<7月14日>
三連休初日の土曜日、朝8時50分に新車のにおいが充満する買ったばかりのCクラスに乗り込み、豊田の自宅を出発した。2週間前に納車された我が家のCクラスのオドメーター は560㎞を指していた。行き先は富士五湖。以前から初ドライブは「富士山を見に行こう」と決めていたのだ。2人で富士周辺をドライブするのは新婚当時以来で、あの時はフェンダーミラーをイギリス輸出用ドアミラーを装着したスープラ仕様のセリカXXだった。
東海環状道・豊田松平ICから土岐JCTで中央道に入り、快適なドライブのスタートだ。駒ヶ岳PAでトイレ休憩をとり、さらにクルマを東に進めた。CLKからCクラスへの買い替えだったため、同じメーカーのほぼ同じサイズのクルマということで、運転に違和感はほとんどなかったが、前車は足回りをAMG仕様にしていたため、今度のクルマはややふわふわ感が感じられる。それでも、AMGスポーツ・パッケージを選んだので、柔らかすぎてしっくりこないというほどではなく、適度なしっかり感がだんだん心地よく感じられるようになって きた。
甲府の手前の双葉SAで2度目の休憩をとった。ちょうどお昼時だったので昼食にした。お昼時のSAのレストランはものすごく混んでいると予想し、あらかじめ駒ヶ岳の売店でおいしそうなパンを買っておいたので、外のベンチ に座って、行き交うクルマたちを眺めながら昼食をとった。高速路線バスの新宿行きの多いこと。食事をとっている間だけでも、飯田発と、新潟発と、松本発の高速バスを見かけた。甲府行きのJRバスもいた。しかも、どのバスもほぼ満員に見えた。やっぱり三連休の初日は賑わうものだ。なぜか、バスを見ながら外で食べる食事はおいしく感じられる。
昼食を終え、甲府の2つのICを過ぎ、一宮御坂ICで降りた。そして、R137で河口湖を目指した。
御坂峠のトンネルを超えた辺りで、まったく動かないような渋滞にハマッてしまった。前の大型トラックのドライバーは外に出てクルマの列を眺めたりしていた。しばらくして少しずつ動き出したが、こういうときのアイドリング・ストップはつらい。エアコンが効かなくなるのだ。暑さに耐えきれず、アイドリング・ストップをOFFにし、やむを得ずエコに逆行する行為に出た。救急車と2台の工作作業車が通り過ぎて数分後、のろのろとだが動き出した。下り坂の中腹のパトカーと数人の警察官がいたが、事故車はいなくなっていた。どんな事故だったかは分からなかったが、気の毒というか、迷惑というか。
坂を下ると、眼下に河口湖が見えた。思わず2人で「わあ~」と声をあげてしまった。美しい景色が突然現れると、自然に声が出るものだ。お目当ての富士山は裾野しか見えなかった。
河口湖大橋の手前で「かちかち山ロープウェイ」方面の湖岸の道に入った。そして、川口湖畔の駐車場に車を止めた。すると、観光船や白鳥のボートのおじさんがうるさいうるさい。 「ここに止めろ」だの「今からどうするか」だの「どこへ買い物に行くのか」だのやかましいから、おじさんたちのいない隅の方にクルマを止めた。隅の方には釣り客が1組いただけだったので、トランクから折り畳み椅子を取り出し、静かな湖を眺めた。時折、モーターボートが轟音を立てて通り過ぎていく。相変わらず富士山は裾野だけしか見えないが、リゾート地っぽさがいい感じだ。
河口湖駐車場のすぐ近くに発着所があるロープウェイに乗ってかちかち山(天上山)という丘の上から湖を眺めることにした。ロープウェイ駐車場には「満車」の札がかかっていた。 今夜の宿はロープウェイ駐車場のすぐ隣のホテル「ブリーズベイレイクリゾート河口湖」が予約してあり、ホテルの方にお願いして止めさせていただいた。
曇り空もだんだん青空が広がってきた。太陽が顔をのぞかせると、真夏の日差しが直接体に当たる。
往復700円のロープウェイに乗ると、眼下に河口湖全体が見渡せるようになる。すぐ隣のカップルは中国語で感動しているように見えた。
