有名なヴァイオリニストを母に持ち音大附属高校の受験に失敗してさして特徴のない新設の女子高校に通う御木元玲と、その同級生たちが、合唱コンクールで玲が指揮を担当したことを契機に、コンクールは散々だったものの次第に理解し合い成長していく青春群像劇。
1話ごとに語り手を替え、音大附属高校の受験に失敗した御木元玲、ピアノをやりたかったが家庭の事情でできず稼業のうどん屋で働く原千夏、ソフトボールのエースだったが肩を壊して引退した中溝早希、霊が見える牧野史香、ボーイフレンドとすれ違いを感じる美術部の里中佳子、美しい姉にコンプレックスを持ち春は短いと勉強に励んできた佐々木ひかりと、それぞれのコンプレックスと拗ね方とその心境の変化を見せながら最後にまた御木元玲にバトンを渡して締めています。
それぞれにしらけ、醒め、拗ねていた語り手が、ちょっと前向きになれていくところが快い読後感を残します。
ただ全体としては、なんとか最後に全部結びつけていますが、霊が見える少女とか、一本の話としてはちょっと外れすぎ。7話を2年がかりで月刊誌に飛び飛びに連載してまとめたのだから仕方ないですが。原千夏が私好みのキャラということもありますが、4話と5話を落として、御木元→原→中溝→佐々木→御木元の方がまとまりがよかったかと思います。
宮下奈都 実業之日本社 2009年10月25日発行
1話ごとに語り手を替え、音大附属高校の受験に失敗した御木元玲、ピアノをやりたかったが家庭の事情でできず稼業のうどん屋で働く原千夏、ソフトボールのエースだったが肩を壊して引退した中溝早希、霊が見える牧野史香、ボーイフレンドとすれ違いを感じる美術部の里中佳子、美しい姉にコンプレックスを持ち春は短いと勉強に励んできた佐々木ひかりと、それぞれのコンプレックスと拗ね方とその心境の変化を見せながら最後にまた御木元玲にバトンを渡して締めています。
それぞれにしらけ、醒め、拗ねていた語り手が、ちょっと前向きになれていくところが快い読後感を残します。
ただ全体としては、なんとか最後に全部結びつけていますが、霊が見える少女とか、一本の話としてはちょっと外れすぎ。7話を2年がかりで月刊誌に飛び飛びに連載してまとめたのだから仕方ないですが。原千夏が私好みのキャラということもありますが、4話と5話を落として、御木元→原→中溝→佐々木→御木元の方がまとまりがよかったかと思います。
宮下奈都 実業之日本社 2009年10月25日発行