とうとう 特別展「運慶」に行ってきました。
一昨日(10/24)はどんよりとしたお天気の火曜日でしたが、上野は多くの人たちで
賑わっていました。“芸術の秋”なのでしょうか、西洋美術館では「北斎とジャポニズ
ム」、「ロダン素描集」、国立科学博物館は「フローラ ヤポニカ」、東京都美術館は
「ゴッホ展」、東京芸大美術館では「シルクロード特別企画展」、そして、国立博物館
では「運慶」、表慶館の「フランス人間国宝」と興味を惹かれる企画が満載でした。
私は、お昼過ぎころ、東京国立博物館平成館に向かいましたが、30分待ちの最後尾に
並びました。やはり人気がある・・! 興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」は、過去
最大の集結とうたわれ、現存する仏像31体のうち22体がここ上野に集結したのです。
そのほとんどが国宝、あるいは重要文化財で、大きな仏像、繊細な中に躍動感あふれ、
豊かな感情表現に人間味を感じ・・一言“圧巻”でした。
平成館入り口にて
(無著菩薩立像、制多伽童子立像、毘沙門天立像)
特別展「運慶」については、ランチの会のメンバー Inさんが、先刻、その感動を
グループメールに送信され、仲間内でメールが飛び交いましたが、中でも 国宝「無著
菩薩立像」について、福岡在のHaさんから、“そのモデルは、田中英道氏(元東北大教
授)によれば、歌人「西行」である。無著(むじゃく)という高僧は5世紀ころのインド
の人で、運慶の時代(12世紀)にはあまりに離れており、顔つきなどから、当時 興福寺
再建に助力した西行をモデルとしたのではないか”・・
そんなメールが飛び交ううち、ネット調べなどにも力が入っているとき、Haさんから、
“Eテレ「日曜美術館」で放送があるよ”との情報もあり、この日は、衆院選の開票状況
があるので、とりあえず録画して翌日見ることとなりました。
1時間ほどの番組で、イラストレーターの みうらじゅん氏らの解説で、貴族社会から
武家社会へと移り変わる時代背景などとともに、奈良仏師「康慶」を父とした作風を、
さらに独自の作品として発展させた大きな流れが描かれていました。
『仏師というよりも彫刻家。仏像というより人間。感情の内面まで見事に表現。こめ
かみ、手の甲などの血管まで、筋肉なども表現したリアリティー。 もはや総合プロ
デューサー。』などの言葉を聞けば、もう、すぐに見たくなってしまったのでした。
国宝「無著菩薩立像」は、まじまじと拝見してきました。皺、血管も確認してきました。
こちらは、平常時は興福寺北円堂に安置されているそうですが、非公開ということです
から なかなかお目にかかることは出来ないのです。 国宝「八大童子立像」も、思い思い
の表情が豊かで、どこか愛らしさがあり、衣の彩色もきれいに残っていてよかったです。
運慶作ではありませんが、再建のリーダとして活躍した「重源上人座像」の表情も何と
も言えないその人柄を感じさせる作品でした。
また、東京国立博物館、京都浄瑠璃寺、東京静嘉堂文庫美術館に所蔵されている、重文
「十二神将立像」(十二神)がこのたび一堂に会したのはなんと42年ぶりなのだそうです。
これらの迫力満点の仏像を一堂に拝観でき、これまでとは違った印象と感動を覚え、
堪能させていただきました。 平成館を後にして、表慶館にも入ってみたかったのですが、
なぜか疲れてしまい、その前を通り過ぎてしまいました。
上野公園は、火曜日とは思えない人出でにぎわっていました。また、一面銀杏が落ちて
少し匂っているところがありました。
上野公園(14時ころ) 一面の銀杏