものです。
普通は、人気シリーズを長持ちさせるには新キャラクター
の創造や新たな敵を作っていくのですが、どちらもうまく
行かず、死んでしまった人を生き返らせたり、とにかく
マンネリが一番面白いということに気がついて、これしか
できないという開き直りが題のスカーペッタというそのもの
ずばりの表現になったのでしょう。
ですから、これ以上はもうないし、次はあまり期待できない
という感じはします。