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数か月ぶりに電車に乗り、京都へ。
まずは近代美術館で、会期が延長されてた「チェコ・デザイン100年の旅」と
「ポーランドの映画ポスター」展を見て、そこから近くのパビリオンコートへやってきた。
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パビリオンコートは古美術を扱っていた山中商会の迎賓館として、また美術品の陳列場として建てられた和館と洋館からなる建物。
見学をお願いしてみたら、タイミングよく先客もおられなかったようで、社長さん直々に案内していただけた。
こちらの玄関棟は明治37年の木造瓦葺の平屋の建物を移築したものだそう。
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エントランスホールには古美術商時代からの中国の重厚なアンティーク家具や
イギリスアンティーク家具などがさりげなくディスプレイされている。
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山中商会は明治時代に世界6か所を拠点に、中国美術を中心に欧米の博物館や富豪コレクターたちを得意先に持ち、輸出販売を行っていた国内最大級の古美術商だったという。
玄関棟から洋館へとつなぐ廊下にはロックフェラーや英国王室など、繋がりのあった欧米の著名人が残したサインがずらりと並び、
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当初、取り扱っていたという浮世絵をデザインしたというマッチなど、縁の品の展示も。
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洋館へやってきた。
洋館は大正9年建造の京都初の鉄筋三階建て煉瓦造りの建物。
まずこの階段ホールの吹き抜けに度肝を抜かれた。
下から見上げると、3階にあたる天井は折り上げ格天井に。
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3階の天井に折り重なるように出ている2階のホールの天井も又折り上げ格天井。
建築当初からの織物が貼られている。
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階段には卍くずしの文様がデザインされている。
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2階ホールの入口の扉は枠ごと付け替えたものだそうだが、
重厚感のあるもので、金具などの細工も細かい。
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そして、扉を開けると、当時、美術品の陳列場として使われていた広々として空間が
開けた。
うわ~っ、素敵だなあ。
こちらの部屋は結婚式によく使用されてるとのこと。
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陳列場として使われていた時の写真はこちら。
当初は床はじゅうたん敷きだったそう。
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天井は廊下と同じく折り上げ格天井になっていて、組み合わさった木は
全て丁寧に面取りがされ、職人こだわりの仕上げがされているという。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/53/041bd943f738bb54e07a9d9243603bb6.png)
天井を支える大きな柱の付け根にはが見た目は金属のように細工がされた、漆喰装飾が彫られている。鳳凰や植物文様が見られる。
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こちらの部屋の木材は天井から扉など全て、シオジといわれるタモ材が用いられているそう。木目がきれいで淡い色目がナチュラルな雰囲気。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/84/55ce782e42177a13dd7dbcc2a36cbb19.jpg)
窓枠の装飾も細かなところまで。
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ドラゴンが彫られた透かし彫りの豪華な中国風の椅子。
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椅子の脚、ひとつひとつに獅子の顔が貼り付く。
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少し簡易な感じの中国風の家具のいくつかは、古美術商当時にお抱えの家具職人が美術品の展示台の什器として作ったものだとか。
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ボタンの花?のような透かし彫りは玄関棟の和館についていたものを
ディスプレイとして再利用したものだそう。
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更に3階へ。
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親柱にちょこんと乗ってる真鍮の獅子がかわいい。
木の柱に真鍮、と異素材の組み合わせも初めて見たかも。
獅子と卍崩しなどオリエンタルなデザインも、顧客の欧米人にいかにもウケそう。
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階段のもう一つのこだわりは、この急カーブに、柱を一本置いて繋ぐ
ということをせず、木を捻じ曲げてカーブを彫り出しているところだという。
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相当手間のかかった仕事だそうで、滑らかな曲線が美しかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/04/4957484abc996de1a1f60406a3e941aa.jpg)
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当初は建物の壁面は煉瓦が漆喰で隠されていたそうだが、改装にあたって、
漆喰を剥がし、あえて煉瓦を見せるというデザインにしたそう。
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イギリス積みで積まれた煉瓦塀には所々木片なども挟まってる。
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3階の階段を上り切ったところにも、あうん、の「うん」に口を結んだ獅子がいた。
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そして、この日一番の驚きは、この天窓。
部屋の天井中央にはかなり大きな天窓があって、そこからすごくいい感じの
自然光が差し込んでいて、まるで屋外にいるかのような雰囲気が味わえるのだ。
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元は美術品の陳列場だったので、自然光の元、美術品を品定めするためだったのか?
と伺ったら、電気のない時代だったので、明かりとして、広く天井から採光したのだとか。
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ここは現在は披露宴会場や、音楽会などにも用いられているそうで、
披露宴会場としては、ほんとに室内にいながら屋外のような開放感が味わえて、
お料理もおいしく見えそう。
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そして最後は1階へ。
玄関棟からすると地階になるのだが、傾斜地に建てられているので半地下のような
感じになっているのだそう。
こちらの部屋は一転して落ち着いた雰囲気に。
山中商会時代にはここは事務所として使われていたという。
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太い柱、梁が見える。
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コーナーにすっぽりと収まるアンティークのバーコーナーもカッコいい。
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外から洋館の外観を。
洋館はタイル貼りになっている。
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和館と洋館をつなぐ廊下には控室として使える小部屋が並んでいたが、
家具は全てアンティークで統一されていて、こんな四隅に椅子がすっぽり収まる
面白いテーブルセットもあった。
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さらっと見学させていただくつもりが、いろいろと興味深いエピソードを交えたお話をお聞かせ頂き、素晴らしい建物を見学させていただくことができて、とても感動した。
当初の建物の状態をできるだけ残すということにこだわりが感じられるリノベーション、なおかつ快適なブライダル施設として生まれ変わっていたので、今後も多くの人に利用してもらえると、建物好きとしてもうれしいなあと思った。
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見学後は玄関棟にあるカフェでランチにハヤシライスを頂いた。
この後は久々に長距離タイルウォーキングへ。