伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

レガッタ!3 光をのぞむ

2013-09-08 02:15:06 | 小説
 名門高校女子ボート部に入った初心者女子高生飯塚有里の奮闘を描くスポーツ青春小説の完結編。
 1巻と2巻を読んだ時点で、各巻新学期に始まり学年末の全国選抜で終わるというハリー・ポッターパターンと判断し、1巻・2巻とも終盤のクライマックスとなるはずの天竜川での全国選抜の決勝レースの様子・結果を書かないというふうに読んでそれを前提に感想を書いていましたが、3巻では冒頭で2年生の全国選抜のレース展開をリアルタイムの形で書いていました。読む前に決めつけてはいけませんね。反省m(_ _)m
 3巻では、2年生の全国選抜で一定の結果を出した飯塚有里が、3年生のインターハイでの優勝を目指し奮闘する姿と心理が中心になります。クォード(4人乗り)種目では、4人のチームワーク、バランスが重要で、1人がどれだけ力をつけピッチを上げても他の3人がそれについて行けなければかえって力のある1人が全体を乱してチームの力を削いでしまう。そのことを描くのに多くの部分を割いています。チームの息がぴったりと合えば、地力に勝るチームに勝てるものか、疑問は感じますが、物語としては美しいところです。
 スポーツ小説としての魅力も感じさせながら、ボート部での人間関係の描写に重きを置き、3巻では最後は恋愛小説の色彩も強め、さまざまな読者のニーズに応え、一般受けする危なげない作品となっています。楽しく読めて手堅くまとめられているのですが、どこかもう少し突っ張った尖ったところが欲しいなと、私は思ってしまいました。


濱野京子 講談社 2013年8月8日発行
1巻と2巻は2013年8月18日の記事で紹介しています。
コメント
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