原田産業の見学を終えた後は、この日の最後に17時30分からの先着順の味園ユニバースビルの見学にガイドツアーにやって来た。
またまたそんなに並ぶつもりはなかったのだけど、流れ的に1時間以上前に到着。
しかしもう7、8人の列ができていて、この場を離れたら定員オーバーになるかもしれない危険性があったので
大人しくビルのスロープに沿って並んだ。
(写真は帰り間際のビルのネオン)
1時間以上、スロープの急坂で並んでもう足はガクガク・・
それでも少し早めに、ようやくツアーがスタートした。
味園ユニバースビルは昭和30年に建てられた複合商業ビル。
バブル期まではミナミや千日前の歓楽街を代表する施設で、ビル内にはキャバレーやスナック、ダンスホール、宴会場、サウナなどの施設を備え
大いに賑わっていたという。
現在は宴会場やホテル、貸しホールなどに使われている。
最初にビルの地下一階にある元キャバレーで現在は貸しホールとなっている施設へ案内していただいた。
この日はちょうどイベントが催されるところで、お客さんもたくさん入っていたのだが、
その内装に驚愕!
ハデハデなシャンデリアにハチの巣がモチーフなのか?六角形の黄金モチーフが天井に広がる・・
レトロゴージャス?と近未来?的なものが入り混じったようなものすごい内装に、フロアにひしめくキャバレー時代から使用されていたという
ベルベットなソファなど、インパクトが強すぎな世界に驚いた。(残念ながらここは撮影禁止)
その後、宴会場へ。
宴会場へのアプローチは本物の岩で作られたという通路に、赤い太鼓橋がかかる。
突き当たりのエレベーターに乗り、5階の宴会場へ。
左手に大宴会場、右手には中お座敷の個室が並ぶ廊下は赤い絨毯が敷かれ、朱塗りの柱、天井からはシャンデリアが下がる。
最大500人収容可能な大宴会場
天井がメタリック
部屋入り口上部には龍と雲?モチーフの黄金の装飾があったり、
中座敷入り口は開口部がこんな丸くなっていたり
廊下の壁にはこんなタイルが貼られていた
同じく廊下の壁の飾格子は何かの漢字モチーフかな?
こちらは小お座敷や個室が並ぶ廊下。
小座敷の内装もそれぞれ少しずつ違ったものになっていた。
こんな風景写真が壁一面に貼られた部屋も。
今どきあまり見かけないちょっと奇抜な内装が面白い。
宴会場をひととおり見せて頂き、次はホテルゾーンへ向かった。
今回、イケフェスで楽しみにしていた建築の一つ、原田産業株式会社へやってきた。
普段立ち入れない現役のオフィス建築ということでめったにない見学の機会。
先着順の見学なので約1時間前にやってきたが、すでに列ができてた;(写真は後で撮ったもの)
前から数えて10人くらい目だったのでこれは一番最初のツアーに入れるかな?とがんばって並ぶことに。
原田産業株式会社大阪本社ビルは昭和3年に小笠原祥光の設計により建築された。
建築当初から原田産業の本社として使い続けられてきたもので、
初めてこの建物を見た時はこの大きな縦長の窓など印象的なファサードで、この窓に面して美しくカーブを描く階段が
外からちらりと見ることができて、素敵な内部空間だな~とうっとりしてた。
それが今日は目の前で見ることができるとは!
玄関ホールの飾り格子
見学まで1時間・・スマホの充電もなくなってきて、キツいなあと思ってたら、
20分ほど早く見せて頂けることになった!よかった~
この吹き抜けの階段ホールの空間!それほど大きくはなくこじんまりしているのだけど
縦長の大きな窓から明るい光が降り注いでいて
手すりの美しい曲線、アイアンの軽やかな装飾がとても優雅な雰囲気。
階段部分を詳細に・・
一階の階段下の床の縁取りにはさまざまな色合いの大理石がモザイク状に入れられている。
一階応接室の窓
二階の廊下の床にも色とりどりの大理石のモザイクタイルが両端に帯状に入れられていた。
こちらは仏間といわれる部屋。
暖炉の上には仏像が置かれていて、
照明器具共ちょっとオリエンタルな雰囲気。
応接室
照明の細かい模様が天井に映り込んできれい
こじんまりとした建築だけれど、外観、内部共美しくまとめられていて、見ごたえのある建築で
当初から現在まで建て替えられることなく本社オフィスとして使い続けられてるのは素晴らしいことだなあと
今回見る機会が得れてよかった~
今月の建築講座は明石市大久保にある安藤邸へ訪れた。
遠くにぞくぞくするような魅惑的なたたずまいの屋根が目に飛び込んできた。
安藤邸は大正8年に建てられた邸宅で、なんと外観だけが完成した後、施主が亡くなったため、
内部は未完成のままだそう。
その建物は、未完成のまま誰にも住まわれることなく約90年の時を経、今もなおそのままの状態で残されているという。
その話を聞くだけでもなんだかミステリーな小説を1冊くらい書けそうな感じ・・
マンサード屋根に、珍しいというS字型のスパニッシュ瓦が乗る。
焼きむらのある瓦は遠くから見ると良い色合いを放っていて、青銅の窓枠とマッチしてる。