3,4分のロープウェイの旅を終え、かちかち山の山頂に立つと、青空が広がった空に頂 上の3割ほどを除いて富士山が姿を現した。山頂の頂点を見たいものだが、富士山の西側には雲が続いていて、全貌を見るのは無理だと悟った。それでも、汗を拭き拭きカメラのシャッターを押し、SDカードに富士と河口湖の画像がたまっていった。
ロープウェイで山を下りたのが3時半。まだまだ時間は十分ある。次に向かったのが、少し離れた山中胡だ。R139~138を東に向かうが、やはり三連休の富士五湖は関東ナンバーのクルマで混み合う。のろのろとクルマの列に従って山中湖に向かった。渋滞の先は富士浅間神社だった。富士山の神様がいる神社で、なぜか若者たちで賑わっていた。神社を過ぎると、左手に山中湖が見えてきた。富士五湖一番の広さを誇る湖で、さすがにでかく見える。国道沿いにいくつか駐車場はあったが、
「どこから見たらきれいな景色なのかなあ。」
そう思いながら、国道を外れ、湖岸道路に入った。先週の日本各地の大雨で九州では大きな被害が報じられているが、ここ山中湖もずいぶん降ったらしい。泥を処理した跡が道路の至る所に見られた。
「あっ、カワサキのなんかやってる。」
思わず声を出した。グリーンの地に「KAWASAKI」のロゴの入った幟が何本も立ってい るのを見つけた。カワサキ・ファンで、カワサキのバイクに乗っている僕は、迷わず幟のある湖岸のバイク・ショップに入った。店では、試乗会などのイベントが行われていて、Z1000やNINJA1400などグリーンのバイクが並べられていた。冷たいお茶をいただき、グッズを見ていると、1個200円のピンバッジがいっぱいあり、ついつい5つも買ってしまった。妻は妻で、女性用のグローブを見て、
「これ、北海道を走るのにちょうどいいじゃん。」
と言って、買っていた。春秋用だが、お盆の北海道は夏用グローブでは手が冷たい。
バイクやグッズを見たあと、せっかくだからと山中湖畔に出てみた。すると本物の白鳥が こっちに向かって泳いできた。それどころか、陸に上がって僕たちの前を平然と歩いていった。水かきのついた足が黒いことを、僕は初めて知った。そして、もう1羽、少し小振りの白鳥も泳いできたかと思ったら、僕たちの目の前を歩き、またおしりをふりながら湖に入って泳ぎ去っていった。もちろんしっかりとカメラに納めたが、わずか50㎝の距離で本物の白鳥が見られるとは、カワサキのショップに立ち寄ってよかったとつくづく思った。
カワサキの最新のバイクを間近に見て、お気に入りのグッズを手に入れ、その上、白鳥までも目の前で見て、満足満足ということで、湖岸1周をやめて河口湖に戻ることにした。
かちかち山ロープウェイ乗り場の隣のホテル「ブリーズベイレイクリゾート河口湖」に着いたのは5時を回っていた。外観はイマイチだが、ロビーの雰囲気はよく、経費節約の影がちらちらするものの決してケチくさくもなく、むしろ「もったいない」を省いた好感が持てるスリム化のように感じられた。
チェックインを済ませ、まずは温泉。お湯はやや熱めだったが、ほのかに香る温泉のに おいと、肌がキュッキュッとなる感じがすごく気持ちがよかった。そして、晩ご飯はバーベキュー。厚いお肉や魚介類を外のテラスで焼きながら食べる晩ご飯はまた格別だ。一人でバーベキュー・コーナーを切り盛りする若い従業員の動きも、にこやかにてきぱきと動き、好感が持てた。おかげで、僕たちも気持ちよく食事のひとときを過ごすことができた。
晩ご飯の後は、またまた温泉に入って、いい気持ちで1日目を終えた。
<7月15日>
9時半頃にチェックアウトし、ホテルの駐車場を出た。ちょうどロープウェイに乗る観光客で混み合う時間だったようで、入ってくるクルマと交錯して出にくかったが、そこは車体は小さいながらも大きなスリーポインテッドマークがど真ん中に鎮座する迫力のある顔つきのせいか、みんな隅の方によけてくださる。なんだか申し訳ないような気にもなるが、よけてくれなければ出られない。
湖畔の道路を北に向けて走り、河口湖大橋の北側に出て、再び河口湖の北側湖畔の道路で西湖方面に向かうことにした。
