蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

高齢者の貧困  (bon)

2018-02-24 | 日々雑感、散策、旅行

  「子どもの貧困」について、昨年、当ブログ2017.11.29に記事アップしました。
 蓼科農園で
の団らんの時に、このことが話題となり、それをきっかけに少し調べて記事
としたのでした。

 で、その記事でも、高齢者の貧困率も高いという指摘をしていましたが、貧困率算定の
基礎には、所得のみで貯蓄などの資産を含んでいないため、貧困率からだけではその実態
は正しく把握できない・・と軽く流していました。
 ところが、1月28日付の読売朝刊の社会欄に「生活に困窮する高齢者が増えている」との
見出しで記事解説されていました。

 高齢者の貧困の背景には、 ・年金収入が低く、貯蓄が不十分、 ・働いていない子ども
を養っている、 ・病気で医療費がかさむ、 ・離婚で単身になる  などがあり、
高齢者の貧困が増えており深刻化しているとの記事内容でした。

 厚労省の昨年(2017.6.7)発表の国民生活基礎調査から、関連する図表を引用させて
いただき、この辺の事情をもう少し詳しく見てみたいと思いました。

冒頭の高齢者も貧困率が高いと言及したグラフを下図に再掲しました。

      世帯種類別所得分布

  

昨年記事アップしました「子どもの貧困」で見ましたように、母子世帯の所得が低く
働くにも非正規雇用的な安定しない状況からが主な原因でしたが、高齢者世帯の所得も
母子世帯と似たような状況であり、この場合は、主として年金所得かと思われます。

  高齢者世帯における公的年金の総所得に占める割合は、下図の通りで、年金だけの
世帯が 54.1%で、大半が年金収入という世帯は全体の 8割だと示しています。

      

 また、生活保護を受給する高齢者世帯は、年々増加傾向にあり、下図にありますよ
うに、1997年度で約28万世帯であったものが、2017年2月で約84万世帯にまで増加し
ています。

    

 生活保護費の支給額は地域により異なりますが、生活保護費のうち生活扶助は、
高齢者単身世帯で6~8万円、高齢者夫婦世帯で9~12万円とあり、もちろん受給資格が
ある場合で、収入との差分(控除額含む)見合いとなるわけですが、貧困でありなが
ら生活保護も
受けられない(受けていない)高齢者がなお多く存在していると推測さ
れるのです。
 日本には、高齢者は、現在 約3300万人いるそうですが、貧困者は約700万人と推定
され今後も増えると予想されています。 ネットには、『 その暮らしは、家賃が払え
ず、友人宅やネットカフェ、近所の公園などで漂流生活をしている。病気になっても、
医療費が払えないため通院や入院治療を拒否し、痛みに苦しみながら自宅療養をして
いる。』とあります。

 高齢者の世帯構造がありました。 下図で分かりますように、単身世帯がほぼ半数
を占めているのですね。そして、単身世帯の性別、年齢別構成は、さらにその下の図
に見られるように、女性(の一人暮らし)が多く、約4割が80歳以上ということです。

         

   

  一方、高齢者の平均貯蓄額は1270万円だそうです。この数字からだと貧乏とはいえ
ないように感じられますが、これは平均値で、中央値では、
高齢者の貯蓄額は大体4~
500万円のようです。 
500万円の貯蓄がある高齢者は全体の40%で、貯蓄なしの高齢
者は16.8%いるそうです。

 世界ではどうなのか? OECDのレポートによれば、高齢者の貧困率ワースト5は、
1位韓国の49.6%、2位オーストラリア 35.5%、3位 アメリカ 21.5%、4位 日本19.4%、
5位 トルコ 18.4%とあり、日本は上位(悪い)にあります。

 冒頭に貧困原因を揚げましたが、矢張り何らかの理由で、年金が十分でないことが
最大の理由で、現在50~60歳くらいの年金加入率が低く、これらの人達が高齢となった
時、さらにこの問題はより深刻になりますね。
 災害で住居などに大きな被害があるとか、突然の事故などで多額の医療費が掛かる
とか、そのようなアクシデントによって、それまで何とかやってこれた場合でも、突然
生活が脅かされる不安とともにいる世帯も多いのではないでしょうか? 貧困予備軍?

     

 対策は社会保障費の増加に結び付くわけですけれども、年金加入率を高めることは、
何としても進める他、真に困窮な世帯には 生活保護の支援が受けられるように制度を
見直す事も重要でしょう。 そして、高齢者でも、健康な人の就労を促進することも
重要だと思います。  かって、聞いたことがありますが、「人や社会に役に立つ、
ちょっとした行為をすると、それに見合ったチケットがもらえて、そのチケットが、
地域で金券として使うことが出来る」などの些細なことも、見過ごさずより拡大して
行くことが望ましいと思います。


 下流老人
(かりゅうろうじん)という言葉がありました。 2015年に出版された著書
の題名だそうです。 著者は、
生活困窮者支援を行うNPO法人「ほっとプラス」の代表
理事で社会福祉士の藤田孝典氏とありました。高齢者の逼迫した生活をめぐる問題を
捉えた言葉だそうですが、何となくやりきれない感じもします。


 

 

 

 

コメント
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