姫川玲子シリーズ長編第4作。
シリーズ長編第3作の「インビジブルレイン」(映画では「ストロベリーナイト」)で警視庁本部から追い出され池袋署勤務となった1年後、33歳となった姫川玲子は、管内で仮釈放直後の暴力団組長が撲殺された事件が発生し、またしても組織犯罪対策部第4課(組対4課)との合同捜査に組み込まれる。一向に犯人の手がかりをつかめないまま、振り込め詐欺などを実行していた元暴走族グループの幹部や中国マフィアの幹部が撲殺され、連続殺人事件に発展する。他方、千住署勤務となっていた菊田は2年前の護送中の逃走犯の目撃情報を受けて池袋界隈を訪ね歩き…というお話。
シリーズ第1作の「ストロベリーナイト」と同様にむごたらしい殺害シーンが続き、ふつうのミステリー、警察ものの感覚で読むと、ちょっと気分が悪くなります。「ストロベリーナイト」が気に入っている読者には、ちょうどよい頃合いの読み味なのだと思います。
例によって、各章の冒頭(第1章については序章がそれに当たる)に犯人サイドの記述があり、犯人側と警察側でもつれながら徐々に謎解きをしながらストーリーが展開し絡んでいきます。その結果、犯人は比較的早い段階でわかりますが、むしろ犯行方法(特に凶器)と動機がミステリ-としてのキモになります。もっとも、ミステリーとしては、これまでの作品よりひねりは足りないかなと思えます。
姫川のキャラ設定の17歳の時のレイプの傷の重さについて、この作品では全面展開されています。レイプ後、警察官になってから、一大決心をして一度だけ体を許したが苦痛でしかなく恐怖を抑え込むのに必死で終わった後吐いたことが紹介されています(59~60ページ)。原作では「インビジブルレイン」でも愛した男牧田とはキスしたところまでで止まりますが、「インビジブルレイン」を原作とする映画「ストロベリーナイト」では姫川が牧田とはっきりセックスしている映像があります(喜んでいるという映像ではありませんが、耐えられないという表現でもありませんでした)。こういう基本的なキャラ設定に関わるところを変えてしまっていいのか、この「ブルーマーダー」で改めて位置づけられるとその疑問を強く感じます。

誉田哲也 光文社 2012年11月20日発行
シリーズ長編第1作の「ストロベリーナイト」は2013年4月21日の記事で、長編第2作「ソウルケイジ」は2013年4月22日の記事で、長編第3作「インビジブルレイン」は2013年4月17日の記事で、短編集「シンメトリー」は2013年4月23日の記事で、スピンアウト作品「感染遊戯」は2013年4月24日の記事で紹介しています。
シリーズ長編第3作の「インビジブルレイン」(映画では「ストロベリーナイト」)で警視庁本部から追い出され池袋署勤務となった1年後、33歳となった姫川玲子は、管内で仮釈放直後の暴力団組長が撲殺された事件が発生し、またしても組織犯罪対策部第4課(組対4課)との合同捜査に組み込まれる。一向に犯人の手がかりをつかめないまま、振り込め詐欺などを実行していた元暴走族グループの幹部や中国マフィアの幹部が撲殺され、連続殺人事件に発展する。他方、千住署勤務となっていた菊田は2年前の護送中の逃走犯の目撃情報を受けて池袋界隈を訪ね歩き…というお話。
シリーズ第1作の「ストロベリーナイト」と同様にむごたらしい殺害シーンが続き、ふつうのミステリー、警察ものの感覚で読むと、ちょっと気分が悪くなります。「ストロベリーナイト」が気に入っている読者には、ちょうどよい頃合いの読み味なのだと思います。
例によって、各章の冒頭(第1章については序章がそれに当たる)に犯人サイドの記述があり、犯人側と警察側でもつれながら徐々に謎解きをしながらストーリーが展開し絡んでいきます。その結果、犯人は比較的早い段階でわかりますが、むしろ犯行方法(特に凶器)と動機がミステリ-としてのキモになります。もっとも、ミステリーとしては、これまでの作品よりひねりは足りないかなと思えます。
姫川のキャラ設定の17歳の時のレイプの傷の重さについて、この作品では全面展開されています。レイプ後、警察官になってから、一大決心をして一度だけ体を許したが苦痛でしかなく恐怖を抑え込むのに必死で終わった後吐いたことが紹介されています(59~60ページ)。原作では「インビジブルレイン」でも愛した男牧田とはキスしたところまでで止まりますが、「インビジブルレイン」を原作とする映画「ストロベリーナイト」では姫川が牧田とはっきりセックスしている映像があります(喜んでいるという映像ではありませんが、耐えられないという表現でもありませんでした)。こういう基本的なキャラ設定に関わるところを変えてしまっていいのか、この「ブルーマーダー」で改めて位置づけられるとその疑問を強く感じます。

誉田哲也 光文社 2012年11月20日発行
シリーズ長編第1作の「ストロベリーナイト」は2013年4月21日の記事で、長編第2作「ソウルケイジ」は2013年4月22日の記事で、長編第3作「インビジブルレイン」は2013年4月17日の記事で、短編集「シンメトリー」は2013年4月23日の記事で、スピンアウト作品「感染遊戯」は2013年4月24日の記事で紹介しています。