やたらと「さるまわし」の看板が出ていたが、仕事柄毎日サルよりもおもしろい子どもたちと過ごしているので寄らずに行く。なんと言っても、何でも言うことを聞くし、ちゃんとしゃべるし、本気になったりふざけたり、小学校の子どもは本当におもしろい。
「さるまわし」を過ぎると、河口湖のすぐ脇を走ることになる。この湖岸道路の県道21号は別名「湖北ビューライン」と呼ばれているらしく、途中からはまさにその名のとおりの道になった。南側には富士山がそびえているはずだが、雲に隠れてしまっている。それでも、時々うっすらとその勇姿を部分的に見ることができ、ついつい左側を見ながら走ってしまう。
「わあ~、ちょっといいじゃん、ここ。」
うまい具合に富士の姿の7割くらいが見えるようになった。パーキングにクルマを停め、 外に出て眺めた。目の前に湖、その向こう側には富士山。本当に絵になる風景だ。快晴だったらもっともっと素敵な風景になるだろうと思うが、こればかりは仕方が無い。7割くらいでも見られたということで「よかった」と思った。
パーキングを出て、さらに西にクルマを進めた。いつのまにか左手に富士山が見えなくなっていた。複雑なカーブで向きが変わったのだろうと思いながら走っていると、なぜか真正面に富士山が見えた。
「なんで。」
「なんでだろう。ヘンだなあ。」
そのうちに大きな橋が見えた。富士山は右手に見える。あの大きな橋が河口湖大橋と分かった時に、ばかばかしいことに気づいた。西湖方面に右折する交差点に気づかず、河口湖をずっと左手に見ながらぐるっと1周してしまったのだった。我ながら、間抜けだった。
改めて河口湖大橋北側から再び県道12号に入り、「さるまわし」を過ぎ、富士山を眺めたパーキングを通り過ぎると、「西湖・右」の標識を見つけ、河口湖から離れた。
西湖は河口湖と比べ、ずいぶんひっそりとした湖だ。森と湖のコントラストがいい感じだ。 キャンプ場の近くに、湖岸に下りることのできるパーキングがあった。岸には釣りを楽しんでいる人が並ぶようにして湖面に向けて竿を差し出している。僕たちがクルマを止めたとなりにはゴムボートに空気を入れている家族連れがいた。小学生らしい女の子がまだ空気が入りきっていないボートの中に入ってはしゃいでいる。僕たちは湖面に向けて折り畳み椅子を出し、湖と富士の
裾野を眺めながら缶コーヒーを飲んだ。UCCのコーヒーもおいしいけれど、なによりも空気がうまい。西湖から眺める富士が一番美しいという話をどこかで聞いたことがある。雲がかかってなければ、たぶんそれは正しいと思える風景だった。
西湖から富士を眺めた後、4つ目の湖・精進湖に向かった。県道21号「湖北ビューライン」を離れ、国道に出てすぐまた北に入った。精進湖は富士五湖の中でもっとも小さな湖で、国道から見てみると釣り船だけが列になって浮かんでいた。しかし、国道から少し入ると湖越しに富士山が見える絶景ポイントがある。残念ながら富士山は雲に隠れ、稜線も霞んでいて絶景と言える景色にはなってなかったが、案内の看板には逆さ富士が写るビューポイントの一つで、千円札の図柄になっている場所がここ精進湖だそうだ。もちろん、この日は逆さ富士は見られなかったが、ひっそりとした雰囲気のいい湖の景色を味わうことは できた。
精進湖をぐるっと回って、次は最後の湖の本栖湖に向かった。一度R139に出て、次の交差点でR300に入るとすぐに本栖湖が見えた。僕は、常に湖側を走れるよう時計と逆回りのコースを選んだ。身延町に入ったあたりの湖岸で水上バイクの大会が行われているらしく、途中から路上駐車のクルマが並んでいた。湖を見ると、クルマのジムカーナのような競技のように見えたが、これがまたなかなかおもしろそうだ。湖上にいくつもの旗が浮かんでいて、水上バイクがスキーのスラロームのようにして豪快に走り回っていた。これは、好きな人にはたまらない競技だろう。
