伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

認知症 「不可解な行動」には理由がある

2012-10-01 18:23:45 | 実用書・ビジネス書
 認知症患者の状態について記憶・認知機能の障害を説明するとともに臨床例を題材に本人の心理を説明する本。
 認知症では、時間・場所・人の見当識すなわち「今はいつ?」「ここはどこ?」「あなたは誰?」の認識が失われる、記憶の「記銘」ができなくなるために今言ったこと・したことが覚えられない(覚えたことが思い出せないのではなく、そもそも覚えられない。逆に昔の記憶は残っており思い出せるし、思い出せる時期に生きていると錯覚したりする)、多数の情報の一部を選択して注意を向けるとか複数の物事に同時に注意を払うことができなくなって車の運転や料理ができなくなったり、多くの情報を処理して評価判断することができなくなり人の顔がわからなくなったり音楽が雑音に思えたりするというようなことが説明されています。
 その上で、認知症患者は、見当識が失われた結果不安に思っているし、一気に認知能力がなくなるわけではないから「本人は何もわからない」のではなく自分でも困惑し情けなく思い思い通りにできないことに苛立っていることを理解する必要があると説いています。
 認知症で情報処理能力が落ちると会合で多くの人の意見を聞いて落としどころを考えたり、相手の出方を見て自分の対応を考えるというような情報の記憶と過去の記憶の照合判断といった作業がうまくできなくなって、会合で意見を言ったりゲームをすることが負担になるばかりでおもしろくなくなり、その結果、趣味や外出が減り、新聞や本を読むことが苦痛になる、家族は本人が既にいやな思いをしてやらなくなりそのことで気分が落ち込んでいるのを無理にやらせようとするのではなく、散歩とかシンプルな美しいものを見るとか現状でもできる気分転換を勧めた方がいい・・・というような解説と対応案が多数書かれています。
 根も葉もない疑いを持たれたり深夜に起こされたり徘徊されたりコンロに火をつけられたり胸やおしりを触られたりする家族・介護者が、そう言われてもどこまで対応できるかに疑問はありますが、患者の側の気持ちをできるだけ知り・考えようという姿勢とその説明には感心しました。


佐藤眞一 ソフトバンク新書 2012年8月25日発行
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