円形に見えるくらい先が食い込むアーチ窓はアールヌーヴォー様式の特徴だそう。
そして敷地の中へ。
建物は総石造りで建てられているという。
石の厚みは約50cmもあるのだそう。
ルスティカ積みで積まれた外壁
煙突が通ってる部分
この外観で、もし内部が出来上がっていたとしたらどんな雰囲気の内装になっていたのだろう~
1階を少し覗かせて頂いたが、想像力が膨らむ・・
和風の車寄せ
車寄せの格天井
敷地内には洋館の他、書院造の格式の高い客殿と和風住宅があり、客殿の内部も入らせていただけた。
洋館、和館とも改修するにも莫大な費用がかかるとのことで今後の行く末は定まっていないのだそう。
帰りは近くの喫茶店へお茶に立ち寄った。
いつも手作りお菓子を振舞ってくださるKさんがこんなかわいい猫ちゃんのクッキーを作ってきてくださった。
なんと、猫の型枠から手作りだという。いつもながら職人だなあ。
イケフェスの話題で盛り上がりつつ、みんなで写真を撮りながら美味しく頂いた。
村野藤吾建築を二軒見た後、やって来たのは立売堀ビルディング。
昭和2年に建てられたテナントオフィスビル。
ガラスブロックが入れられた玄関。
玄関は昭和36年に建て替えられた新館部分だそう。
テナント看板が並ぶ入り口
竣工当時から現在まで、所有・管理者、用途も変わらず使われ続けているのは珍しいとか。
そして1時からツアーの予約が当選していた長瀬産業株式会社大阪本社ビルへやって来た。
昭和3年に建てられた旧館に昭和57年、南隣に10階建ての高層ビルが建設された。
当初は旧館を取り壊して新館の計画もあったそうだが、当時のオーナーの強い意志により旧館は残され、
増築という形になったという。
スクラッチタイル貼りの旧館に合わせて、新館はタイルや窓など、旧館のイメージが継承されていて
旧館、新館が違和感なく馴染んでいた。
旧館入り口。
旧館から新館へ続く広々としたロビー
旧館のオフィスに残されたドアのステンドグラス。
図案はろうそく?!
この形のまま切り出したといわれる大理石の階段手すりも残されていて、優雅な曲線を描いていた。
一階の階段室にはスクラッチタイルも残されていた。
最近、娘がはまってるステンシル。
娘がステンシルのアルファベットのシートを手作りしたので、私もそれで何か作ろうと、ウェルカムボードを作ることにした。
あれこれデザインを考えて、飾りも入れようと思ったので、そのシートも娘に依頼。
シートはクリアファイルに写してカッターナイフで切り取るのだけど、
こういう細かい作業は娘の得意分野?!
私は板に色を塗って、エイジングリキッドを使ってアンティーク風加工を施し、
作ってもらったシートを使って、スタンプインキをスポンジでペタペタ乗せていった。
そして完成!
なかなかいい感じに仕上げられたかな?!
ステンシル、かなり面白い!!
娘はステンシルを机に入れてみたり、サイコロカレンダー作ったり、100均の標本箱で窓風インテリア作ったり
いろいろと楽しそうなので、私もまた第二弾に何か作ってみよう。
娘のはちなみにこちらに近々アップ予定だそう。↓
娘のルームクリップ→mayuhachi
生駒ビルヂングの見学が終わった後、長瀬ビルへ向かう途中には村野藤吾設計のビルを二軒見ることができた。
こちらはフジカワビル。昭和28年建築。
ファサードはガラスブロックと両端にはバルコニーがつけられている。
寄って見ると、バルコニーの手すりのデザインが手作り風?・・こちらも村野藤吾のデザインだそうで、全て違うデザインだそう。
1階、2階部分はフジカワ画廊となっていて、この日は特別公開中。
画廊の入り口のドアノブ
シンプルな画廊の中はらせん階段が一つ
優雅な曲線を描くらせん階段。
真ん中にぽつんと置かれた家具も全て村野藤吾設計のものだそう。
こちらも村野藤吾設計の森田ビルディング。昭和37年建築。
外壁には黒の御影石が使われている。
1階に足を踏み入れてみると、村野藤吾らしい階段の手すりなどが見れた。
日本圧着端子株式会社のツアーを終え、次に当選した長瀬産業へ向かう途中、生駒ビルヂングで
臨時の屋上時計台のツアーがちょうど開始されるというので参加することにした。
生駒ビルヂングは昭和5年に生駒時計店のビルとしてアール・デコ様式が取り入れ建築されたビル。
外壁はスクラッチタイル貼りにテラコッタで装飾されている。
入り口上部や二階の窓辺には御影石で作られた鷲の彫刻
テラコッタで入れられた不思議な文様の装飾。
正面の階段はイタリア産の大理石が使われている。
階段踊り場のステンドグラス。
本来は見ることができないもう一つ上の2階手前にあるステンドグラス。
屋上見学の際の帰りに見ることができた。
踊り場のステンドグラスと色味は同じでデザイン違いのものだった。
エレベーターホール周り
大理石に囲まれた重厚なエレベーター入り口
エレベーター横の小窓のステンドグラスにはG、Iとイニシャルがデザインされている
当初からのアールデコ照明
1階の金庫室の中
こちらは元照明だったものだったか?
