蓼科農園は、八ヶ岳連峰の峰々に抱かれたのどかな自然の真っただ中にある。
農園から見上げると主峰の赤岳は、ちょうど隠れた格好でその前にある阿弥陀岳の威容がいつも我々を見守ってくれているようだ。
全く私ごとになり恐縮ですが・・・
この八ヶ岳に今から22年前、1991年8月、遅い梅雨が残る中、一行12名のグループで登山しました。
奥蓼科“湯道街道”終点の渋の湯を出発して、東天狗から硫黄岳、横岳、そして取り付きの石室山荘に宿泊して、
赤岳をクリア。長いクサリ場などの急な下りを通過し無事美濃戸口に下山しました。
この当時、山行後には各自が自由に感想文を書いて簡単な文集のようなまとめにしていました。
その中から、拙文をここにご披露させていただきました。
この山のグループは「三究会」と名付けて、自然、お湯、味の三つを究め、以て人生を究める・・なんてことを目指し、
年に一度山を楽しむ会ですが、この八ヶ岳が第8回目で、これまでに北アルプスの主な山々を楽しんできました。
で、この時の感想文から以下に抜粋してみました。
「八ヶ岳は、例年の北アルプスよりは、東京から比較的距離も近いが、何よりも清里、美しの森など過去にも出向いている上、
都内高校の夏季合宿所などがあり、普段から身近な山という気持ちがあった。
おそらく今年の行程は例年のそれよりもさらに甘く計画されたに違いない・・とタカをくくっていた。
ところが、硫黄岳、赤岳の形相さらにはクサリ場の長さなど、出発前のあなどりはことごとく打破され、
毎日午前さまの身には、やっぱり大変でした。
しかし、コマクサの群生、湧水の美味さ、曇りがちで見晴しは、あまり望めなかったけれども、
素晴らしく楽しい山の想い出を与えてくれたことに心底より感謝しています。
計画から実行、道中のあれやこれや、皆様にただただ御礼申し上げます。 (中略)
今年はフルメンバーともいえる12名が参加したこともあり、誠に失礼ながら、独断と偏見で皆様を十二支に例えさせていただきました。
特に他意はありませんのでお気にされないことをくれぐれもお願い申し上げます。
Oさん、一番バッターとして、足腰を鍛えた“卯”、ウサギはどうでしょうか。 やや大型の野山ウサギかも知れませんが
穏やかな中にも力を秘める。現代ウサギは都会の喧騒を避けるため耳は小さくして、テレカ(テレホンカード)等を販売しているという。
Kさん、“酉”。 ペンギンは人鳥神の鳥で、山中では直立にてピョンピョンと歩くが、水中はどうであろうか?
また、ニワトリのように、こまめに皆んなの世話を惜しまず、青い鳥を探し続けているロマンの鳥。酒が入るとオウムのごとく鋭い声を発す。
Kmさん、たてがみならぬ手拭いをヒラヒラさせながら走るサラブレッド。 重馬場にも強く、ハンデ戦では常に多く背負わされているのかも。
カイバよりも水割りをより好むとナリ。正しくは“午”。来年はホワイトホースのオンザロックですか。
Saさん、(女性) 岩場も木登りもなんのその。一年に20回以上も山歩きに熱中している愛らしいおサルさん。“申”を謹呈しよう。
お神酒が入ると益々陽気に、そして神々しく変身めサル。 オシリが赤いかどうかは全くシリません。
Siさん、(女性) 話し始めればもう猪突猛進、そうです “亥” がピッタリ? 山中下りはめっぽう強いが、人里近く平地に至れば、
人馴れ優れて気配りよく動き回る。時々、バタバタするところを加味すれば、イノシシ鳥かもしれません。
Tさん、“子”。 長いシッポの代わりに、カメラをぶら下げ、土近くの小さな花とも立ち向かっている。
窮鼠猫を噛む どころか普段、ネコやタヌキを従えて奮闘している大鼠なのだ。キャプテン赤坂、カラスも多く出没しているという。
Nyさん、やっぱり “丑” がピッタリ。 しっかり食べて力持ち。早くから人に役立つ働き者として重宝がられてきた。
昔、牛は神に通じる大事なものの意で、牛へんの漢字を見たまえ。最近雨に濡れないよう黄色いカッパを用意した。ウッツッシ。
Naさん、するする、じわじわと忍び寄る “巳” つまりヘビ。 執念深いかどうかは不明である。トグロを巻くのは苦手のようで、
いつも、伸びているので場所を取る。皆さん!ヘビの夢を見ると良いことがあるといいますぞ。
Hさん、あの勇猛な “虎” はどうでしょうか。“寅” はハリコのとらか寅次郎のイメージとなり、間違いやすい。
ニラミを効かせながら、先頭を守り、ときどき吠えることあり。
夜はトラとして、気持ちよく大吠えするが、気配りしすぎて風邪を引いた。
Maさん、“辰”。 芯は強くてキリット歯切れの良さはタツノオトシゴではない。 龍か竜か、麒麟ビールか?
高島暦では、威勢がよく何をさせてもテキパキして、お世辞が無くて気短で負けず嫌いが損とある。タツケテクレェ~。
Muさん、(女性) ふかふかと温かそうな羊ちゃん。 “未” と書くそうな。静かで優しくしているが、
意に添わぬことにはガンとして妥協できないようだ。そろそろツノカクシも必要か。羊が大きくなると美しくなるというのは正しい。
Yさん、ワンちゃん。 “戌” です。 ビーグル種かコリー種といったところか。
近年この世界にも美容コンテストが流行しているためか、おしゃれに気を配っているらしい。鼻が効くために特に山中で活躍する場も多い。
お気に召さぬ表現は、山仲間に免じてお許しください。来年は、さる年、皆様のご健勝を祈りながら
元気でお目にかかれることを楽しみにしております。」 「山想」1991より。
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