絵画や彫刻において構図が果たす役割について解説した本。
絵画の中での各要素の配置、垂線や水平線、対角線、三角や円、遠近法などによる深さ・奥行き、色彩の配置などの影響について論じている第6章までがこの本の中心をなし、また「構図」を掲げるタイトルに見合っています。垂線や水平線、三角の与える安定感、逆三角や遠近法に反する構図(赤が近く、青が遠くの「色彩遠近法」も含む)が与える不安定感などの解説は、オーソドックスなものと思いますが、実例を挙げながらの指摘は読み物としても楽しく納得感があります。
他方、著者の専門(美術解剖学)に属する人体の構造をめぐる第7章は、「構図」の話からははみ出しているように見え、さらには釈迦をめぐる考察が延々と続き(第2章の後半もそうなんですが)、骨格の話に終始する第8章、「美術史なんてクソくらえ!」という「おわりに」まで、著者の趣味的な話が続きます。後半は、余談と割り切って読むべきでしょう。
全体として、美術作品の、あるいは「美」についての、ちょっと違う楽しみ方を味わう本として読めばいいかなと思いました。

布施英利 光文社新書 2012年10月20日発行
絵画の中での各要素の配置、垂線や水平線、対角線、三角や円、遠近法などによる深さ・奥行き、色彩の配置などの影響について論じている第6章までがこの本の中心をなし、また「構図」を掲げるタイトルに見合っています。垂線や水平線、三角の与える安定感、逆三角や遠近法に反する構図(赤が近く、青が遠くの「色彩遠近法」も含む)が与える不安定感などの解説は、オーソドックスなものと思いますが、実例を挙げながらの指摘は読み物としても楽しく納得感があります。
他方、著者の専門(美術解剖学)に属する人体の構造をめぐる第7章は、「構図」の話からははみ出しているように見え、さらには釈迦をめぐる考察が延々と続き(第2章の後半もそうなんですが)、骨格の話に終始する第8章、「美術史なんてクソくらえ!」という「おわりに」まで、著者の趣味的な話が続きます。後半は、余談と割り切って読むべきでしょう。
全体として、美術作品の、あるいは「美」についての、ちょっと違う楽しみ方を味わう本として読めばいいかなと思いました。

布施英利 光文社新書 2012年10月20日発行