伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

偽装雇用

2007-10-16 09:33:58 | ノンフィクション
 製造業(メーカーの工場)に派遣された派遣労働者たちの実情と労働組合「ガテン系連帯」の闘いをレポートしたノンフィクション。
 元々労働者派遣事業は正社員を非正規雇用で代替するリスクがあるために専門性のある職種だけで認められたものを、経営側の要求で拡大されてきて、製造業も原則OKにして最後の歯止めとして同一派遣先で1年(現在はさらに緩和されて3年)を超えると直接雇用を申し入れなければならないとされています。現状は、当初の危惧通り(さらに言えばそれを超えて)企業は儲けているのに人件費削減のための正社員のリストラ・非正規雇用による代替をどんどん進めています。
 この本では、企業がさらにその最後の歯止めをもかいくぐってやりたい放題をしている様がレポートされています。政府・官僚・経営側の願望の「労働ビッグバン」の実態がよくわかります。
 1年を超えて派遣労働者を使うために契約上は派遣ではなく出向としていた日野自動車、1年たったら労働条件も労務管理も派遣の時と全く変わらないまま(派遣会社が委託を受けて労務管理をしているとか)で契約上は直接雇用にした上で数ヶ月で雇い止めにしていた日立製作所。実に姑息なやり口。労働条件の実情とかけ離れた広告や工場の売店で5000円で買える作業服を8000円で有償貸与していた派遣会社フルキャスト。
 こういう企業相手に小規模組合のガテン系連帯が団体交渉を重ね少しずつでも成果を勝ち取っていく様が、読んでいて少し心地よい。


大谷拓朗 旬報社 2007年9月10日発行
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