1階のカフェバーの入り口ガラスの扉の装飾も当初からのものだそう。
地下へ下りる階段。
地下の資料室も開いていて、時計店時代の古い看板や時計、資料、家具などが並んでた。
そして屋上ツアーの時間となり、途中までエレベーターで、そして屋上まで階段を上った。
屋上へ出ると、下から見上げるとかなり小さかった時計台が目の前に。
現在は電波時計になっていて、暗くなると文字盤が光るようになっているとか。
時計塔の外壁のスクラッチタイル。
偶然だったけど、時計塔の臨時ツアーに参加することができてよかった~
日本圧着端子株式会社見学ツアーの後は近くの芝川ビルへやってきた。
芝川ビルは昭和2年建築、戦前まで芝蘭社家政学園という花嫁学校として使われ、現在はテナントビルになっている。
竜山石を用いたマヤ・インカ風の装飾が興味深い。
入り口周りの装飾
幾何学的な不思議な文様の装飾が取り囲む。
1階のエントランスホール
竣工日、設計者などが書かれたプレートのデザインも凝ってる!
フロア案内板の後ろの装飾も面白いなあ
表側はふさがれているようだけど、マーブル模様のステンドグラスも
階段手すりの装飾
チラリとのぞいたお店の天井にはこんな優雅な漆喰装飾が残されていた。
4階の階段柱
4階の特別公開中のモダンテラスへ。
広々としたテラスは現在レンタルスペースとして貸し出しされている。
テラスのタイル
4階のトイレの壁面や洗面台には古いタイルが残されていた。
タイルはかつて西宮甲東園に建てられた芝川邸で使用されていたものを再利用したものだそう。
いい色合いの布目地のタイル
ひょっとして他の階のトイレも?とチェックしたら、トイレの扉前のスペースには各階それぞれ違ったタイルが見れて感激!
こちらは3階トイレのタイル。ギザギザ模様が入ってる。
2階トイレのタイル
1階トイレのタイル
地下の元金庫室はカフェ&バーのようなお店になってた。
日本圧着端子株式会社のガイドツアーは今回のイケフェスの事前申し込みでいくつか申し込んだ中から抽選で当たった二つのうちの一つ。
10時からのツアーに参加し、会社の担当者の方とこの建物の設計者の岸下真理さんに案内して頂いた。
2013年に建てられたこちらの建物は外観から木の格子に覆われたインパクトのあるもので
外装、内装共に木材がふんだんに使われている。
社内はアイディアを生み出せる環境をというところから自宅にいるような空間作りをされたという。
床から天井、家具類まで自然に近い素材ということで杉や檜の木材が使われていて、木のぬくもりに包まれたほっとくつろげるような空間。
圧着端子というものを取り扱う会社ながら、建物のコンセプトは「つなぐ」だそうで、
各階半階ずつずらすことで、視覚的にも隣り合う階に繋がりができたりと
空間や人との繋がりなどが感じられる設計になっている。
開発担当の部署ではなんと畳敷きのオフィスになっていて、座卓が置かれていたりしてとても会社のオフィスの雰囲気でなさそう。
こういうリラックスした雰囲気の中でこそよいものが生み出されるのだそうで、社員からはとても好評なのだとか。
他にもオフィスの机が向かい合わせでなく壁に向かって並ぶなど、斬新なレイアウトにも驚いた。
そこで働く人たちの居心地の良さを最も考えた、会社のオフィスらしくない内装にすっかり惹きこまれてしまい
建物の魅力を十分に味わうことができた楽しい見学ツアーだった。
(残念ながら内部は写真撮影禁止とのこと。)
イケフェス、青山ビルの次に訪れたのは隣にある大正12年建築の伏見ビル。
当初はホテルとして使われ、現在はテナントビルになっていて、ギャラリーやフレンチレストラン、事務所などが入っている。
玄関床のモザイクタイル
玄関周りの壁面のタイル。
玄関ホールの中央には梅をモチーフにした手水鉢に花が生けられている。
玄関ホールの奥には普段は開いていない扉があり、オーナーの方が開けてくださった。
ガラスの戸に竣工当時の伏見ビルの姿のエッチングが入れられていた。
お話によると、当初は現在はない塔屋が立っていたのだが、
戦争時代に少しでも目立たないようにとの配慮から取り除かれたのではということだった。
塔屋があったらまた全然違った印象の外観になっていたんだろうなあ
玄関ホールの両サイドに階段があり、
階段を上がると、部屋が並ぶ。
一階の現在ギャラリーとなっている部屋は当初は美容室として使われていたそうで大きな鏡などが残されていて
美容室の名残が見られた。
入り口のアーチの扉、アーチ窓も当初からのものだそう。
ギャラリーのオーナーの方がおられ、ゆっくりどうぞと言われたけど、この後見学予約をしていた建物の時間が迫っていたので
慌てて伏見ビルを後にした。