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最終日、唐津では重要文化財の旧高取邸へ訪れた。
旧高取邸は日本の石炭産業をリードしたといわれる炭鉱主、高取伊好の邸宅で約2300坪の広大に敷地に建つ2棟の建物からなっている。
ここが予想以上にすばらしく興味深い建物だった~
和風基調の建物の中に洋風が絶妙にミックスされ、細部にまでこだわったセンスのいい意匠があちこちにあって
目も心も奪われてしまった・・
残念ながら内部は撮影禁止の為、写真は外観のみ。
ガイドさんについてもらって説明を受けながら一通り見学した。
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本玄関入ってすぐ脇には洋間もある。
この石造りの煙突がついている部分。
天井は少し高めの漆喰天井になっていてアールヌーヴォー調のシャンデリアが下がり、
絨毯敷で暖炉もあり、この部屋だけは純洋風だった。
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ここからの写真はそれぞれ建物を外からぐるりと回って撮ったもの。
内部の見どころの一つは大広間に能舞台が組み込まれているところ。
能舞台の床下はしっくいで固めたすり鉢状になっているそうで音響効果もすばらしく、
畳を敷くと北側の広間と合わせて30畳の広間として使えるようになっているなど機能的。
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邸宅内には京都丸山四条派の絵師、水野香圃による杉戸絵が72枚も保存されていて
どれも色鮮やかで美しい。質も量も全国随一だそうで、
この高取邸へ調査にやってきた藤森照信が絶賛したという蛍と柳の杉戸絵もホタルがほんのり光を発しているような臨場感があった。
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私が特に気に入ったのが部屋や廊下に入れられていた欄間の数々。
特に素敵だったのは2階の大広間に入れられていた孔雀と芥子の欄間。
純和風の大広間に和製アールヌーヴォー調の曲線が美しい孔雀の透かし彫り・・
隣の部屋から漏れる明かりにより、孔雀の影が壁に映し出される様子はとっても味わい深いものが。
他にも千鳥や珍しい蝙蝠柄の欄間などなどかわいらしいデザインのものもたくさんみることができた。
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隣り合った寝間と書斎は和室でありながら両部屋共用の暖炉があって、
イタリア産の大理石と鶴と亀がデザインされたマジョリカタイルが貼られて和洋折衷の雰囲気が素敵なお部屋だった。
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この大玄関に入れられていた亀甲模様の透かし彫りの欄間にも繊細な職人技を見た。
どのお部屋も豪華絢爛というより洗練された上品さと遊び心が感じられるとっても素敵な空間を味わうことができた。