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伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

下流少年サクタロウ

2007-10-08 11:48:35 | 小説
 学級崩壊して授業の体をなさず、教師は保身しか考えず荒れる児童に無抵抗、親は集団でクレームを付けるばかり、児童は保健室にたまり、学校は保健室前に豪腕の警備員を配置といった荒れ果てた小学校で、限りなく失業者に近い父親と2人暮らしの小学5年生輪島朔太郎が、憧れのタレント美少女ジコチュウ小学6年生杉町レイラの気まぐれに翻弄されながら過ごす小学校生活サバイバル小説。
 このテーマ、書きようによっては問題提起になるんでしょうけど、設定が誇張(戯画化)し過ぎで、それはまあ小説だからいいとして、作者の視線が意地悪い(特に教師や親や「下流」の人たちに対する愛情やシンパシーが感じられない)感じで、どうも読んでいて気分が悪くなるだけでした。
 後半父親を刺して(致命傷にはならなかったけど)逃亡し罪を重ねる朔太郎の行く末も、扱いかねたのか、よくわからないままで(特に朔太郎自身が自分の中でどう整理したのか全然触れられもしないで)終わってしまい、物語としても不満感が残りました。


戸梶圭太 文藝春秋 2007年9月15日発行
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