蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

グリーン・スワン  (bon)

2020-04-19 | 日々雑感、散策、旅行

 緑の白鳥「グリーン・スワン」は、今年(2020年)1月にBIS(国際決済銀行)
フランス中央銀行がまとめた論文のタイトル『グリーンスワン:気候変動の時代に
おける中央銀行の役割と金融の安定』で使われた言葉です。
 どういうことかというと、「地球温暖化ガスなどによる気候変動をきっかけとして
大規模な金融危機が起こるかもしれない、という警告とその対策」がまとめられた
論文だそうです。つまり、気候変動による災害の影響で銀行などの金融機関のオフィ
スやデータセンターの運営が滞ることや、それによるバリューチェーン全体への影響
と、逆に気候変動対策を行うことによって、市場や社会の環境が急激に変化し、価値
が大きく損なわれる座礁資産が増え、それにより、投資家による投げ売りが発生し、
金融危機が起こるなどの問題を警告しているのです。

      (ネット画像より)

 グリーン・スワンという言葉は、金融業界で使われる用語「ブラック・スワン」の
気候変動版であるとされています。

「ブラック・スワン」とは、従来の知識では予想できないが、起きた時にはマーケッ
トへの衝撃が非常に大きい事象のことを指し、2007年に初めて書籍で使われた言葉だ
そうで、その具体例は、リーマンショックなどが挙げられています。

 余談ですが、なぜ“スワン”か? については、ヨーロッパでスワンといえば白鳥
(白い鳥)だけと思われていたが、1697年にオーストラリアで黒い白鳥(コクチョウ)
が発見されて以来、ありえなくて起こりえないことを述べる場合に「ブラック・スワ
ン」というようになったとか。

「グリーン・スワン」は「ブラック・スワン」に似せたコンセプトで生まれた言葉で
すが、論文には次の3つの異なる点があると指摘しているとありました。①気候変動
リスクが将来、現実のものとなることに一定の確実性がある。 ②気候変動によって
おこる大惨事は、これまでの金融危機よりもさらに深刻となりうる。③金融危機より
も一段と複雑な、環境、社会、経済を巻き込んだ連鎖反応を起こしかねない。
という恐ろしい内容が指摘されており、それが、じわじわと確実に現実味を帯びてく
るわけですから怖いことなんです。

      BISレポートで使われた二酸化炭素濃度(87~2019)
      (ネット画像より)

 今年は、新型コロナのパンデミックにより、ブラックスワンが1羽すでに降りてき
ているかのような危機が感じられます。ロックダウン、休業要請、外出自粛により、
すでにGDPの大幅な減少が報じられて、このまま長引けば 倒産、不良債権増加、消費
落ち込み、→ 失業率増加、収入減少、株価大幅下落などを招来し、ひいては金融危機
に陥る様相を呈しているのですね。すでに、世界で200兆円超の過去最大の財政出動
がなされていますし、ヒト、モノ、カネの流れが滞る前例のない事態の到来で景気
減退は必至とみられています。

 新型コロナの急激な感染拡大、死亡者増の世界危機に今や傾注しその対策とワクチ
ン、医薬品開発等全力投球する必要があり、気候変動問題はしばらく追いやられてい
る形となっていて、先ずは、火の粉を追い払わねばなりませんが、グリーンスワンも
確実に近づいてきているわけですから、何とかしなければならないのです。

 新型コロナ感染を防止し定着させるキーポイントは国民ひとり一人が3密を回避す
ることにありますが、台風、豪雨、洪水などの災害が発生した時の避難はさらに困難
を極めるでしょう。

 で、後先になりましたが、グリーン・スワンの今後の対策として、論文には、例え
ば、炭素税の実施があり、温室効果ガスを排出する企業などに炭素税を課す仕組みを
上げていますが、合意形成に時間がかかると懸念されています。さらに、関係者全員
の意識を高め、政府、民間部門、市民社会、国際社会など、様々な場面で幅広い措置
を実施することが挙げられています。
 そして、各国の中央銀行が行う対策として、適切なストレステストによる、気候変
動によるリスクの監視、より良い気候変動リスク評価の手法の開発、各国の年金基金
へのESG(環境・社会・ガバナンス)基準の導入などが提案されているとあります。

 いずれにしても、まだ論文の段階であり、さらに今後具体的な項目、事案に対して
検討・合意が重ねられなければならないのです。時間があるようですが、いつまでも
「小田原評定」を重ねているわけには行かないのです。 トランプなどは、パリ協定
から脱退してしました。

 先(3月4日)に開かれたブリュセルでのEU欧州議会で、グレタさん(17歳)の演説
の中で、委員長の発言「世界の気候リーダーとしての欧州の地位を固めるものだ」と
の主張に対して、グレタさんは「気候リーダーになるふりをしながら、まだ新たな化石
燃料インフラを作っている」「誰も従う必要がない法律を法律だと見せかけている」、
「自分の家が燃えていたら、消すのに数年も待たないでしょう」と語り、50年とい
う先の目標より目の前の対応を重視すべきだと訴えたという。
 当のグレタさんは、3月下旬に新型コロナに感染の疑いで自主隔離中だとか。

      (ネット画像より)

 新型コロナによる地球危機、そしてその次に控えている気候変動危機、さらにそれ
らに加えて時として起こりうる自然災害・・どうしても暗い先しか見えてこない気が
しています。

 <参考>日本銀行HPより
 BIS(Bank for International Settlements、国際決済銀行)は、1930年に設立された中央
銀行をメンバーとする組織で、スイスのバーゼルに本部があります。ドイツの第1次大戦賠償
支払に関する事務を取り扱っていたことが行名の由来ですが、それ以外にも、当初から、中央
銀行間の協力促進のための場を提供しているほか、中央銀行からの預金の受入れ等の銀行業務
も行っています。

 BISには、2019年(令和元年)6月末時点で、わが国を含め60か国・地域の中央銀行が加盟し
ています。日本銀行は、1994年(平成6年)9月以降、理事会のメンバーとなっています。

 

 

 

 

 

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