伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

バターサンドの夜

2009-12-19 00:27:50 | 小説
 学校での友達づきあいに興味が持てず歴史アニメの登場人物の少年に憧れ同一化を夢想する女子中学生ミメイこと赤羽明音が、ワンピースのネットショップを立ち上げようと模索する洋品店の娘智美にモデルや手伝いを頼まれたり、アニメ少年のコスプレの写真が目にとまってスカウトに来たアダルトサイトの撮影に巻き込まれたりしながら、成長していく青春小説。
 100年前のロシアの青少年と同化したい心と、急速に女っぽく育つ体のギャップに悩みながら、なれないものになりたがる自分に悩み、否定し、そして肯定する明音の心の動きが、せつなくもみずみずしい。智美の頼りなげで、しかし意外に図太いボケ味もいい線かなと思います。無理な設定とか、非現実的な部分がちらほらしますが、そういう点はおいて、思春期の心の揺れや人間関係のうつろいの方に目を向けて読みたい作品だと思います。


河合二湖 講談社 2009年9月7日発行
講談社児童文学新人賞
コメント
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