昨夜のラグビーW杯、対アルゼンチン戦は、力の入る戦いでしたが27-39で
敗れました。 頑張りました。 迫力がありました。
少し前の拙ブログに、新しい素材による太陽光発電「ペロブスカイト」を取上げ
ましまたが、今回は、風力発電です。
風力発電方式は、旅行などすると山の方に、大きな風車が回っているのを見る
ことがあります。 かって、青森県の日本海側を北上した折、深浦町の椿山白神
展望台に登った時に、眼前に大きな風力発電のプロペラが回っていました。
で、風力発電には、このような陸上設置型のものと、海洋型、つまり海に風車を
建てて発電する方式があります。そして、この洋上風力発電方式には、本体を海底
に固定する「着床式」と海底には固定しないで、本体は海面に浮いた状態で流され
ないようにチェーンようのもので海底に固定する「浮体式」の二通りあります。
海洋型風力発電
(ネット画像より)
ここで、取り上げましたのは、まだ開発要素が多いとのことですが「浮体式洋上
風力発電」を取上げました。
文末のyoutubeは、今年2月に全長130mの「浮体式洋上風力発電所」の立つ瞬間
(2023年2月5日)の動画ですが、この事業は次のように計画されています。
五島市沖洋上風力発電 台船に積み込まれた浮体(2022.10)
(戸田建設より)
事業名称:五島市沖洋上風力発電事業
事業主体:五島フローティングウィンドファーム合同会社
出資者:戸田建設、ENEOS、大阪ガス、INPEX、関西電力、中部電力
発電設備:浮体式洋上風力発電、全長176.5m、ローター径80m
出力:16.8MW(2.1MW×8基)
供給価格:36円/kWh 工事開始:2022年9月 運転開始:2024年1月(予定)
事業終了:2043年12月(運転停止予定日)
しかし、今年3月には地上ヤードで製作中の2基に浮体構造に不具合があったこと
を受けて、約95億円の減損損失を計上するとともに、改修や再製作が必要とされて
います。この9月に運転開始を2026年1月(予定)に修正されました。
2022年12月には経産省資源エネルギー庁では、「洋上風力発電は、①大量導入、
②安価な電力、③大きな経済波及効果が期待されることから、再生可能エネルギー
の主力電源化に向けた切り札。」としてその推進を図ると共に、日本国内だけで
なくアジアの需要を取り込むなど将来の市場獲得に向けた次世代技術開発を戦略的
に進めていくことが重要だとしています。
また、久留米大学経済学部教授 明石健吾教授によれば、「我が国は、四方を
海に囲まれ、その有するEEZ(排他的経済水域)は世界第 6 位であるなど海に恵
まれた国である。海洋には未利用かつ膨大な風力エネルギーが存在しており、洋上
風力発電は我が国に適した再生可能エネルギー分野の一つであると考えられる。
着床式洋上風力発電で先行する欧州と異なり、我が国には着床式洋上風力発電に
適した水深の浅い海が少ないため、浮体式の洋上風力発電の普及が期待されるとこ
ろである。」と、将来を目指して取り組んでゆくべきと述べられています。
風力発電の仕組み (ナセルの中に発電機などが入っています)
(エナジーシフトより)
しかし、今年4月の情報では、事業者候補の東急不動産が津波対策などの費用が
かさむなど採算の取れないことを理由に撤退し、前田建設工業は下関市の安岡
(横野)沖洋上風力発電(風車12基、総出力:6万kW)の建設撤退を決めるなど、
大手企業の撤退が相次ぎその前途は厳しい状況にあるようです。
この背景には、浮体式洋上風力発電の普及に向けて、風車や浮体など設備に関
する更なる技術開発が必要である他、施工や運転保守に関しても多くの解決すべき
技術的課題がある。さらに、事業性の確保、大量導入と低コスト化に向けて港湾等
のインフラが必要であり、また、漁業を始めとする他の海域利用者など利害関係者
との調整という課題があげられています。
しかし、会報記事の小林慶一郎氏(慶応義塾大学経済学部教授)が述べられて
いるように、日本国として具体的な目標を設定して未来を見据えた戦略的取組が
必要であろうと思うのです。
小林氏の言葉から・・「浮体式風力の技術的なハードルは多いが、風力エネル
ギー賦存量が、現在の人間社会の一次エネルギー使用量に匹敵するかもしれない
という巨大なポテンシャルを考えれば、幾度かの失敗であきらめることは到底合
理的ではない。」「要素技術はすべて既に産業界に存在している。技術的困難が
克服されれば、浮体式洋上風力とその関連産業は、日本経済を支える大きな産業
分野に育つ可能性を秘めている。」
「現在の視点から出発し、現状の技術の改善と修正に終始するリスク回避的な
経営では、持続可能なカーボンニュートラルな社会を作ることはできない。未来
の視点から発想して意思決定することが必要である。2050年の未来にどのような
産業や社会が実現しているべきかをイメージし、そこから逆算して、今行うべき
政策を構想する『フューチャー・デザイン』の発想が日本を持続的な社会に変える
ために必要とされているのである。」 と締めくくられています。
小林氏の記事の中に、アメリカでの宇宙開発『アポロ計画』の下りがあり、困難
といわれたアポロ11号月面着陸が無事成功したのは、その実現を明確に約束された
からに他ならない・・とあり、未来計画に対する国家戦略的意思決定の必要性が
述べられているように思いました。
“海に浮かぶ発電所”エネルギー危機救うか 全長130m「浮体式洋上風力」立つ瞬間(2023年2月5日)【山口豊アナが見たSDGs最前線】
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