先ごろアメリカ・ラスベガスで史上最悪とも言われる銃乱射事件が起こりました。
アメリカに詳しい“若さん”から、この事件について詳しいレポートが届きました。
“若さん”がこれほど銃に詳しいとは思いもよりませんでしたが、タイムリーなその
話題を以下にアップしました。
平常は、それこそ楽しいことばかりが埋め尽くされたラスベガス。大人も子供も、老い
も若きも・・楽天がそこに作られているのです。 “ギャングがそこを守っているから、
安全そのものもだ”などと言われたその地は、エンタメの不夜城ですね。
かって、もう20年以上も前になりますが、ラスベガスの MGMグランドに泊まり、カジノ
なども初めて経験したり、夜のショーを見たり・・楽しい思いをしたことがありました。
今回の事件が起こった場所、犯人が乱射したマンダレイベイホテルは、なんと、その昔
に宿泊したMGMグランドから1㎞くらいしか離れていないのです。当時、近くのルクソール
ホテルなども開業してまだ新しく、ニューヨーク・ニューヨークホテルは、まだ建設中
でしたね。 ラスベガスブルバード(ストリップ)の最南端のマンダレイベイホテルは
当時は未だ出来ておりませんでした。そんなホテルの32階から400m見下ろした広場での
コンサート会場を無差別銃撃したのでした。
前振りが長くなりすぎました。 どうぞ“若さん”の記事をご覧ください。
****** 不思議の国アメリカ研究(4)******
ラスベガス・コンサート会場銃乱射(史上最悪の死傷者)
ホテル高層階から銃乱射!58人死亡、527人+負傷!
10月1日(日曜日)2.2万人のコンサート会場にマンダレイベイリゾート&カジノ(MBR&C、
写真上左)32階から約 9-12分間、断続的にフルオート銃撃と銃撃音(The rat-a-tat sound)
が響きました。 史上最悪の銃惨劇事件です。 SWATが踏み込んだ時には犯人は自殺。
犯人、ステファン・パドック(64歳)は、大量の銃器、弾薬を合法的に入手し、ホテル並び
に自宅に保有。 トランプ大統領は「犯人は精神異常者」と呼びました。 しかし、犯歴、
病歴もなく父親が「銀行強盗」だったこと、そして「High roller」(HR)と呼ばれる大金
をかけるカジノの上客であったことが判明しました。
しかしいまだ動機については全く不明です。 大統領はイスラム・テロ脅威を叫んでいま
すが、銃が氾濫し、銃による死亡者 3.7万人/年(2万人は銃自殺)の方が深刻な社会的脅威
ではないでしょうか?
ホテルMBR&Cのスイートは 一泊$4,000(約45万円)。 3日前にチェックイン。 犯人は
マイルをためてVIPになる普通の上客ではなく、恐らく特別VIP待遇客だったと思われます。
例えば、数百万・数千万・億円をかけるような本物のHRや、宿泊時数千万円をホテルに預託
するような上客(VIP/Noir member)は宿泊、飲食費は無料。 ギャンブルなしで帰ると、
滞在期間の日割り金利付きで自動返金されるような特別待遇客です。
銃、弾薬は自ら部屋に持ち込んだとホテル側は主張。 しかし大量の銃器搬入を可能に
したのは、特別待遇客には、守秘義務を意識して なんでもありのサービスをしていたホテ
ル側の対応も背景にあると思われます。
事件発生時、会場から拳銃では射程外で反撃不可、仮にライフルを持っていても特定の
部屋に反撃、命中させることは至難です。自動銃での無差別大量殺人は防止、防戦が難しい
ので改造キット規制の可能性は少し浮上。NRA(米国ライフル協会)が改造用Bump Fire Stock
(BFS)をATF(米国銃酒タバコ取締局)に規制対象としての検討委託との報道在り。 BFS メー
カーSLIDEFIRE社は自社webで「受注停止中」と表示しています。(下記写真中央)
半自動ライフルの自動(フルオート)化部品規制問題が浮上?
