今年の私の選んだ10大ニュースの一つに“探査機はやぶさ2”の 小惑星りゅうぐう に
着陸成功(2月)があります。 はるか遠い2億28000万㎞彼方の小さな惑星に無事着陸して、
鉄球を打ち込んで、惑星内部の資料を採集して来年の12月頃に帰還する予定で現在宇宙
空間を飛行しているのですね。
こんな宇宙も、今は人工衛星で混雑状態にあると、新聞の解説記事(読売新聞2019.10.18)
に取り上げられていました。 あ~、そうかもしれないナと思いながら、この記事に触発
されてネットをあちこち検索し、おおよその状況が分かりましたので、一部記事アップして
みました。
小惑星 りゅうぐう
(ウイキペディアより)
一口に人工衛星といっても、目的や大きさ、軌道、高度などによって区分されています。
目的では、軍事、科学、観測、通信、放送などがあげられ、大きさなどでは小型衛星、宇宙
ステーションなどがあり、軌道による区分では、低軌道(2000㎞以下の地球周回軌道。国際
宇宙ステーションなどはこの軌道に存在)、中軌道(高度2,000kmから地球同期軌道
(35,786km)までの地球周回軌道)、高軌道( 地球同期軌道より外の地球周回軌道)が
あります。 その他、周期性、軌道系射角などの分類もありますが専門的過ぎますので割愛
します。
静止衛星は、中軌道の一番遠くの高度約36000㎞の周回軌道を約 3.1 km/sのスピードで
回っているのですが、地球の自転と同じなので、静止しているように見えるのですね。放送
衛星、通信衛星、気象衛星などが利用していますが、静止軌道上は、静止衛星が世界各国で
打ち上げられて同じ軌道上に並ぶ為に、人工衛星の過密地帯になっています。 以前は衛星
ごとに経度2度分の間隔を空けることになっていましたが、現在は同一経度に複数の衛星が
投入されて運用されるようになっていることから、軌道投入時には特に注意が必要です。
静止軌道ポジショニング (ボーイング社より)
(時計の10時あたりが,東経135度です。)
このほか、低軌道の小型衛星が昨今急激に増加して、混雑しているそうです。低軌道へ
衛星を投入するのは、そのエネルギーが少なくて済むほか、リモートセンシングでは、地球
との距離が近いので画像の解像度が高い利点がある、通信衛星では送受信電力が少なくて
済むなどの利点がありますが、常に移動しているため、安定した通信を行うためには多数
の衛星を組み合わせて構成するなど、多くの投入が見られ、スペースX社(アメリカ)は、
今年5月に一挙に60基もの小型衛星を打ち上げたとあり、2027年までに1万2000基を打ち上げ
る計画を発表しているとか、さらに他の企業も打ち上げが計画されているそうです。
これまでに打ち上げられた衛星は、下図のように年々増加しており、ここ数年で急激に
増加しているのですね。 3000~5000基ともいわれていますが、ネット検索では、どれが
正確な数字なのか判別できませんでした。
世界小型衛星打ち上げ数推移 (総務省研究室HPより)
(横軸スケールは、左端が1956年、右端は、2017年です。)
まあ、このような状況にある宇宙は、今、大変混雑しつつあり、“渋滞?”を起こしそう
というよりは、衝突しかねない状況にあるといいます。 この9月には、高度300㎞超の宇宙
空間で、あわや衝突? の非常事態が発生したそうです。 欧州宇宙機関の地球観測衛星と
米宇宙企業スペースX 社の通信衛星が衝突する恐れが生じたというのです。 衛星の軌道を
変えて緊急回避し大惨事に至らずに済んだそうですが、今後もこのような危険が発生する
可能性が十分あるのです。 そして、宇宙産業は2045年までに300兆円に達するとの試算が
あるそうです。
宇宙の交通ルールが必要です。 ということで、アメリカはじめ各国で検討が進められる
とのことですが、果たして、ここにも米、中、ロなど宇宙覇権?を目指している国間でうま
く進められるか難航が予想されるところです。
低軌道の環境は、人工衛星だけでなく、打ち上げたロケットや故障したり、寿命が来たり
した いわゆる宇宙ゴミ(スペースデブリ)で混雑が進みつつあり、大きさ直径10㎝以上の
ものだけでも約2万個も 秒速数㎞の猛スピードで地球を回っているというのです。
アメリカ航空宇宙防衛司令部は、直径10 cm以上ある低軌道上の物体を8000以上も追跡し
ているとありました。
日本では、宇宙ゴミを排除する独自技術でこの問題の解決に挑んでいるそうで、ロボット
アームでゴミをつかんで取り除く「掃除衛星」を開発中とか。また、強力な磁石でゴミを
除去する衛星の実証機を近く打ち上げる予定だともありました。ちょっとちまちましい感じ
もしますが、これら宇宙問題の解決に貢献出来るよう期待したいところです。
こんな感じなんですが、あのファッブル宇宙望遠鏡は、地上約600km上空の軌道上を周回
する衛星なんですね。
宇宙も問題だらけ・・!