伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

愛がなんだ

2009-12-03 00:09:55 | 小説
 友人主催のパーティーで知り合った出版社勤めのさえない男に便利に使われながらのめり込みまくり仕事も女友達とのつきあいもすべて放り出して尽くすリサーチ会社勤めの女が、その男の気まぐれで呼ばれると仕事を無視するために無職になり失業保険ももらいそこねてアルバイトをしながら男に呼ばれるのを待ち続け、愛されていなくても近くにいたいと男が好きになった女と仲良くなったり男の友だちを付き合ったりするというお話。
 主人公の社会性のなさというか、中身が子どものままで社会人になってしまった責任感のなさは、読んでいて嫌になります。
 主人公だけじゃなくて、このお話の登場人物を見ていると、男に便利に使われる女と超身勝手男、男を便利に使う女と女の機嫌ばかり伺っている男、世の中にはこれだけしかいないのかと思え、やりきれない思いを持ちます。
 ところで、この主人公、高円寺だか(11ページ)西荻だか(186ページ)に住んでるって設定なんですが、男の住まいが世田谷代田(43ページ)で、何で電車で1時間近くかかる道のり(10ページ)なんだか(東京の地理感がない人のためにあえていうと、世田谷代田は小田急線で各駅で新宿まで12~3分、新宿から西荻窪まで中央線快速で12~3分、新宿から高円寺は中央線快速で6分)。10ページから11ページを読んでいるときには高円寺まで電車で1時間近くってこの男の住まいは千葉か横浜かって思いましたが、世田谷代田って出てきたときには「嘘でしょ」って思わず前を読み返しました。こういう設定はきちんとやって欲しいと思います。


角田光代 角川文庫 2006年2月25日発行
コメント
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