AR15用BFSキット(SSAR-15MOD) SLIDEFIRE社受注停止(BFS) SF社AK-47 BFSキット(肌色部分)
警察はホテルの部屋で23の銃、拳銃そして弾薬を発見。公開写真から、60発弾倉、スコー
プ、固定2脚付き BFS改造ライフルAR-15複数を発見(12丁の改造銃確認:写真上左)。
乱射は自動(フルオート)射撃でした。 法規制により全自動小銃の販売は禁止。しかし
BFS改造は合法。 単純構造のBFSは、3Dプリンターで自作可能。 規制対象になっても実
効性は疑問。もし規制されても、テキサスの部品メーカーの倒産=トカゲのしっぽきりです。
法的に自動小銃は新規販売禁止でも、1986年以前購入自動銃保有は登録認可され50万丁
に上ります。
今回、事件で使われたAR-15は、米軍用M14本体をアルミ合金化し、プラスチック部品
多用で軽量化。 低反動5.56m弾(NATO)仕様に改良したM-16(自動、半自動、バースト)
軍用銃を半自動モードに限定した市販ライフル。
参考までに、世界中で最も使用されている自動小銃AK47(ソ連製)のポーランド仕様
(5.56NATO弾)の半自動モード限定ライフルも 米国でライセンス生産され入手可能。
(@$600-800)つまり実体は自動小銃が合法的に販売されているのです。合法的改造可能な
半自動小銃は概算で150万丁あり、銃砲店の最も売れ筋稼ぎ頭です。
自動化改造部品とアサルト・ライフルの殺傷力の問題
ガトリング・トリガー(GT) 5.56mm弾 AR15+GT 実装写真 “Hyper GAT”自動拳銃化
元々AR15、AK47は軍用自動突撃銃です。9mm弾の拳銃と比較し、小口径でもその殺傷能力
は破壊的。 拳銃の射程は100m以下、弾は貫通せず骨や体内に止まる。一方ライフル弾は
高速(3倍)で打ち出されエネルギー量大きく有効射程も500m。 直撃で骨は破砕、臓器に
命中時は床に落としたゼリーのようになり、急所をはずして貫通した場合でもキャビテー
ション(衝撃圧力破砕)により周辺組織(急所)を破壊し 貫通出口はオレンジ大に広がる
ので重傷・致命傷になる驚異的殺傷能力を持っています。
今回大量殺人の問題は半自動ライフルの販売、所有でなく、群衆に自動モードで乱射を
可能にしたBFS改造を焦点に ねじ曲げているように思います。 NRAやトランプが主張して
いるように銃所持で自衛・反撃できるという銃所有正当化ロジックは、今回の事件には
当てはまりません。犯人は高所から、400m離れ22,000人の群衆に無差別に乱射しても実に
効果的大量殺傷ができました。(同じ距離で特定目標の自動モード射撃の命中率は極めて
低くなります。高速連続発射の反動と急激な銃身の温度上昇によるWhipping(銃身のゆら
ぎ)で発射弾は上下左右へばらつきます。犯人の乱射しているホテルの部屋を特定できた
後も、警察は一発も反撃できなかったのです。
驚くべきは、類似改造部品はもっと簡単、廉価なものが合法的に入手可能。上記写真の
装置は引き金部分に取り付ける部品類です。クランクを回転させ高速自動発射させる方式
(ガトリング、GAT)や引き金を引き続けるだけで自動発射できる部品があります。BFSが
$140-300、ガトリング方式$50、それ以外に安いものでは$30程度の部品で22口径の拳銃
から50口径(長距離から自動車破壊できる)のライフルまで速射、自動射撃できるように
改造できます。
ちなみに、弾倉交換時間(30発/Mag)を考慮して半自動で90発/分、オート(自動)で
180発/分が発射可能になり、TV 報道の連射時間から想定すると大型弾倉(60-100発)使用、
第一撃から9-12分断続的自動射撃を続けたとして、1,600発-2,000発が群衆に発射された
のではないでしょうか。
AR15に改造部品をとりつけ、大型弾倉、射撃用スコープと固定脚を取り付けると軍用
軽機関銃(写真下)になります。スーパーマーケットで購入でき、米国では個人で銃を30-40
丁所有は珍しくありません。隣の家のおやじやお兄さんが機関銃、拳銃、弾薬数千発保有
しているとしたらどう思いますか? さらに現在Open Carry(銃のむき出し携帯)を認めた
州が45に増えました。(許可制含む)
米国は不思議な国どころか、やっぱり狂っているとしか思えません。 つづく