こうして、5つの湖をすべて見てきたが、どれもみな違った表情でおもしろい。華やかな観光地の山中湖、昔ながらの観光地の河口湖、釣り客で賑わう西湖、ひっそりとたたずむ精進湖、水上スポーツの本栖湖と、美しい富士に抱かれた5つの湖は、どれも魅力的だった。
富士五湖を後にした僕たちは、R139を南に向かい、静岡県へと入った。そして、まず立ち寄ったのが道の駅「朝霧高原」だ。
朝霧高原は、僕にとっては思い出の高原の一つだ。大学生時代にボーイスカウトのリーダーをしていた時、ここ朝霧高原で世界ジャンボリー(世界のボーイスカウトの祭典)が開催されたのだ。僕は豊田地区派遣隊のリーダーの一人として選ばれ、1週間ほど世界のスカウトたちと友好を深めた。豊田地区のキャンプサイトの隣は台湾、向かい側はカナダだったこと を覚えている。
妻は、「よくスーパーに朝霧高原牛乳があるけど、朝霧高原ってここのことだったんだ。」と言っていた。高原を絵に描いたような壮大な景色に感動さえ覚える。霧に霞んで全貌が見えないこともあって、はてしなく草原が続いているように見えた。北海道好きの僕たちにとっては、こうした広大な草原の広がりを見るとたまらなくうれしくなる。
当然のことながら、お昼時の道の駅のレストランは大混雑だ。僕たちは売店でひめ(ます)寿司などを買って、外のベンチで高原の景色を眺めながら食べることにした。ところが、ベンチに腰を下ろし、お寿司のパックを開け、一つ食べたところで雨が降り出したのだ。たま らず、屋内のベンチに移動し、お昼ご飯にした。
食事を終え、道の駅スタンプを押して、再びR139に出た。僕が持っている道の駅スタンプノート中部版は、先週の新車試乗ドライブで愛知県の道の駅を制覇したばかりだが、静岡県のページは西部の浜松周辺を除いてほとんど埋まっていない。たまには静岡県の中部・東部にも足を伸ばさないといけないなあと思った。
R139をさらに南に進むと、絶対に外すことのできない観光地の白糸の滝がある。
駐車場にクルマを止め、土産物屋さんが立ち並ぶ観光客で混雑した狭い通りを抜ける と、まず目にするのが「音止めの滝」だ。このところ続いた大雨のせいか、豪快な一筋の滝だ。そして、さらに進み、遊歩道を下って行くと、白糸の滝が見えた。僕が若い頃に来た時のイメージでは、ぐるっと120°くらい取り囲むような岩肌を細い筋のように水が流れ落ちていたような気がしていたが、この日は、細い筋どころか水しぶきが上がるほど豪快に流れ落ちていた。大袈裟に言えば、ミニ・ナイアガラ瀑布だ。ひんやりとした空気が心地よい。ただ、水しぶきを浴びた
ひんやりとした空気はここだけで、遊歩道の坂道を登って土産物屋さんの通りを歩いていたら汗が噴き出してきた。駐車場の手前の店でソフトクリームを食べ、体を内側から冷やしてから駐車場に戻った。
再びR139を南に向けて走り続けたが、さすがに富士宮市街地にさしかかった辺りから交通量は増え、大型の店舗が並ぶ片側2車線の国道はのろのろ状態になった。休日の市街地の国道はどこもこのようなものだ。豊田でも、市街地を南北に走るR248は休日にはとても走れる状態ではなくなる。
最近開通したばかりの新東名の新富士ICは市街地から案外近い所にあった。ニュースで、新東名高速道路のSAはどこも満員で走行車線まで並んでいると報道されている。お土産も買いたいので、SAに入れないようではちょっと困る。新しい高速道路も走ってみたいが、今回は従来の東名高速道路を選んだ。
新東名・新富士ICからすぐの所に東名・富士ICはある。さらに、富士ICからすぐの所に富士川SAがある。多くの人が新東名を選んでいるのか、東名高速は走りやすかった。SAにもすんなりと入ることができ、お土産を買うのも楽だった。
人気№1と記されていた「富士宮やきそば」は、もちろん買った。人気№2の「うなぎパイ」は、よくお土産でいただくので買わなかった。№3の「富士山麓プリン・ラスク」なるものは、僕たちの知らないお土産品だ。普通のラスクよりずっとおいしそうに見える。職場用や両親用なども含め、4箱も買ってしまった。家に帰ってから食べたら、そのおいしかったこと。自分たち用にもっと買えばよかったと思った。
