鎌倉市扇ガ谷に緑深い谷戸に佇む花と水の寺と言われている臨済宗寺院「扇谷山海蔵寺」はある。建長5年(1253)建立した七堂伽藍の大寺が焼失、応永元年(1394)足利氏満の命により再建された。本尊は薬師如来像。当寺には「那須の殺生石」、「啼薬師伝説」、「底脱の井」、「十六の井」など多く鎌倉時代の遺跡と伝説がある。「山門」を潜ると多くの樹木や花に埋もれるように右手に「鐘楼」、左手に薬師堂「仏殿」、正面に「本堂」などの伽藍が建ち並んでいる。「本堂」と「庫裏」の裏には非公開だが緑が映りこむ自然湧水の「心字池」を配した禅宗風の「庭園」がある。「本堂」左手脇の山腹側に複数の「やぐら」(矢倉)が存在する。やぐらは堆積岩の一種である凝灰岩の山腹に穴を掘って造られているお墓である。訪れた日、丁度結婚したばかりの初々しいカップルの記念写真撮影に遭遇、趣きと歴史深き古寺の寺域には静かな刻が流れていくようである。(1806)















