太っているのをからかわれ不登校になった小学5年生の理沙が、祖父母の住む田舎に引っ越しても田舎者とつきあうのがばからしいと登校せず、スナック菓子を丸ごと食べているのに文句を言われたことを恨んで母親の携帯を神社の石柱のくぼみに隠したところ、その石柱のくぼみが1944年の世界に通じていて、携帯を拾った小学生雪子と電話で話すうち、お菓子を食べられないひもじい子どもたちをかわいそうに思い、おやつを石柱のくぼみから雪子に送り続け、お菓子を調達する過程で小学校の同級生と仲良くなっていくという小説。
理沙はかなりわがままで、母親から注意されると何かにつけて母親が離婚したせいだと言い返して母親を黙らせ、同級生を田舎者と見下しています。このわがままな理沙が、お菓子を食べられない雪子への同情とお菓子調達の必要性から、食べ物の大切さを知り、人に共感する心を持ち、同級生と協力し心を通じさせるという形で成長していくというお話です。また、この理沙の底意地の悪い設定が、タイムトンネルとなる石柱を発見し1944年の子どもと直接話ができるという設定に不可欠な、母親の携帯を隠すという意地悪な行為の前提にもなっています。ここの設定が巧みなアイディアであったと思います。
林真理子 ポプラ文庫 2013年8月5日発行 (単行本は2010年12月)
理沙はかなりわがままで、母親から注意されると何かにつけて母親が離婚したせいだと言い返して母親を黙らせ、同級生を田舎者と見下しています。このわがままな理沙が、お菓子を食べられない雪子への同情とお菓子調達の必要性から、食べ物の大切さを知り、人に共感する心を持ち、同級生と協力し心を通じさせるという形で成長していくというお話です。また、この理沙の底意地の悪い設定が、タイムトンネルとなる石柱を発見し1944年の子どもと直接話ができるという設定に不可欠な、母親の携帯を隠すという意地悪な行為の前提にもなっています。ここの設定が巧みなアイディアであったと思います。
林真理子 ポプラ文庫 2013年8月5日発行 (単行本は2010年12月)