早や、今年も今日(11/7)は二十四節気の「立冬」です。七十二候では「山茶始開
(つばきはじめてひらく)」とあり、山茶花(さざんか)の花が咲き始める頃なので
すね。我が家のベランダのさざんかはまだツボミですが、近くの生垣では白やピンク
の花が咲き始めています。いよいよ冬到来ですね。
いきなり「女帝」で、驚かれたかもしれません。「女帝、小池百合子」(石井
妙子著、文藝春秋、2020.5.30 第1刷)を読み終わりました。この本は、大阪の
友人から、千葉を経由して私の手元に来たのです。
小池百合子は現在東京都知事ですが、彼女の生まれから女学校時代の生い立ち、
そして、政界でのいろいろ、その性格などが克明に描かれたノンフィクション
作品なんですね。膨大な資料はじめ数多くの取材などから浮き彫りされた彼女の、
来し方の様々な事実、家族とりわけ父親とのかかわり、強い上昇志向、権力への
すり寄り、ファッションへのこだわりなど彼女の性格や行動、数々の事例を取り
上げ、そこに描かれた虚偽の数々、しかもそれらを平然と押し通す度胸と巧みな
演出により政界を上り詰め、今なお巨大都市東京のトップとして活動を続けてい
ることに大きな疑問を投げかけているのです。
彼女に向けられた激しい視線、論調の連続がそこに描かれていますが、と同時
に、そのような行動が許される政界、マスコミが作り出す現代社会のありように
対して警鐘を発しているのです。
あとがき の初めに述べられていますが『ノンフィクション作家は、常に二つの
罪を背負うという。 一つは書くことの罪である。もう一つは書かぬことの罪で
ある。後者の罪をより重く考え、私は本書を執筆した。』とあります。 また、
『すべての証拠品のコピーをとり、信頼できる友人に保管を頼み、何かあったら
私に代わって記事を書いてくれと編集者には頼んだ。』と重い覚悟の上で、小池
を洗いざらい事実の発表に至ったのですね。 本書を出版する以前に、文芸春秋
から「学歴詐称」に関する問題記事を発表されているのです。
「女帝、小池百合子」が発売された時、新聞にも広告が載り、そのことは知って
いましたが、1か月足らずで15万部のベストセラーになったとあります。これだけ
の致命的ともいえる批判、ダメージが公表されているのに、特段の反論、問題が
起こっていない(少なくとも話題になっていない)ということは、すべて事実で
あり反論すべき余地がないということかもしれませんが、逆に反論すれば、事案
が大きくなりかえって恥部をいっそう掘り返すことになることを考慮してやり過
ごしているのかもしれません。いずれにしても穏やかならざる事態ではないかと
思料されます。
テレビで見る小池都知事は、新型コロナで5知事会議のリーダとしてもご苦労さ
れているのを見ておりましたし、本書に書かれたそれぞれがどうしてもそのまま
投影されないのですね。
若い頃から、テレビから政界入りし、政党を渡り歩きながら常に権力者の傍に
いて、環境大臣、防衛大臣を経て、都民ファーストの会を結成しダントツで都知
事に登り、テレビなどのインタヴューでも切り返しのうまい、落ち着いた対応、
パフォーマンスなどなど、その人の能力だと思っていました。
400ページを超える内容は、厳しい批判と虚像を実像に変えながらの行動の連続
で重苦るしくさえ感じ大変疲れました。
最後に著者の言葉・・『今回の著書は小池氏の“批判本”と呼ばれますが、私
はむしろ、小池氏を生み出したこの社会の流れ、在り様にこそ関心がありました。』
と。
昨日の夕焼け
マドンナの宝石