祖父の危篤を機に、高校生の頃から密かに肉体関係を持っているはとこの歩美とともに父の故郷の街紋別を訪れた30代独身男の伊原洋が、山師人生を歩んで失踪している父との過去を思い起こしながら、自分のルーツと父との関係を見つめ直すノスタルジー小説。
個人的には、北海道のオホーツク沿岸出身の親が関西に移り住んでそこで生まれて今は東京暮らしという主人公の経歴設定は、それだけではまってしまいました。親戚で何かあると遠軽まで電車で行きそこから車で向かうとか、子どもの頃の経験と重ね合わせてしまいます。残念ながら、私には高校生の頃から密かに肉体関係を持ち続けているはとこはいませんけど。
怪しげな父の「仕事」や人間関係にわからないながらに興味を持ち懐かしむ主人公の回想が、70年代の時代のエネルギーへのノスタルジーと重なり(もっとも、この怪しげさはもっと前の時代のような気もしますけど)、作者の世代より上の私たちの世代に馴染む感じがします。
歩美とのHシーンが多いとか、回想での父の愛人の娘とのヰタ・セクスアリス的なシーンが多い(きっと連載1回について1回は濡れ場を用意したみたいな)ことが、父子の関係をめぐる部分ではジュンブンガク的なテーマを残してはいるものの、娯楽作品的な要素を強めています。本の後ろ側から見ると、芥川賞作家が「文學界」に連載した小説の単行本化ということが先に入りますが、そういう外形からは予想できないようなエンタメ系統というか柔らかい読み物です。

伊藤たかみ 文藝春秋 2009年9月15日発行
個人的には、北海道のオホーツク沿岸出身の親が関西に移り住んでそこで生まれて今は東京暮らしという主人公の経歴設定は、それだけではまってしまいました。親戚で何かあると遠軽まで電車で行きそこから車で向かうとか、子どもの頃の経験と重ね合わせてしまいます。残念ながら、私には高校生の頃から密かに肉体関係を持ち続けているはとこはいませんけど。
怪しげな父の「仕事」や人間関係にわからないながらに興味を持ち懐かしむ主人公の回想が、70年代の時代のエネルギーへのノスタルジーと重なり(もっとも、この怪しげさはもっと前の時代のような気もしますけど)、作者の世代より上の私たちの世代に馴染む感じがします。
歩美とのHシーンが多いとか、回想での父の愛人の娘とのヰタ・セクスアリス的なシーンが多い(きっと連載1回について1回は濡れ場を用意したみたいな)ことが、父子の関係をめぐる部分ではジュンブンガク的なテーマを残してはいるものの、娯楽作品的な要素を強めています。本の後ろ側から見ると、芥川賞作家が「文學界」に連載した小説の単行本化ということが先に入りますが、そういう外形からは予想できないようなエンタメ系統というか柔らかい読み物です。

伊藤たかみ 文藝春秋 2009年9月15日発行