昨日、関東も梅雨明け宣言があったかと思うと、今朝の天気予報では早速34℃(最高気温)
とあり、熊谷では35℃。 今年も暑い夏が始まりました。
顕微鏡でしか見ることができないあの「細胞」のことです。 私たち人間の体は
約37兆個(以前は60兆個といわれていた)の細胞から構成されると言われていますが、
このミクロンの世界は『細胞社会』と呼ばれ、細胞が集まったり分れたり、増えた
り死んだり、あたかも人や動物の世界で起きているような事象が展開されていると
いうのです。
このことが手元にある会報記事に『 細胞の社会:組織はどのようにして作られ
るのか』(竹市雅俊氏、理化学研究所名誉研究員、理博)があり、興味をもって読
んでいましたが専門的で難しくとても理解できないでいたのです。
こんな時に昨日(7/16 )の新聞(読売新聞朝刊社会面)に、『マウスES細胞か
ら卵子』を作ることに成功した(九州大、林克彦教授ら)との記事が目に留まり、
何やら細胞がにわかに身近なところに来たような感じがしたのです。
新聞記事では、今回はマウスの話でしたが、人のiPS細胞から卵子を作りだすこ
とも時間の問題だ‥とあり驚いた次第です。
普段からこのような「細胞」に興味があったわけではなく、たまたまこの2つの
記事で触発されたまでで、会報記事やネット記事から理解できないままですが
『細胞社会』の入り口を覗いてみました。
そもそも「細胞」とは、生命活動の基本となるもので、エネルギーを生産し分裂
して数を増やしてゆく生き物です。 そしてこの細胞は、細菌や原生動物などの単
細胞生物では1個1個が独立した生命体として生きているのに対して、植物や動物と
いった多細胞生物では細胞が分裂しても離れず、結果として増えた細胞の集団が目
に見えるサイズ(いろんな臓器)にまで成長するのです。 ぞの出発点となるのが
受精卵なんですね。
細胞 (山形大、注目の研究・生物学より)
(上図で代表的な役割:DNAを保存する核や、タンパク質の合成を行う小胞体、生きるために
必須のエネルギーを生産するミトコンドリア、形が異常になって不要になったタンパク質
や脂質などを分解する液胞(リソソーム)などがあります。)
会報記事に『 受精卵が分裂し細胞が増えて体を作る現象を「発生」というが、
発生は、二つの要素が同時進行する過程である。様々な種類の細胞を生み出す過程
(細胞分化)、そして細胞が体の構造を作り出す過程(形態形成)である。』とあり、
『多細胞生物では、細胞がどうして離れないのか、生じた細胞集団がどのようにし
て精緻な構造を持った臓器を作るのか』など興味の尽きないテーマではあります。
考えてみれば、1個の受精卵から、多種の細胞が分化し、それぞれが分裂を繰り
返して様々な臓器を作って行く、それも自発的に作られて、それらの臓器の形を保
ちながら、年月をかけて成長して行く・・というのは何とも不思議ですよね。
ある臓器の中の細胞はくっついて細胞集団を構成しますが、異なる臓器の細胞とは
整然と区分け、配列されているのですね。
37兆個もあるという細胞の一つ一つすべての細胞の核の中にある染色体(DNA)に
よって行われているのですね。細胞分裂の際は必ずこの染色体(DNA)も複製されて
行くのです。この染色体の中に遺伝情報が記録されているのです。
記事では、実験・観察が行われた結果が記されていますが、発生期の臓器を取り
出して、ある溶液に浸しておくと細胞はバラバラに離れるが、それを適切に培養す
ると再び細胞は集まって組織構造が再構築される『細胞による自己組織化』機能が
あるというのです。
この能力は即ち、多細胞構造体を作るということなんですね。 そしてこの自己
組織化能力によって、適切な培養環境で育てると特定の細胞タイプ、例えば神経幹
細胞に、さらには網膜などの細胞に分化させることができるというのです。(近年
注目にあるiPS細胞)
組織形成細胞は普通はくっついて動かないけれども、細胞間の接触が一時的に壊
れると細胞の運動能力によってそれらが再びくっつく能力がある。例えば、怪我を
してもやがて治るのはその性質があるためなんだそうです。
細胞の実態がストンと理解できていませんが、ミクロンの世界で、細胞は一つひ
とつの生命体として自律的に行動し、それぞれが組織体を構成してそれらの組織体
が強調しながら一つの個体(人間など)を形成、維持しているのです。また、固定
的な組織体ばかりでなく細胞の中には、白血球やリンパ球など自由に動き回るもの
もあるのです。 時にはトラブルがあったりもしますがある範囲内では復元力もあ
るという。
個々の細胞はまさしく我々人間や動物の社会と似たような仕組みの中で生きてい
るのですね。 とても神秘的で不思議な世界がそこにあると思うとき、どこか浪漫
すら感じられてくるのです。
会報記事の終りに次のように締めくくられていました。『細胞の行動を観察して
いると、その自律性が動物の個体レベルでの自律性と似たように感じる場面にしば
しば出会う。 発生期の胚の体内で移動している細胞。その行き先は決まっている
のだが、細胞ごとに移動経路は微妙に違っていてどう動くかはある程度細胞の自主
性に任されているように見える。個体の発生という間違いがあっては困る現象も、
その途中経過は、限定的とはいえ、細胞にお任せというプロセスがあるのが面白い。
意外なほど緩やかなシステムなのだ。細胞の社会とは次元が異なるとはいえ。見か
け上 人や動物の社会と変わらないところがあって、1個1個の細胞が独立した生命
体であることを再認識させる。』と。
(ネット画像より)
細胞の世界 《SAB:アリアンナ・カルーギ博士》
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