スタートからここまで約450㎞。そろそろ燃料を入れなくてはと思ったが、燃料系の針はまだ半分くらいの所を指していた。それでもこの先かなりの渋滞も予想される高速道路で豊田まで走るとなるとここで入れておいた方がいいだろうと思い、スタンドに入った。驚いたことに、32Lくらいしか入らなかった。リッター当たり14㎞も走ったことになり、さすがエコカー減税対象車と感心してしまった。正直、信じられない数値だ。ベンツと言えども、今のクルマはエコカーなのだ。
富士川SAを出て、しばらく走ると、清水JCT手前で「名古屋まで東名180分・新東名170分」と表示されていた。一度新しくできたばかりの新東名を走ってみたいと思っていたし、もうSAに寄るつもりもないので、新東名方向へとハンドルを切った。
やっぱり新しいクルマで新しい道を走るはいいものだ。交通量もそれほど多くはなく、流れはかなり速かった。
「ここって、制限速度100㎞?」
「そうなんじゃない。」
「120㎞かも。」
あまりにも走りやすいせいか、ついペースが上がってしまい、自制心なしでは走れないよ うな道だった。うわさどおり、SAの手前には「満・FULL」の表示が出ていた。もちろんすべて通過していたが、一つくらいは新しいSAを体験したかったので、遠州森町PAに入ってみた。
遠州森町PAは、パーキング・エリアとは言っても、ちょっとしたSAより規模は大きかった。駐車場は混んでいたが誘導員の方が休日ですいているトラックの駐車場に誘導してくれた のですんなりと止めることができた。
中に入ってみると、いろんな店が入っていておもしろかった。遠州森と言えば森の石松とお茶だ。ぶらぶらと店をのぞいていたら、「しずおか茶コーラ」なる飲み物を見つけた。喉も渇いていたし、めずらしそうだったので買ってみた。レジで、
「これ、おいしい?」
と尋ねると、若い女性店員さんはしばらく考えた後、
「分かんない。人によって違う・・・。」
と、だんだん小声に。お金を払いながら「まずいかも」とちょっと心配になった。駐車場にもどって茶コーラなるものを一口飲んでみると「なんかヘンな味だなあ」と思ったが、二口目、三口目と飲み進めるにつれて「これ、なかなかいけるじゃん」へと印象が変わってきた。飲み終わった時には、
「おいしかった~。」
になっていた。
ヘンなコーラを飲み終え、再び新東名を自制心で走った。気を緩めると、とんでもない速度になってしまうのだ。法は守らなければならない。
交通情報で「事故のため東名音羽蒲郡・岡崎間を先頭に14㎞の渋滞」となっていた。普段から混む区間で事故が起きれば、相当な渋滞になるだろう。実際には浜松JCTより随分前から渋滞になっていたので、情報よりも伸びていたと思う。こればかりは仕方がない。大急ぎで帰る必要もないし、急ぐこともできないので、オーディオの選曲を替えたりして時間を使っていた。買ったばかりのクルマで、実はオーディオの操作の仕方がよく分からなかったのだ。いろいろスイッチをいじりながら「そうか、こうすればいいんだ」「あれっ、なんでFMになっちゃうの」「元に戻せなくなっちゃった」など、妻と操作方法を探っていた。
浜松の手前から音羽蒲郡を過ぎるまでに普通なら20分もあれば行けるところを1時間以上もかかっていたが、三連休の真ん中の日ということでこれくらいは想定内の渋滞だ。
岡崎矢作橋を過ぎ、豊田JCTからいつもながらすいている東海環状道に入った。
豊田松平ICを出て自宅に着いたのが6時少し前。「富士山を見に行こう」ということで計 画したドライブだったが、結局うっすらとしか見ることができなかった。それでも、やっぱり有名な観光地というのはそれだけ見応え、行き応えがあるものだ。富士周辺は首都圏からの大勢の観光客で混み合うのがイヤで敬遠していたが、富士五湖も白糸の滝も本当にいい所だということを改めて実感したドライブだった。