今日未明に、COP21「パリ協定」が合意成立したとありました。
温度上昇目標、排出量削減目標は合意できたようですが、肝心の途上国への
資金支援額については合意に至らず今後の作業となったようです。
途上国を含めた協定とされたことは、京都議定書を大きく前進した形ではありますが、
具体的なリアル拠出金額では、「エゴ」が出てしまうのですね。
先週、BSで松竹映画「秋日和」を見ました。
昭和35年芸術祭参加の作品で、監督小津安二郎、原作 里見、出演は懐かしい顔ぶれで、先ごろ他界の知らせが
ありました 原節子(母親秋子役)とその娘に司葉子、会社の同僚の岡田茉利子・・。
秋子の夫の七回忌法要に集まった、夫の学生時代からの親友三人、佐分利信、中村伸郎、北竜二、が当時の
想い出話をしているところから映画は始まるのでした。 学生時代に薬屋のマドンナ(原節子)をめぐる思いは、
結局今日 七回忌を迎える親友が射止めて、今なお美しい母親とその娘を残したのでした。 三人の同級生は、
それぞれに社会的地位を得た 落ち着いた人柄で、当時のマドンナは今は未亡人であり、その一人娘(司葉子)を
嫁がせようと、似合いの男性を紹介したりするが、母一人子一人の壁をどう解消すればよいかなど、その底流に
溢れる友情と 相互のおもいやりなどがしっとりとした調子で描かれていて 心あたたまるほのぼのとした映画でした。
司葉子の相手役には佐田啓二が・・そして、会社の同僚には岡田茉利子が、初々しい面々が鮮やかに描かれていました。
(allmovie.comより)
(両映像は、映画画像より転写しました。)
先ごろ、鎌倉文学館を訪れた折、鎌倉には多くの文学者らが居住していたとありましたが、里見と小津安二郎も
この地で交流が盛んだったのか、この作品が生まれたということだそうです。
原節子の映画は、東京物語、晩春、麦秋、秋刀魚の味 など小津安二郎監督ものをもっぱら見た記憶がありますが、
どれも美しく上品な役どころを演じていて、おそらく彼女の日常においてもこのような性格の人なんでしょうね。
目が大きく身体も大きく、当時の日本女性としてはやや異色だったかもしれませんが、若くして引退するまで
数々の名作を残したやはり大女優の一人なんですね。
小津安二郎監督独特の家屋内の映像アングル、街並み風景、東京駅付近と思われるJR車輌(湘南電車?)、
ビールはアサヒ、サッポロ、ウイスキーにトリス、ホワイトホース等 昭和30年代の懐かしい映像も楽しめました。
世の男性が、一定の坂を上りきった、安定した心情とその生活ぶり、そして友情がほのぼのと描かれて、
我が身はその年代はかなり前に突入して久しくなりますが、そのような心の動きや 今なお続く友情を改めて
蘇らせてくれるのでした。