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猪名川町立静思館

2010-06-06 | 建築巡り・街歩き【兵庫】



最近土日は子どもたちの習い事を入れてしまったので家族で丸一日お出かけすることはなかなかできなくなってしまったが、
昨日は久々半日かけて猪名川町方面へ訪れた。
主なお目当ては静思館と多田銀銅山の坑道見学などなど。

静思館は猪名川町で最も大きい民家「旧富田邸」を町が譲り受けたもので茅葺き、総檜造りの母屋と四つの土蔵からなる広大な屋敷で、富田氏が全国から良質な木材を集め、江戸時代の豪農の屋敷を模して昭和7年に3年の歳月をかけて建てられたもの。
登録有形文化財となっている。





堂々とした表門。





施主の富田熊作氏は美術商を営む資産家で東洋美術品を扱う山中商会のロンドン支店長を勤めたこともあり、
ヨーロッパの二大中国陶器コレクションと言われる「パーシバル・ディビット・コレクション」「バウアーコレクション」の名品を買い集めたといわれ、すぐれた鑑識眼の持ち主であったそう。
イギリス帰りということで西洋の最新の技術を駆使した設備が屋敷の各所に見られた。
珍しいのはこちらの給水塔。
櫓の上に貯水槽を設置し、井戸水をポンプでくみ上げ屋敷の各所に水道管を配し、トイレは現在の水洗トイレと同じ方式で使用されていたのだそう。





茅葺屋根は西洋建築のトラス様式が採用されている。
が、家具や意匠など洋風のものも取り入れられているのかと思いきや、ほぼ純和風の建物だった。





高い天井をもつ台所土間にはおくどさんが並ぶ。
冬は寒そう。
土間に続く畳の間には掘りごたつが備えつけられていた。





小さな囲炉裏の上下する自在鉤に興味を示す息子。





セイコー製の時計





正面玄関の八畳間にはやや東洋風?な応接セットが置かれていた。









味わいのある手吹きガラスも当時のもの。





四畳半のお茶室。





自然の木の湾曲を生かして作られた縁台





お茶室のお待ち合いには唯一西洋風の家具の椅子が使われていた。





敷地の山側にはこんな氷室が造られている。
氷室は現在でいう冷蔵庫。
奥行き20m、左右各三か所枝筋があって主に食物の保管に使われていたとか。





表門横にある蔵は、書斎蔵といわれ、美術品の保管兼書斎として使われていたそう。
珍しいのはその床にはオンドル床暖房が入っているのだ。
書斎の畳の下には熱さ10mmの鉄板を敷き、その下に火床を設け、炭火を利用して暖めていたとか。





蔵の扉は四重扉になっている





三枚目の重い扉にはこんなコマ付のレールが敷かれていて楽に開閉できる工夫がされていた。





更に敷地内には衣装蔵、中蔵、乾蔵と蔵が三つ。

いろいろとみどころの多いお屋敷を堪能することができた。
この後は近くの多田銀銅山の坑道跡へ。





コメント (2)
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