伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ハチミツ

2012-10-13 19:35:08 | 小説
 さして2枚目でもなくだらしなく約束が守れずビックリするほど大金持ちでもないけど絶えず新しい女性と関係を持ち続けるモテモテのエコノミストのお父さんと、いずれも母親が違う料理好きで芯が強い17歳高校2年生の杏、美人で男に誘われると断れず次々と肉体関係を持ってしまう気配りが苦手で女性の友達ができないうっかり者の27歳の派遣社員改め大手飲料メーカー広報の環、有能でまわりから頼りにされてしまう37歳の大手通信会社勤務のキャリアウーマン澪の3姉妹が同居するという設定で、3姉妹の恋愛と家族愛を描いた小説。
 さして2枚目でもないけど女性にモテモテのお父さん、料理上手のしっかりした女子高生杏に思いを寄せられる無精ヒゲが残りくたびれたスーツを着ている英語の倉田先生、澪とホテルで不倫を楽しむ白髪のたくさん交じった会社の上層部の男と、中高年男性の願望にマッチする登場人物というか展開が見られるのは、女性を描いている形でもターゲットは中高年男性というところでしょう。澪が環に嫉妬を感じるとか、澪が愛人の津川にしてやられるというあたりも、女性の視点よりも男性の願望に奉仕してる感じがしますし。
 父親がまったくわからない子を孕み学生時代からゼミの男子学生全員と肉体関係があったし避妊しないことも多かったとかそんなのは序の口だと口走る環をめぐって、産むべきじゃないという野地とそれを聞いた上で引き受けることにした香川の対比部分は、男性読者向けじゃないかもしれませんが。
 そういいながらも、しっかり者の高校2年生の杏の倉田先生への思いや父親との関係に、高2の娘を持つ私としては、萌えてしまいました。


橋本紡 新潮社 2012年6月20日発行
 
コメント
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